2026/7/4
兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
シアリス®というED治療薬がOTC(ドラッグストアで購入可能)になるとのことです。
わー、とうとうこんな時代が…とも思っていましたが、いまやネットで処方薬のようなものまで手軽に買えてしまう状態です。私が薬剤師になった頃と全然違ってきたなぁと思う次第ですね。

今日はこの「シアリス」という薬について、「へー」と思うことを書いていきましょう。
■ タダラフィル
シアリスの成分名は、「タダラフィル」です。
ED治療薬として超有名なのがバイアグラ®ですね。あれは「シルデナフィル」。
もう一つは、レビトラ®で、「バルデナフィル」です。○○フィルというのが共通ですね。

特にシルデナフィルとバルデナフィルは似すぎでしょ(笑)間違い探しレベル。
タダラフィルは食事の影響を受けにくいとされ、だからOTCに選ばれたのでしょうか。
■ 血管拡張
前述した○○フィルたちは、みんな同じメカニズムで血管を広げます。
一酸化窒素(NO)がつくられる神経があります。この「NO」がキーワードになります。
アルギニンというアミノ酸に含まれる窒素Nから作られます。
シトルリンやアルギニンというキーワードを見かけたことないでしょうか?これには”NO”が関係してきます。
NOは気体で細胞にすぐに入り込みます。
するとcGMPを生み出し、これが平滑筋弛緩、つまり血管を拡げるのです。

でも、体でNOがあふれて血管が広がり過ぎたら危ないですよね。
そこで、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)がcGMPを分解してくれるのです。
ED治療薬は、このPDE5を阻害して血管を広げようとする薬になります。

血管が広がるということは、副作用として頭痛や顔が赤くなるというものが出るのです。
シアリス、バイアグラ、レビトラのそれぞれの違いはこちらのサイトがすごくまとまっていました。
参照:バイアグラとレビトラとシアリスの違い
■ タダラフィルが持つ3つの顔
タダラフィルには、3つの顔があるのです。
・EDの治療薬
・(肺動脈性)肺高血圧症の治療薬
・前立腺肥大の治療薬
・・・え?どゆこと?
●ED(勃起不全)
ED治療は、海綿体というところに血液を送るために血管を広げます。
日本では2007年に「シアリス®」として承認されました。
医療用では5mg、10mg、20mgがあります。OTCとして出るのは10mgです。
●肺動脈性肺高血圧症
肺高血圧症の一種で、心臓から肺に向かう血管が収縮してしまう病気です。
そうなると右心室が力いっぱい血液を送らねばならず、右心室の壁が厚くなります。これが進むと、やがて心臓のポンプ機能が落ちてしまいます。これを心肥大と言います。

「では、この肺動脈を広げたらいいんじゃないか?」
ってことで、実はこのタダラフィルを服用すると具合が良くなりました。
そして「アドシルカ®」として2009年に承認されます。
ちなみにバイアグラのシルデナフィルも同じ効果を示しており、2008年に「レバチオ®」という名で承認されています。
「なぜ普通の降圧剤ではダメなん?」って疑問に思いますよね。
しかし、普通の降圧剤だと、肺の血管を狙いたいのに、全身の血圧まで下げてしまいます。そこで、”NO”という血管を広げる仕組みを利用したのです。PDE5を邪魔すれば、肺の血管が広がりやすくやん!これが狙いです。
●前立腺肥大症
前立腺肥大は男性が持つ前立腺が大きくなってしまい、尿道が狭くなり、頻尿や尿漏れが起こる病気です。
前立腺や尿道、膀胱の出口あたりにも平滑筋があります。PDE5を阻害すると、これらの平滑筋がゆるみ、尿が通りやすくなるのです。

そして「ザルティア®」として2014年に販売されました。
■ 後発品がややこしい!
後発品、いわゆるジェネリックは成分名にするのがルールです。
でも、アドシルカかザルティアか、はたまたシアリスか、どれも同じタダラフィル。でも適応症が違うから厳密には変えなければならない…。
このあたりは正直同じで良いやんと思いますが、権利問題が絡んでくるので難しい。
例えば、アドシルカがまだ特許が残っているのに、シアリスだけジェネリックになったら、アドシルカにジェネリックが使用されてしまう。そうなればアドシルカを作った会社が損害を受ける…。こういった感じです。
そこで、ジェネリック名の後ろに略語を付けているのです。
シアリス➡タダラフィルCI
アドシルカ➡タダラフィルAD
ザルティア➡タダラフィルZA

引用:浜松町第一クリニック
このようにジェネリックの後ろに違いがわかるように設定されています。
なんかややこしいですよね。
肺高血圧症は難病でもあるし、そこまで日常的に見かけない病気です。
前立腺肥大は多くの高齢男性が通院しており、ザルティアはよく処方される薬です。
それがED治療薬、シアリスが原点となっているとはなかなか気づきにくいものです。
そして今回はOTCとして登場することになりました。

ちなみに、バイアグラの成分であるシルデナフィルも、当初は狭心症など心血管系の薬として開発されていました。ところがEDへの効果が見つかり、むしろそちらが主役になったという歴史があります。人間の体は不思議ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な一日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
[email protected]
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローをよろしくお願いします。
X(旧Twitter)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>長田 たくや (ナガタ タクヤ)>ED治療薬シアリスが市販薬に?実は3つの顔を持つスゴイ薬です