小笠原 だいすけ ブログ

【鳥取・島根視察】人口減少対策、きれいごとでは済まない。

2026/4/19

令和8年4月、今回は会派の県外視察で鳥取県・島根県に。

鳥取空港はこれでもかというくらいコナン推しであった。

小笠原ははじめての山陰。

※にしても山陰とか山陽とか裏日本とか、なんやねんコラ、と思う。ただ逆に「陰」側を問い直すべき時よねとも思う。しょっぱなから脱線した。

視察先は、鳥取県庁、鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」、ローカルエナジー株式会社、しばふる太陽光発電所、出雲市トキ分散飼育センター。

少人数学級、人口減少対策、宇宙産業の実証、地域新電力、ソーラーシェアリング、トキの保護のはなし。

その土地土地の資源を活かそう、というのは毎回の視察の根っこにあることだけど、今回強く感じたのは「人口減少対策」という言葉の重さである。

人口減少対策というと、どうしても出生率、移住、子育て支援の話になりやすい。もちろん、それらは重要である。ただ、それだけでは足らなくて。

子どもが減る中で、教育環境をどう守るのか。

若者が地元に残る仕事をどうつくるのか。

地域の電気代として外に出ているお金を、どう地域内で回すのか。

農地、自然、野生動物との関係をどう考えるのか。

人口減少対策は、単独の政策ではない。暮らし、教育、産業、環境、エネルギー、そして一極集中是正を含む、かなり総合的な政策である。

水木しげる先生夫妻に出迎えられての鳥取県庁では、少人数学級と人口減少対策について調査した。

鳥取県では、全国に先駆けて少人数学級に取り組んできた。公立小学校では全学年で30人学級を導入し、中学校でも「中1ギャップ」への対応を意識した学級編制が行われている。

少子化が進めば、自然とクラスは小さくなる。そう思われがちである。

しかし、実際はそう単純ではない。

子どもが減ると、学校の統廃合が進む。通学距離が長くなる。同じ地域で育つ同世代の集団が小さくなる。教員の確保も難しくなる。

つまり、人口減少によって教育環境が自動的によくなるわけではない。

鳥取県の少人数学級で参考になったのは、単に「人数を減らす制度」ではなく、子ども一人ひとりに目が届く教育環境をつくる政策として位置づけていたことだ。

小1プロブレム、中1ギャップ、不登校、特別な支援を必要とする子どもへの対応。こうした課題は、人数が少ないからこそ早く気づける場合がある。

一方で、少人数学級には当然、教員確保と財源が必要になる。

鳥取県では、県と市町村が負担を分かち合う「市町村協力金方式」を取り入れていた。青森県で同じような仕組みを考える場合、市町村の財政力や地域事情の差をどう調整するかが大きな課題になる。

教員不足への対応として、県外大学への働きかけ、県外会場での採用試験、教員免許を持ちながら教職に就いていない人への相談会などにも取り組んでいた。

青森県も、教員志望者が自然に集まるのを待っているだけでは厳しい。採用広報も、もっと攻める必要がある。

人口減少対策についても、鳥取県の取組はかなり幅広かった。

移住定住、関係人口、奨学金返還支援、結婚支援、子育て支援、女性活躍、中山間地域の交通・買い物・医療。

印象的だったのは、人口減少対策を「子育て支援」だけに閉じ込めていないことだ。

若者が県内で働けるのか。

所得は上がるのか。

県外に進学した若者と、卒業後もつながり続けられるのか。

女性や若者が地域の意思決定に関われるのか。

中山間地域で、移動手段や医療、買い物をどう確保するのか。

人口減少対策とは、出生数を増やすための政策だけではない。地域で暮らし続けるための条件を整える政策でもある。

奨学金返還支援については、従来は対象業種を限定していたものを、公務員を除く全業種へ広げているとのことだった。関係人口マッチングサイト「とりんぐ」では、地域の困りごとと、県内外の関心ある人を結びつける仕組みも整えていた。

もちろん、どの施策が人口推計の上振れにどれほど効いているのか、効果検証は難しいという率直な話もあった。

ここは大事である。

施策を並べれば人口減少が止まるわけではない。補助メニューを増やすこと自体が目的になってもいけない。

青森県でも、若者の県内定着、所得向上、結婚・妊娠・出産・子育て支援、女性や若者の参画、中山間地域の生活機能維持を、ばらばらの事業ではなく、人口減少対策としてどう整理するかが問われる。

次に訪れたのは、鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」である。

鳥取砂丘といえば観光地、という印象が強い。

しかし、ここでは砂地環境を活かし、月面探査ローバーなどの走行実験が行われていた。

月面の砂と鳥取砂丘の砂が同じというわけではない。それでも、広い砂地や斜面で走行実験ができる場所は、企業や大学にとって価値がある。

面白いのは、「砂丘を観光資源としてどう売るか」だけではなく、「砂丘を実証の場としてどう使うか」という発想である。

施設を整備して終わりではなく、企業の実証実験、県内企業とのマッチング、宇宙産業ネットワーク、大学での講義、学生ローバー大会、インターンシップ支援なども組み合わせていた。

青森県で宇宙産業を真似すればよい、という話ではない。

考えるべきは、青森の課題を実証の場として見直せないかということだ。

たとえば、豪雪、寒冷地、除雪、雪道の交通、スマート農業、ホタテ養殖の環境モニタリング、遠隔医療、介護ロボット、防災技術。

青森の困りごとは、企業や大学から見れば、技術開発の現場にもなり得る。

「課題が多い地域だから不利」とだけ考えるのではなく、「課題が多いからこそ試せることがある」と考えられるかどうか。

ここは、県の産業政策としても大事な視点だと思う。

ローカルエナジー株式会社では、地域新電力とエネルギーの地産地消について調査した。

米子市や地元企業が関わり、地域の電力を地域で使い、電気料金として外へ流れていたお金を地域内に戻す取組である。

再生可能エネルギーというと、どうしても「発電するかどうか」「賛成か反対か」の話になりがちである。

しかし、ローカルエナジーの取組で重要なのは、電気を売る会社というより、エネルギーを地域経済の仕組みとして捉えていることだった。

公共施設の電力契約を地域新電力に切り替えることで、安定した需要をつくる。

清掃工場など地域内の電源を活用する。

行政は会社経営を直接担いすぎないが、立ち上がりの段階では需要や電源の面で支える。

この役割分担はかなり参考になった。

青森県でも、再エネの導入は進んでいる。一方で、その利益やノウハウがどれだけ県内に残っているのかは、県民から見えにくい。

県有施設や公共施設の電力調達についても、単に最安値だけで判断するのではなく、再エネ比率、地域内経済循環、防災力、地域貢献、県内企業の参画などを評価できないか。

公共部門が安定した需要をつくることで、地域エネルギー事業を育てることもできるはずである。

あわせて、しばふる太陽光発電所も視察した。

荒廃農地の上部に太陽光パネルを設置し、その下で芝生を育てる営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングの事例である。

パネルの下で育てているのが、サッカー場などで使われる芝生という点が特徴的だった。ローカルエナジー、ガイナーレ鳥取、Jリーグの補助制度などが関わり、発電した電力は境港市内の中学校へ送られている。

太陽光発電には、農地をつぶす、景観を損なう、地域に利益が残らない、といった批判もある。

その批判は軽く見てはいけない。

ただ、この事例では、荒廃農地を使い、電気を生み、芝生を育て、地域スポーツや学校、防災、環境教育にも関わらせようとしていた。

青森県でそのまま同じことができるとは限らない。雪もある。農地条件も違う。景観や地域合意の課題もある。

それでも、ソーラーシェアリングを考える際に「何メガワット発電するのか」だけを見るのは不十分である。

誰の土地で、誰が管理し、何を育て、地域に何が残るのか。

ここまで見なければ、農業と再エネの両立とは言えない。

最後に、出雲市トキ分散飼育センターを訪れた。

トキの保護増殖と自然共生社会の取組である。

印象的だったのは、トキを単なる希少種保護の対象としてではなく、まちづくりの象徴として位置づけていたことだ。

トキが生きられる環境を整えるには、水田や里山の環境を守る必要がある。

つまり、トキの保護は、農業、環境教育、地域の誇り、企業や市民の参加、米のブランド化とも関わってくる。

一方で、理想を一方的に押しつけているわけではなかった。

無農薬や環境にやさしい農業は大切である。ただ、農業者にとっては、人手不足や病害虫の不安もある。そこを無視して「自然にやさしく」と言っても続かない。

農業者と話し合いながら、できる範囲で協力を得ていく姿勢が現実的だった。

青森県にも、白神山地、八甲田、岩木山、十和田湖、奥入瀬渓流、陸奥湾、津軽海峡、下北半島など、豊かな自然がある。

一方で、クマ、ニホンジカ、イノシシ、農林業の担い手不足、耕作放棄地、里山の管理など、自然との関係をどうつくり直すかという課題もある。

生物多様性や野生動物との共生を、環境部局だけの話にしてはいけない。

農林水産業、教育、観光、地域づくり、企業連携まで含めて考える必要がある。

 

 

今回の視察で感じたのは、人口減少対策は、明るい言葉だけでは進まないということだ。

「若者に選ばれる地域へ」

「地域の魅力を発信」

「未来につなげる」

そういう言葉はよく使われる。もちろん間違いではない。

ただ、本当に必要なのは、その先である。

学校の規模が変わるなら、教育条件をどう守るのか。

若者に残ってほしいなら、所得と仕事をどうつくるのか。

再エネを進めるなら、利益をどう地域に残すのか。

自然を守るなら、農業者や地域住民とどう折り合いをつけるのか。

人口減少は、青森県にとって避けて通れない現実である。人口減を前提として、どう地域を維持し、どんな地域をつくるのか。

だからこそ、抽象論ではなく、制度、財源、人材、運営、地域合意まで含めて考えないといけない。

鳥取・島根で見たのは、派手な一発逆転ではない。小さくても、かなり具体的に手を打っている現場だったと思う。

青森県政でも、そういう議論をしていきたい。

そして…視察に行くたび、青森の可能性って無限大だとも思う。課題も尽きないんだけどね。

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著者

小笠原 だいすけ

小笠原 だいすけ

肩書 青森県議会議員
党派・会派 立憲民主党

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