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種田 昌克 ブログ

クレーンゲームが街を動かす時代

2026/7/2

常日頃、世の中のトレンドに敏感とは言えない私でも、近ごろはクレーンゲームが大人気であるということには気づいている。
もちろん、クレーンゲーム自体は昔からある。最近になって突然生まれた遊びではない。かくいう私も学生時代には、暇つぶしにゲームセンターへ行き、クレーンゲームに挑戦したものだ。当時は、メジロマックイーンやオグリキャップなど、競走馬のぬいぐるみを取って喜んでいた記憶がある。取れそうで取れない。あと少しで落ちそうなのに落ちない。あの悔しさと、うまく取れた時の妙な達成感は、今も昔も変わらないのかもしれない。
ところが最近のクレーンゲーム人気は、私が知っている昔のゲームセンターの感覚とは少し違う。
漁業組合の事務員さんは30代であるが、週に何回も行くほどクレーンゲームにはまっているという。しかも、取ってくるものはぬいぐるみだけではない。お菓子やジュースなどを取ってきて、事務所でみんなに配ってくれる。クレーンゲームが、単なる遊びから、ちょっとした買い物、ちょっとした差し入れ、ちょっとしたコミュニケーションの道具になっているようにも見える。
実際、日本アミューズメント産業協会の公表資料でも、2024年度のゲームセンター全体の売上高6,148億円のうち、プライズゲーム売上は4,177億円、全体の68%を占めている。設置台数も58万台を超えており、もはやゲームセンターの主役はクレーンゲームと言ってもよいほどである。
大垣市内を見ても、その勢いを感じる。258号線沿いの築捨町地内には、大きなクレーンゲームのお店ができた。休日になると道路が渋滞し、信号が変わっても車がなかなか動かないことがある。もちろん、交通渋滞は困ったことである。しかし裏を返せば、それだけ多くの人が足を運んでいるということでもある。
さらに驚いたのは、ネット上のクレーンゲームである。話を聞くと、スマートフォンやパソコンで操作すると、日本のどこかにある倉庫のような場所で実際のクレーンが動き、取れた景品が自宅に送られてくるという。実際、オンラインクレーンゲームでは、スマホやパソコンから実物のクレーンゲーム機を遠隔操作し、獲得した景品を配送する仕組みが広がっている。
これには本当に驚いた。昔は、ゲームセンターに行って、100円玉を入れて、横からのぞき込みながらレバーを動かした。今は、家にいながら本物のクレーンを動かす時代である。考えてみれば、これもまた現代らしい。遊びはリアルでありながら、入口はネット。景品は現物でありながら、操作は遠隔。クレーンゲームは、昭和・平成の懐かしい遊びでありながら、令和のデジタル技術とも相性がよかったということなのだろう。
そんな折、私が通っている駅北のスポーツジムの隣に、大型家電販売店が退去した建物がある。そこが、今度はクレーンゲームの店になるとのこと。先ほど看板を見て初めて知った。
思わず、「ここもクレーンゲームか」と声が出そうになった。
これから休日になると、このスポーツジムの駐車場や周辺道路も混み合うのだろうか。ジムに運動をしに行く前に、まず駐車場に入るための我慢大会が始まるのではないか。そんなことを考えてしまった。
それにしても、街の風景はいつの間にか変わっていく。大型家電店が退去したあとに、クレーンゲーム専門店が入る。これは単なるテナントの入れ替わりではなく、今の消費や余暇のあり方の変化を映しているようにも思える。
人は、ただ物を買うだけでは満足しないのかもしれない。お菓子を買うならスーパーで買えばよい。ジュースもコンビニで買える。ぬいぐるみもネットで探せば買える。それでも人は、あえてクレーンで取ろうとする。そこには「自分で取った」という体験がある。取れるか取れないか分からないドキドキがある。そして、取れた時には少し自慢したくなる喜びがある。
昔からある遊びが、時代に合わせて姿を変え、また多くの人を引き寄せている。クレーンゲームを見ていると、流行とは必ずしも新しいものだけから生まれるのではないのだと感じる。古くからあるものでも、景品が変わり、店舗が変わり、ネットとつながり、人々の暮らし方に合えば、再び大きな流れになる。
私は流行に敏感な方ではない。けれども、街の渋滞や、事務所に配られるお菓子や、ジムの隣に立った看板を見ていると、さすがに気づく。
いま、クレーンゲームが街を動かしている。

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種田 昌克

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