2026/7/3
地震と聞くと、多くの方が建物の倒壊や津波を思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろん、それらは非常に大きな脅威です。
しかし、消防職員として14年間勤務した経験から申し上げると、地震の後に発生する火災もまた、多くの命や財産を奪う深刻な災害です。
特に近年、防災分野で重要視されているのが「通電火災」です。
通電火災とは、地震による停電が復旧した際に発生する火災のことです。
地震の揺れによって電気ストーブやヒーターが転倒したり、家具の下敷きになった配線が損傷したりすると、停電からの復旧時に再び電気が流れた瞬間に発火することがあります。
実際に阪神・淡路大震災では、原因が特定された火災のうち約6割が電気に起因するものだったとされています。
火災は地震発生直後だけでなく、「地震が終わった後」にも発生するのです。
そして一軒の火災が、地域全体の被害へと拡大する可能性があります。
特に住宅が密集している地域や高齢化が進む地域では、初期消火や避難が遅れることで延焼被害が広がるおそれがあります。
だからこそ、私は通電火災対策は個人の問題ではなく、地域全体で取り組むべき防災課題だと考えています。
その有効な対策の一つが「感震ブレーカー」です。
感震ブレーカーは、大きな揺れを感知すると自動的に電気を遮断する装置で、通電火災の発生を抑える効果が期待されています。
国の検討では、感震ブレーカーの設置率が100%になった場合、火災による死者や建物焼失を大幅に減らせるという試算も示されています。
しかし現状では、設置率はまだ高いとは言えません。
「聞いたことがない」
「どこで買えばいいのか分からない」
「設置方法が分からない」
そんな声も少なくありません。
私は、ここに行政や地域コミュニティが果たすべき役割があると思っています。
自治会や自主防災組織の防災訓練で実物を紹介する。
地域の防災講座で通電火災の危険性を学ぶ。
電気工事事業者や家電販売店と連携して設置しやすい環境をつくる。
高齢者世帯への支援策を検討する。
こうした積み重ねによって、地域全体の防災力は確実に向上します。
防災の基本は「自助・共助・公助」と言われます。
行政ができることには限界があります。
だからこそ、一人ひとりが備え、地域で支え合うことが重要です。
能登半島地震では、多くの教訓が残されました。
その教訓を次の災害で活かせるかどうかは、私たち次第です。
防災は、災害が起きてから考えるものではありません。
何も起きていない今だからこそ準備できることがあります。
通電火災という見えにくいリスクに目を向け、一人でも多くの方が備えを進めることで、未来の命と暮らしを守ることにつながるのではないでしょうか。
先人たちから受け継いだ地域を守り、より安全な形で次の世代へ引き継ぐためにも、防災への備えを一歩ずつ進めていきたいと思います。
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ホーム>政党・政治家>大谷 たかまさ (オオタニ タカマサ)>地震のあとに起きる火災を防げるか ― 通電火災という見えにくいリスク