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川越市の南古谷駅周辺整備をどう見るか 必要性はある。しかし「なぜ今、ここなのか」の説明が足りない?

2026/6/18

川越市では、南古谷駅周辺地区の整備が進んでいます。

内容は大きく、南古谷駅の北口開設、南北連絡自由通路、橋上駅舎化、南北駅前広場、都市計画道路・南古谷伊佐沼線の整備です。

令和8年度予算では、南古谷駅周辺地区整備に約20億8,859万円が計上されています。

これは、川越市の都市基盤整備の中でもかなり大きな事業です。

まず、南古谷駅周辺整備そのものには必要性があります。

現在の南古谷駅は、改札が南口側に限られています。そのため、駅北側の住民や来訪者は、踏切を横断して大きく迂回しなければならない状況があります。

また、南口駅前広場は十分な広さがなく、歩行者、自転車、自動車、バス、タクシーが錯綜しやすいという課題もあります。

北口ができ、南北をつなぐ自由通路が整備されれば、移動の安全性や利便性は高まります。駅前広場が整えば、バスやタクシー、一般車の乗降も整理される可能性があります。

その意味で、私は南古谷駅周辺整備そのものを否定するものではありません。

ただし、ここで重要なのは、別の視点です。

それは、「川越市全体の中で、どの駅周辺整備を優先するのか」という問題です。

川越市議会でも、南古谷駅よりも乗降者数が多い川越市駅周辺の整備を優先すべきではないか、という趣旨の意見がありましたよね。

この指摘は、非常に重要だと思います。

2024年度のデータで見ると、川越市駅の1日平均乗降人員は4万人を超えています。一方、南古谷駅の1日平均乗車人員は約8千人です。

鉄道会社によって公表形式が異なるため、単純比較には注意が必要ですが、少なくとも乗車人員で見ても、川越市駅の利用規模は南古谷駅を大きく上回っています。

さらに、川越市駅は、川越駅、本川越駅と並ぶ中心三駅の一つです。

市の計画上も、中心三駅周辺は「都心核」として位置付けられ、商業、業務、観光、居住、公共交通の結節点として重要な地域です。

川越市駅周辺についても、市は駅前広場、駅周辺道路、仮称西口開設などの検討を進めるとしています。

つまり、川越市駅周辺整備も必要性が高いのです。

ここで市に求めたいのは、「南古谷駅か、川越市駅か」という単純な二択ではありません。

必要なのは、優先順位づけの明確な説明です。

なぜ、令和8年度に南古谷駅周辺整備へ約20億円規模の予算を投入するのか。

なぜ、川越市駅周辺は検討段階にとどまり、南古谷駅周辺は本格整備段階に進んでいるのか。

その理由を、市民に分かる形で説明する必要があります。

もちろん優先順位は、利用者数だけで決めるものではありません。

南北分断の解消、踏切横断の安全性、駅前広場の危険性、事業用地の取得状況、国費の活用可能性、都市計画決定の進み具合、地元合意、工期、財政負担など、複数の要素を総合的に判断するものです。

もし南古谷駅周辺整備を優先する理由が、事業の熟度が高いからなのか、国費を活用できるタイミングだからなのか、南北分断の安全対策が急務だからなのか、それならその説明が必要です。

逆に、川越市駅周辺整備が遅れている理由が、鉄道事業者との協議、用地、地権者、都市計画、事業採算性などにあるなら、それも説明すべきです。

市民が知りたいのは、「南古谷駅を整備します」という結論だけではありません。

「なぜ今、南古谷駅なのか」

「川越市駅周辺はいつ、どの段階で進めるのか」

「市全体の駅周辺整備の優先順位はどうなっているのか」

という全体像です。

川越市は、人口減少、少子高齢化、財政制約の中でまちづくりを進めていかなければなりません。

すべての駅周辺を一度に整備することはできません。

だからこそ、優先順位の説明責任が重要になります。

南古谷駅周辺整備は、川越市東部地域の生活利便性や安全性を高める投資です。

一方で、川越市駅周辺整備は、中心市街地全体の回遊性、商業活性化、観光動線、公共交通結節機能を高める投資です。

どちらも必要です。

だからこそ、市はそれぞれの事業を別々に説明するのではなく、川越市全体の交通政策、都市政策、財政計画の中で、どう位置付けるのかを示すべきです。

駅前整備は、一度始めれば長期にわたる大きな投資になります。

だからこそ、「声の大きい地域から進める」「事業化しやすいところから進める」だけでは不十分です。

市民が納得できる基準と説明が必要です。

南古谷駅周辺整備を進めるのであれば、川越市駅周辺整備を後回しにする理由も含めて説明する。

川越市駅周辺整備を本格化させるのであれば、いつ、どの財源で、どの事業主体と進めるのかを示す。

それが、これからの川越市のまちづくりに求められる姿勢だと思います。

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著者

徳宮 勇気

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