2026/6/26
令和8年6月24日の川越市議会で、2件の問責決議案が提出されました。
1つは「小林透議員に対する問責決議」。
もう1つは「吉敷賢一郎議員に対する問責決議」です。
結論から言うと、川越市議会の議決結果では、どちらの問責決議案も否決されています。

つまり、川越市議会として正式に両議員を問責する決議が可決されたわけではありません。
ただし、2つの決議案には、ハラスメントをめぐる重大な問題提起と、それに対する反論のような構図が見えます。市民としても、感情的に見るのではなく、まずは事実関係を整理しておきたいと思います。
問責決議とは、議会が特定の議員などに対して、政治的・道義的な責任を問う意思表示です。
ただし、一般的には、問責決議が可決されたとしても、それだけで議員が失職するわけではありません。法的な処分というより、議会として「この行為には問題がある」と意思を示す政治的な決議です。
今回の2件は、いずれも提出はされたものの、採決の結果は否決でした。
小林透議員に対する問責決議案では、令和8年6月12日に開催された川越市議会定例会の一般質問での発言が問題視されています。
決議案によると、小林議員は議場で、特定の事案について「セクシャルハラスメントがあった」と断言する趣旨の発言を行ったとされています。
そのうえで、決議案は、その後の確認により、当該発言は十分な事実確認に基づくものではなかったと主張しています。
さらに、議会は言論の府であり、議員には高い倫理観と発言への重大な責任が求められること、特に個人の名誉や人格に関わる事項については慎重に発言すべきであることが述べられています。
決議案では、小林議員の発言によって関係者の名誉や信用を損なうおそれが生じたこと、また対象とされる職員が精神的苦痛を受けたことなどを理由に、深く反省を求める内容となっています。
ただし、重要なのは、この問責決議案は否決されているという点です。
したがって、「小林議員が議会として問責された」とは言えません。あくまで、問責決議案が提出され、そこではこのような主張がなされ、結果として否決された、という整理が正確です。
もう1つは、吉敷賢一郎議員に対する問責決議案です。
こちらでは、令和8年3月17日の保健福祉常任委員会散会後、市職員への花束贈呈の場での行為が問題視されています。
決議案では、吉敷議員が膝を床につけて花束を差し出した行為や、女性職員の肩に手を回すなどの身体接触があったと主張されています。
そのうえで、これらの行為は、公務の場における議員と職員の適切な距離感を逸脱し、周囲に不快感や不信感を与え、保健福祉常任委員会の職場環境を悪化させる「環境型ハラスメント」に該当するとしています。
また、決議案では、目撃証言や写真データ等により事実確認がされていること、議会運営委員会でも当該行為が環境型ハラスメントに該当するとの認識が共有された、という趣旨の記載があります。
こちらの決議案も、吉敷議員に対して猛省を求め、公人としての責任を果たすことを強く求める内容です。
しかし、こちらも採決結果は否決です。
したがって、これも「議会として吉敷議員を問責した」ということではありません。あくまで、問責決議案が提出され、そこではこのような主張がされ、結果として否決された、ということです。
今回の2件は、単独で見るよりも、あわせて見ることで構図が見えてきます。
一方では、ある行為がハラスメントに当たるのではないかという問題提起がありました。
もう一方では、その問題提起の仕方、特に議場での発言が十分な事実確認に基づいていなかったのではないか、という反論がありました。
つまり、単純に「どちらか一方が正しい」と断定できる話ではなく、
・ハラスメントを疑われる行為があったのか
・その行為をどう評価するのか
・議員が議場でどこまで断定的に発言してよいのか
・職員の名誉やプライバシーをどう守るのか
・議会として事実確認をどう行うのか
という複数の論点が絡んでいます。
川越市議会には「川越市議会ハラスメント根絶条例」があります。
この条例は、議員によるセクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、その他職員の人権を侵害したり不快にさせたりする行為を防止・根絶することを目的としています。
議員は市民から選ばれた立場であり、市職員に対して一定の影響力を持つ存在です。だからこそ、本人に悪気があるかどうかにかかわらず、相手や周囲がどう受け止めるかを慎重に考える必要があります。
同時に、ハラスメントを指摘する側にも慎重さが求められます。
ハラスメントの問題提起は重要です。しかし、個人の名誉や信用、職員のプライバシーに関わる内容を公の場で扱う以上、事実確認、表現の仕方、関係者への配慮が必要です。
現時点で確認できるのは、主に2つの決議案本文と、採決結果としてどちらも否決されたという事実です。
一方で、まだ確認が必要な点もあります。
たとえば、本会議でどのような討論があったのか。
各議員・各会派の賛否はどうだったのか。
一般質問での発言は、実際にどのような文脈で行われたのか。
議会運営委員会では、どのような事実確認が行われたのか。
対象となった職員のプライバシーは十分に守られているのか。
これらは、今後公開される会議録、議会中継、議会だよりなどで確認していく必要があります。
ここからは、一人の市民としての考えです。
まず、議員という重責を担う方には、ハラスメントと疑われるような行為は、できる限り慎んでいただきたいと思います。
議員は、市民の代表であると同時に、市職員に対して大きな影響力を持つ立場です。だからこそ、職員との距離感、身体的な接触、言葉の使い方には、一般の市民以上に慎重であってほしいと思います。
一方で、市議会という公費を使って運営される重要な場で、「ハラスメントがあった」「いや証拠がない」といった応酬が続くことには、率直に残念な気持ちもあります。
もちろん、ハラスメントの問題は軽視してよいものではありません。疑いがあるなら、適切な手続きで丁寧に確認し、被害を受けた可能性のある方のプライバシーを守りながら、必要な対応を取るべきです。
ただ、市民から見ると、議会で最も時間を使ってほしいのは、子育て、教育、福祉、防災、交通、公共施設、税金の使い方など、市民生活に直結するテーマです。
議員同士の応酬や水掛け論のように見えるやり取りが前面に出てしまうと、議会全体への信頼も損なわれかねません。
だからこそ、今回の件をきっかけに、川越市議会には、ハラスメントを起こさない文化、そして疑いが生じたときに冷静かつ公正に対応できる仕組みを、より強めてほしいと思います。
市民の生活のためになる議会。
市民から見て信頼できる議会。
その実現に向けて、私自身も引き続き市議会を見ていきたいと思います。
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トクミヤ ユウキ/32歳/男
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