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【264億円】鎌倉市の深沢地区土地区画整理事業をわかりやすく説明します(市役所新庁舎、村岡新駅関連)

2024/8/29

1.はじめに
鎌倉市の深沢地区土地区画整理事業について説明します。鎌倉市役所の新庁舎や村岡新駅の構想の大元の事業の話になります。なんだか難しそうだなと思ったあなた、大丈夫!このブログではわかりやすく説明していきます。
 

2.事業地の場所と広さ
まず、深沢地域の位置を見てみましょう。この黄色い枠囲いが整理事業を行う土地です。南北400m×東西700m、31万㎡のまとまった大きな土地です。東側は湘南モノレールの湘南深沢駅に隣接しています。また、西側は藤沢市との市境となっており、その西(赤囲い)にはJR東海道線の村岡新駅の設置計画があります。一方で、湘南深沢駅の東側エリアには閑静な住宅街があったり、県道藤沢鎌倉線の南側には田園地帯があったりと、多様性がある地域となっています。

出典「深沢地域整備事業の土地利用計画(案)」(鎌倉市、2020年3月)


3.元々そこには何があったか
この地区は、以前は日本国有鉄道(国鉄)が所有していました。国鉄は1980年度以降、毎年1兆円以上の赤字を出しており、1986年度には収入3.9兆円に対して赤字が1.4兆円、長期債務は25.1兆円、実質的に経営が破綻していました。国は1987年度に国鉄改革を実施し、鉄道事業を民営化したのでした。そして、長期債務を返済するため、国鉄所有地を売却することになったのです。
鎌倉市は、深沢にある8.1ヘクタールの国鉄清算事業団用地を1996年から2008年までに取得しました。(図のA用地、B用地、C用地)
また、2006年には、JR東日本が、鎌倉総合車両センターを廃止することしました。
そのため、広大な土地の利活用が課題となったのです。

出典「深沢地域の新しいまちづくりビジョン」(深沢地区事業推進協議会、2009年6月)


4.事業を始めた理由
鎌倉市は、2004年に「深沢地域の新しいまちづくり基本計画」で現状分析し、深沢地域の3つの問題点を挙げています。
 1土地利用の問題:用途の無秩序な混在、密集住宅地の存在、建物の老朽化、市営深沢住宅の建替え必要性
 2交通の課題:渋滞の未解消、危険な交差点、生活道路の安全性や防災面の問題、公共交通の利用者減少
 3緑と水辺空間の問題:生産緑地の環境悪化、公園や緑地の不足、河川の汚染と親水性の欠如
そして、まちづくりの主な目標を次のようにしています。
・新しい拠点づくり: 深沢地域の歴史と文化を基に、新しい文化を発信する拠点を創出。鎌倉、大船に次ぐ、第3の拠点とする。
・多世代共生環境: 住まいと暮らしを中心に、多世代が健康で快適に暮らせる環境を構築。
・安全・安心な都市: 災害や犯罪に強く、市民が安心して暮らせる都市づくりを目指す。
・循環型まちづくり: 緑と水辺空間を骨格とした循環型の都市を創ることで、持続可能な都市づくりを実現。
これらの内容は、石渡 德一(いしわたり とくかず)前市長の時代にできたのですが、現在から見ても色あせないものがあります。
 

5.土地区画整理事業の仕組み
土地区画整理事業は、道路や公園などの生活に必要な都市基盤が整備されていない市街地や予定地で、宅地の利用を増進することや、公共施設を整備して、健全な街に作り変えるものです。所有者が土地を出し合って、まとめて形を整え、資産価値を上げながら、道路や公園などの都市基盤を整備する手法です。

下の図を見てください。実施前は、道が未舗装で狭く、土地も入り組んでいます。まずは、住人が一時転居などをして、道路と公園を作ります。その後は、元の土地に応じて土地の所有権をもらいます。たとえば、Aさんは、以前の家の近くに整備後の土地を受け取ります。その際に、以前よりも小さい土地を受け取ります。残りの部分は、「公共減歩」といって道路や公園にする部分と「保留地減歩」といって整備事業にかかる費用に充てる部分として、差し出すことになります。それでも、地価が上昇するのでAさんは損しないという仕組みです。

上野がく作図による


深沢地域では、鎌倉市役所の土地、JRの土地、その他民有地をまとめて、UR都市機構が再整備を行います。
令和4年12月公表の事業費見込みは、支出が264億円、収入が保留地処分金184億円、補助金79億円、市単独費1億円で合計264億円。そのうち鎌倉市の負担は、補助金の市負担分39億円、市単独費1億円で、合計40億円です。
 

深沢地区土地区画整理事業費

項目 金額 うち鎌倉市負担分
支出 264億円
収入 264億円 40億円
 保留地処分金 184億円
 補助金 79億円 39億円
 費市単独 1億円 1億円

6.土地利用計画の内容
土地区画整理事業が終わったら、何ができるのでしょうか。下の土地利用計画を見てみましょう。土地区画整理事業では、道路や公園などの都市基盤を作るのでした。まず、道路は、中央付近を東西方向に地区を横切るシンボル道路が20m幅で作られます。同様に南北方向にも12m幅の道路が作られます。こうして、まち全体が田んぼの「田」の字のような形に区分されます。湘南深沢駅前には広場が作られます。また、緑色になっているところには、公園やグラウンドなどが整備されます。そのほかに、南側の水色になっている場所に調整池(大雨の際に川から水を入れて、川があふれないように調整する池)を作ります。これは、西側を流れる柏尾川は、豪雨で繰り返し氾濫してきたため、土地全体のかさ上げと合わせて実施することにしたものです。

出典「深沢地域整備事業の土地利用計画(案)」(鎌倉市、2020年3月)


このように、市の土地には何が出来るかの計画があります。:本庁舎(図右上のオレンジの場所)、消防本部、総合体育館、グラウンド、公園、調整池
その他の色(黄色、紫、ピンク、青)の部分は、私有地です。大まかな建物の用途を分けて、都市型住宅、住宅、業務施設(医療、福祉、介護、子育て、健康増進機能)、商業施設、工場・市場施設(既存権利者)などになっていますが、なにを作るのかは土地の所有者が決めることになります。現時点では、私有地に関する建築規制は決まっていません。また、たとえば商業施設のエリアといっても、お店が入るかは経済的な魅力次第です。

 

7.今後のスケジュール
深沢地域整備事業は、次の期間で実施されます。
2023年度から2032年度まで道路、電気などのインフラ工事、それに並行して建築が始まります。
2030年度新庁舎の開庁
2032年度村岡新駅の開業
2033年度工事完了
 

8.今後のポイント
市役所新庁舎の基本設計が始まろうとしていますが、庁舎のデザインを決める前に、深沢のまち全体のデザインを決め、一体感のある景観を形成する建築規制を準備しておくことが必要です。もっと積極的に活用してまちの景観をデザインしてきた市町村もあります。
元々の2004年の「深沢地域の新しいまちづくり基本計画」(下の図)では、もっと広い範囲を対象に、地区計画や総合設計制度(私有地にみんなが使える広場を作る代わりに、容積率を大きくしたりする制度)などの建築規制を活用したまちづくりを計画していました。現在の整理事業用地に捉われず、広範囲で地区計画を活用するなど検討を同時に進めていく必要があると考えています。深沢のまちのデザインや建築規制については、別の機会に説明したいと思っています。

出典「深沢地域の新しいまちづくり基本計画」(鎌倉市、2004年9月)

 

8.おわりに

鎌倉市の深沢地区土地区画整理事業について説明してきました。道路、公園ができて、残りの大部分は私有地ということです。また、鎌倉市が40億円を負担することも知っておきましょう。少しでもイメージが湧いたなら幸いです。最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。

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著者

上野 がく

上野 がく

肩書 鎌倉市議会議員(1期)、総務常任委員会副委員長、会派「鎌倉前進の会」所属、元神奈川県職員、町内会役員(防災部長)、防災士
党派・会派 無所属

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