2024/12/21
こんにちは、上野がくです。このブログでは、鎌倉市が選ぶべき交通政策について提案します。まずは、現在の鎌倉市の交通政策と現状を見ます。次に、鎌倉が「鉄道のまち」であることから、鉄道を軸とした公共交通網、歩行者、自転車優先のまちづくりを提案します。最後に、個別対応や生活道路について補足しています。
交通はすべての人が毎日利用するため、その良し悪しにより、私たちの生活の質は大きく変わります。そして、市町村の役割が大きい分野です。市町村の腕の見せ所といえるでしょう。
まず、鎌倉市の最新の交通計画はどうなっているのでしょうか。鎌倉市は1998年に「鎌倉市交通マスタープラン」を策定し、2004年に改訂しています。当時の市長は、石渡德一氏でした。2010年を展望して、望ましい交通体系、公共交通機関の機能強化、道路空間の確保、幹線道路網、交通需要管理などについて、基本方針を示しています。なお、2024年現在、2010年から14年経ちましたが、見直しされていません。鎌倉市は大丈夫なのかと心配になってしまいます。
マスタープランで示された内容で重要と思われるのは次のとおりです。現状と比較して見ていきましょう。
(現状)2020年まで検討を続け、ロードプライシングの実施には高度な技術的見地が必要なので、国が支援してくれないとできないという「課題」設定をして、その後検討されていない。

(現状)一部地域でボランティア的な実施
(1)老人福祉センターへの送迎バス・ワゴン車の運行
①名越やすらぎセンター(鎌倉市材木座)と市役所を結ぶ送迎バスを1日5往復運行。
②今泉さわやかセンター(鎌倉市今泉)、玉縄すこやかセンター(鎌倉市玉縄)、腰越なごやかセンター(鎌倉市津西)と地域を結ぶ送迎ワゴン車を一日数便運行。
(2)地域貢献送迎バスモデル事業(地域貢献バス)
社会福祉法人が運営する施設の送迎車両を活用し、地域住民の送迎を行う。
| 鎌倉プライエムきしろ(関谷)から玉縄すこやかセンターを経由し大船駅西口まで。 | イトーヨーカドー大船店の駐車場から利用者の自宅まで(送迎エリアは今泉台一丁目~七丁目)。 | 鎌倉宮境内を起点に二階堂デイサービスセンターが指定する乗降場所を経由。 |
(現状)観光用として実施している。
鎌倉フリー環境手形:サービス付きのフリー乗車券を販売。公共交通乗り継ぎシステムという仰々しい名前ですが、フリー乗車券のことです。


・古都継承地域(鎌倉地域)では、観光目的の駐車需要に対しては引き続き周辺部におけるパークアンドライド駐車場で対応します。

掲げた目標自体は素晴らしいものです。しかし、プランに数値目標がないのが残念です。上野がくの県庁経験からすると、長期の計画になればなるほど数値目標が重要です。たとえば駐輪場であれば、いつまでに、どの駅に、駅から何メートル、駐輪台数、雨に濡れないなどの数値目標を盛り込んでこそ、組織的かつ継続的に実現に向かっていくものと理解しています。
マスタープランでは、鎌倉市を二つの地域に分けて、違う方向性の交通体系整備を行うとしています。

市民生活や地域の経済活動と調和を図りながら、古都らしさを継承し、快適な都市生活機能を高めていく地域
→公共交通機関の使いやすさを向上させるとともに、自動車の利用を抑制することを基本とし、歩行者や自転車の交通環境の向上を主体とした交通体系をめざします。
鎌倉市の将来の活力の維持増進を図るため、市街化整備など積極的に取り組んでいく地域
→幹線道路網を計画的に整備し、広域幹線道路へのアクセスの向上を図ります。また円滑で快適な公共交通機関の確保や、自動車交通に積極的に対応した交通体系と交通環境の整備によって、将来の鎌倉を創造していきます。
現在、パークアンドライドは七里ガ浜と由比ガ浜に整備されているのですが、これは鎌倉地域には自動車を入れないという考えがあるからです。逆に言うと、七里ガ浜や由比ガ浜までは自動車を積極的に入れるということです。鎌倉地域に行くには、逗子方面から鎌倉地域東部を通る、藤沢方面から腰越地域を通る、横浜方面から大船地域、深沢地域を通るというように、様々な地域を通過する必要があります。そのため、観光シーズンには幹線道路が県外ナンバーの自動車で渋滞するのです。また、幹線道路が渋滞しているため、生活道路を抜け道として利用する自動車が多く、生活環境が危険にさらされます。
こうしたことから、同じ鎌倉市の中で歩行者優先エリアと自動車優先のエリアを構想していることは問題だと思います。


鎌倉市内には、JR、江ノ電、湘南モノレールが走っており、駅の数は16あります。それより多いのは、横浜市142駅、川崎市52駅、横須賀市21駅などとなっています。しかし、駅数を面積で割って駅密度を出すと、鎌倉市は県内ナンバー1なのです。鎌倉市では、1キロ歩けば駅があるという計算になります。鎌倉市は鉄道駅が多い「鉄道のまち」なのです。
| 市町村 | 駅数 | 面積 | 1㎢あたりの駅数 |
| 鎌倉市 | 16駅 | 40㎢ | 0.40駅 |
| 横浜市 | 142駅 | 439㎢ | 0.32駅 |
| 川崎市 | 52駅 | 143㎢ | 0.36駅 |
| 横須賀市 | 21駅 | 101㎢ | 0.21駅 |
| 小田原市 | 18駅 | 114㎢ | 0.16駅 |
| 藤沢市 | 17駅 | 70㎢ | 0.24駅 |
| 箱根町 | 17駅 | 93㎢ | 0.18駅 |
鎌倉市の道路は狭く、広げることも困難です。また、隣の横浜市と藤沢市が2車線道路で、鎌倉市に入ったら1車線になるのですから、鎌倉市で渋滞になるのは当然です。そのため、鎌倉らしさを生かした発想の転換が必要です。
市町村面積に占める道路の割合(2011年時点)
| 市町村 | 道路の割合 |
| 鎌倉市 | 8.3% |
| 横浜市 | 14.0% |
| 藤沢市 | 13.3% |
横浜市では年間3億円以上を使って、不採算のバス路線を維持しています。鎌倉市内の路線バスは、日中の時間帯では1時間に1本、2時間に1本という路線もあり、日常的な利用は厳しい現状があります。バス運転手確保には、待遇の改善だけではなく、本質的にはバス事業の未来が明るいと誰もが思う仕掛けが必要です。
ロンドンでは10年以上もカメラ撮影とインターネット納入により、ロードプライシングを実施して成果を上げています。また、ヴェネチアでは入域料をインターネット納入、納入端末により徴収しています。技術的には関所は不要になっています。
現在の市道はすべて自動車通行が原則となっていますが、狭い市道は歩行者と自転車の専用にして、自動車とは流れを分けるのです。自動車が通らない前提であれば、道路整備は安く済みます。
自転車を需要を超えて便利にすることで、自転車の利用を促進します。
駅は歩く人が使う場所です。それは当たり前のことなのに、今は自動車優先のデザインになっています。駅前では、歩行者が信号待ちをせずに、上下動なく移動できる環境づくりを行うことで、日々の生活はもっと快適になります。
公共交通、徒歩、自転車の利用を促進するための施策として、二つの方向性が考えられます。
①自動車の利用に負担を課す方法で、自動車乗り入れ規制、賦課金徴収、燃料税などがあります。
②公共交通、自転車の利用の負担を減らす方法で、割引パス、駐輪場料金の減額などです。
敬老パスは、2つ目の公共交通の利用負担を減らす施策と考えることができるでしょう。その場合、年齢要件は不要ではないかと考えることもできます。たとえばオフピークの日中の時間帯に利用すると、年齢に関係なく誰でも割引になるなどの仕組みがあり得るのではないでしょうか。バスの利用が増えれば、バスを増便できるようなり、好循環でもっと便利になっていきます。
歩行が困難な人が公共交通網を利用できるようにすることも欠かせません。また、鎌倉は坂の多いまちですので、距離は近いけれども駅まで上れないということがあります。こうした個別の必要性に応じて、乗り合いタクシーやボランティアによる送迎などの仕組みを整備するべきです。
子どもの習い事の送迎問題もあります。共働きが当たり前となった今、子どもに習い事をさせてあげたいけれども、一人で行かせるのは心配、送迎ができないから諦めてしまうという話を聞きます。上野がくは、これを子どもの体験格差と捉えています。子どもの望む活動ができるように支援するのが公共の役割ではないでしょうか。まずは、公共交通を充実させることで、安心して移動できるようにすることが大事です。場合によっては、乗り合いタクシー等の手当が必要かもしれません。横浜市では子どもの習い事のための送迎サービスを実証事業として行っています。
こう考えていくと、現代は自動車を運転できない人や歩行が困難な人が生活しにくい社会になっているのです。誰にでも生活しやすいまちを創るためには、公共交通網の整備に資源を重点配分するべきではないでしょうか。
私たちに最も身近な道路である生活道路には、通行するという目的のほかに、忘れがちだけれども重要なものとして、活動するという目的があります。私たちが通勤、通学のために駅に向かって一人で歩いているときは、通行するという目的が主なものになります。ここでたとえば、わき道からご近所さんや友人が出てきたらどうでしょう。世間話や悩み相談が始まったり、小さい子どもだったら自由なルールの遊びが始まったりするかもしれません。ときには停止して活動が行われることもあります。また、私たちは歩いているとき、時速5㎞で移動しながら、周囲を見回し、空を仰ぎ、鳥の歌声を聴き、花の香をくぐり、風を感じることができます。人間がいきいきと生活していく最も身近な場所が生活道路なのです。
生活道路が自動車の抜け道となり、歩行者が端に追いやられていると感じています。街のデザインがあまりにも自動車中心になっていないでしょうか。人間は街の活動を作り。自動車は街を通過します。まちの中心は人間です。生活道路を人間中心に変えていきたいと思っています。
鎌倉市の現状の交通政策は数値目標がなく、目標を達成しているのかも分からない状態です。また、そうであるにもかかわらず、長年見直しがなされていません。ロードプライシングに至っては、検討自体が止まってしまっている状況です。
鎌倉市で自動車、歩行者、自転車、公共交通の両立は困難と認識すべきです。そして、鎌倉は「鉄道のまち」のポテンシャルを活かして、公共交通網に資源を集中投下する割り切りが必要です。上野がくは、鎌倉らしい交通政策を実行することで、日本中がうらやむ生活を手にすることができると信じています。それはサンフランシスコ、ロンドン、コペンハーゲン、フライブルグなど、世界の先進都市が行っている交通政策なのです。鎌倉なら、日本で初めてこうした先進都市の仲間入りを果たし、日本をリードすることができるはずです。
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ウエノ ガク/47歳/男
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