2026/4/1
令和8年度予算を村民目線で解説——
貯金の減少、経常収支99.9%、そしてムラの可能性まで
「予算」と聞いて、ページを閉じそうになった方、ちょっと待ってください。これは数字の話じゃなくて、この村に暮らす皆さんの生活が、これからどうなるかの話です。
今回は令和8年度(2026年度)の東海村の予算をもとに、村の財政の今をできるだけわかりやすくお伝えします。
「財政」って何?まず家計に置き換えてみる
国や自治体の財政は、家計とよく似た構造をしています。
歳入(さいにゅう)= 収入(税金・ふるさと納税など)。歳出(さいしゅつ)= 支出(道路・福祉・学校など)。そして財政調整基金= 村の"いざというときの貯金"です。
今の東海村は「収入だけでは支出をまかなえないので、毎年貯金を崩して補っている」状態が続いています。

令和4年度末には約80億円あった財政調整基金(村の貯金)が、令和7年度末には約43億円になる見込みです。わずか4年で半分以下。
「まだ43億あるなら大丈夫では?」と思うかもしれません。でも問題はこのペースが続いたらという点です。令和8年度だけでも約6.8億円を取り崩す予算になっています。何もしなければ、あっという間に底をつきます。

日本には「地方交付税交付金」という、国からの仕送りのような仕組みがあります。財政が苦しい自治体に国がお金を補填してくれる制度で、全国の多くの市町村が受け取っています。
しかし東海村は不交付団体——「あなたのところは自力でやれますよね」と判断され、この仕送りを受け取れません。日本原子力研究開発機構(JAEA)関連の固定資産税など、原子力関連の税収があるためです。
隣の神栖市で起きたこと
同じく不交付団体だった神栖市(茨城県内で長らく財政力トップクラス)が、2026年1月に「緊急行財政再建宣言」を出す事態になりました。基幹産業の設備縮小などで税収が急減し、国からの補填も受けられないまま財政が一気に悪化したのです。「豊かな自治体でも、前提が崩れたとき財政は一気に揺らぐ」——これは東海村も他人事ではありません。
経常収支比率99.9%の意味——月収30万で固定費が29万9700円
議会でも話題になった指標が経常収支比率です。これも家計に例えると伝わりやすい。
家計に例えると……
月収30万円の家庭で、家賃・食費・ローン・光熱費などの「削れない固定費」が毎月29万9700円かかっているイメージです。手元に残るのはわずか300円。旅行も行けない、子どもの塾も入れられない、家のリフォームもできない。新しいことに挑戦する余裕が、まったくない状態です。

収入は大きく変わらないのに、支出がじわじわ膨らんでいます。物価の上昇によって、委託費も建設費も維持費もすべて値上がりしています。一方で、昔から続けている事業をなかなか廃止・縮小できない(スクラップできない)。この状態が続けば、どんなに貯金があっても削れていくのは当然です。
「現状維持」のつもりで何もしないことが、実は一番リスクが高い選択肢かもしれない。
令和8年度予算——何が変わったの?
今年度の予算規模は222億円(前年比▲17.5億円)。大型工事(文教地区駐車場、阿漕ヶ浦公園など)が一段落した影響が大きく、規模が縮みました。歳出で特に注目すべきは、物件費が約8.4億円削減されたこと。委託費や備品費など、業務の中身に踏み込んで精査した結果です。さらに3億円の削減を目指すと議場で明言されました。

財政を立て直すには、支出を削るだけでなく収入を増やすことも同じくらい重要です。東海村の自主財源の一つがふるさと納税。全国の人が「東海村を応援したい」とお金を寄付してくれる制度で、寄付してくれた人には村の特産品がお礼として届きます。
ところが東海村のふるさと納税は、3年連続で減少しています。
現状の課題
現在は「さとふる」というプラットフォームに業務委託していますが、担当者は他業務との兼務で1人だけ。物理的に打てる手に限界があります。他の自治体では専門業者に総合プロデュースを委託することで、担当者の負担を減らしながら寄付額を大幅に伸ばしたケースが複数あります。
東海村は日本一の干し芋の産地です。全国的にも高く評価されており、ポテンシャルは十分すぎるほどある。にもかかわらず、それが寄付額に結びついていない。悔しい現実です。
議会での前進
令和9年度を目途に複数の委託先候補を比較検討すると議場で答弁を引き出しました。ここは大きな一歩です。比較検討すること自体にほぼコストはかからない。調べた上で現状維持を選ぶのと、調べずに現状維持するのとでは意味がまったく違います。
今回の議会で、「約6.8億円の一般財源削減が必要」という数字が公式に示されました。数字は出ました。ただ私が気になるのは、その削減の先に何があるかです。削減の先には、この村で生きる人たちの暮らしがある。その影響についても、引き続き目を向けていきます。
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