2026/6/12
尾張旭市議会議員の勝股修二です。
令和8年6月定例会の一般質問の質問事項2「町内会等の負担軽減と運営活性化に向けた支援について」の質疑のポイントをご報告いたします。
現在、多くの町内会が担い手不足や特定の役員への過度な負担に直面しています。地域コミュニティの衰退を食い止め、持続可能な地域運営を実現するため、現状の課題とともに、行政による一歩進んだ支援のあり方について3つの小項目から切り込みました。
本市の市民アンケート(令和4年度)によると、昭和44年以前からずっと住んでいる方は約24%にとどまり、実に約75%が市制施行後に転入された方です。さらに、令和7年6月1日現在の町内会加入率は53.1%と右肩下がりが続いており、住民の約半数が未加入という現状です。 従来の「地縁」に頼った運営は構造的限界を迎えており、ほとんどの会長が1年持ち回りで交代する中で前年踏襲から抜け出せない現状を変えるため、市から過度な負担なく取り組める具体的な「事業の推奨メニュー(知恵のメニュー)」を提示すべき段階に来ていると訴えました。
大規模災害による長期停電時には上下水道が停止する恐れがあるほか、広域災害時には全国に1300台余(令和3年時点)しか存在しない給水車の圧倒的な不足に直面することが懸念されます。 そこで、地域の防災倉庫化と意識啓発のために、予算に余裕のある町内会が非常用トイレや備蓄水を住民に購入・配布することを市として推奨できないか提案しました。2023年の調査では、災害用トイレを1回分でも備蓄している人は22.2%、4日分以上はわずか4%にとどまっており、備蓄のきっかけづくりが必要です。
大規模広域災害時には、市が保有する数台の給電車や企業との連携協定だけでは対応しきれない恐れがあります。 そこで、最近一般にも普及してきた「1500W給電できる車両」や発電機、工作機械、専門技術などの地域資源を町内会が事前に把握し、有事の協力体制(共助)を築くための後押しを市に求めました。その際、資機材の破損保障や法的リスク、トラブル時の責任所在など、町内会単体では整理が難しい課題を行政がクリアして提示すべきだと提言しました。
毎年交代していく現場の役員だけに、事業見直しの苦労や配布に伴う不公平感の責任をすべて負わせるのは酷なことです。行政が「推奨」という形でお墨付きを与えるだけでも、現場の心理的負担はかなり軽くなります。今後も、現役世代が無理なく地域貢献に関われる、持続可能で災害に強い地域づくりに向けて全力で取り組んでまいります。
詳細は、以下の質問原稿全文をご覧ください!
質問事項1での質疑を踏まえて、どのような方策があるのかを考えながら、質問事項2「町内会等の負担軽減と運営活性化に向けた支援について」に入ります。
令和4年度に行った市民アンケートの結果によると、昭和44年以前からずっと本市に住んでいる方は約24%であり、実に約75%の方が市制施行後に転入されています。この数字が意味するものは、地域の歴史や旧来の人間関係、いわゆる「地縁」に頼った従来の町内会運営が、構造的に限界を迎えているのではないかということです。旧来からのコミュニティによって町内会事業をしっかりと運営できる地域は、今や一部にとどまっているのではないでしょうか。
さらに、地縁団体である町内会の加入率は、令和7年6月1日現在で53.1%となり、まさに右肩下がりの状況に歯止めがかかりません。住民の約半数が未加入という現状は、地域活動の担い手不足を加速させるだけでなく、特定の少数の役員に過度な負担が集中するという「不公平感」を生み、組織の持続可能性を根底から揺るがしています。
その運営状況においても、多くの町内会では毎年役員構成が変わるため、前年踏襲の枠から抜け出すことが難しく、時代に即した新たな事業の立案や、実施にいたるプロセスにおいて多大な労力と時間を費やし、頭を悩ませたまま任期が終了してしまうという状況もあります。市としては自主的な活動を求めておられるであろうことは理解しますが、60代の方が定年後に役員を行なっていた時代は過ぎ去り、日々仕事に追われる70代も含めた現役世代の方が持ち回りで役員を担っているのが現状です。地域コミュニティの衰退を食い止め、持続可能な地域運営を実現するためには、国が自治体に事業の推奨メニューを示しているように、本市としても町内会に対して、過度な負担なく取り組める「事業の推奨メニュー」を具体的に提示していくべき段階に来ていると考えます。そこで、以下の小項目に沿って本市の見解をお伺いします。
小項目1に入ります。1年ごとに役員が入れ替わる町内会では、実施する事業の立案、調査、検討、実施などの事業プロセスを回すことは非常に大きな負担です。そこで、本市として町内会で行う事業実施上の課題をまとめた上での「推奨メニュー」のようなものがあるのか、小項目1「町内会事業に対する推奨メニュー等について」お伺いします。
【市民生活部長】
お答えします。
自治会・町内会は自治組織であり、規模や役員の置かれている状況、地域的な事情など、それぞれの会や年度によって抱える課題も様々であることから、市から推奨メニューとして具体的な活動はお示ししておりません。
しかしながら、毎年度自治会長・町内会長を対象に実施しているアンケートでは、ほとんどの会の会長が1年で交代するとの回答であり、運営上の課題についての問いでは「行事への参加者(協力者)が少ない」「役員の負担が大きい」との意見が多い中、「行事や実施事業が固定化し課題があるが見直しできない」という意見も一定数ございます。
こういった状況を受け、より多くの方に自治会等の活動を知っていただくとともに、役員になられた方の参考としていただくため、令和6年度から市ホームページにおいて、活動の事例を紹介しております。
また、このほか運営方法や取組事例などをまとめたハンドブックを作成して、ホームページで公開しており、希望に応じてお渡しすることもしております。
さらに、自治会等の活動において、実施方法を変更した点や工夫した点、市から交付している補助金の活用例などを、様々なツールを活用してお知らせすることで、事業の検討や実施の参考としていただくよう努めております。
以上でございます。
【勝股修二】
ありがとうございます。ほとんどの会の会長が1年で交代し、行事や実施事業の固定化など、様々な課題があることを共有いただいているということです。ハンドブックや活動の事例紹介など、活性化に向けた取組を行なっていただいているということですが、もう一歩踏み込んだ提示には至ってはいません。担い手不足に悩む現場の役員の方々が、迷わず、かつ負担なく地域貢献活動に取り組めるよう、「知恵のメニュー」を提示していくことの必要性を改めて強調させていただきます。
小項目2に入ります。防災用備蓄品は、必要性は分かっていても、その不確実性と採算性から、各個人が手間と費用をかけて購入に至ることはなかなか難しく、必要性は理解しているが、なかなか購入には至れない方が多いのではないでしょうか。質問事項1で確認したように、大規模停電時などには、上下水道機能に障害が生じる恐れがあります。排泄物処理がほぼ水洗化されている現状では、上水、下水、どちらかの機能を失っても、尊厳ある生活が損なわれることは想像に難くない上に、直接、健康や生命にも直結してまいります。命を繋ぐ水を運ぶための給水車についても、公益財団法人水道技術研究センターによると、令和3年時点での全国の給水車台数は日本全国で1300台余りにとどまっており、広域災害時には圧倒的な給水車不足に直面することが懸念されています。そこで、地域の防災倉庫化と市民の意識啓発の観点から、予算に余裕のある町内会においては、非常用トイレや備蓄用の水など、防災用備蓄品を購入・配布するよう、市として推奨できないか、小項目2「防災用備蓄品の配布について」お伺いします。
【総務部長】
お答えします。
町内会などにおいて防災用備蓄品を配布することは、防災の啓発や意識の向上に繋がるものと考えます。
しかしながら、既に備蓄品を備えている方にとっては不要である場合や過剰な配布は「自助」の意識が低下するのではないかと言った恐れがあります。
また、地域の規模や資金力による格差など課題もあると考えます。
本来であれば、家庭で備えていただきたい備蓄品を町内会などが配布するには、その種類や数量にも限りがあること、普段から備えている方、備えていない方との間での不公平感やそもそも配布の方法などクリアしなければならない課題も多いと思われます。
そのため、防災用備蓄品の配布を町内会などに対して推奨することは、様々な課題もありますので、担当課である市民活動課とも相談したいと考えております。
なお、町内会などの備蓄品で賞味期限の近づいた食品を配布することに関しては、問題ないと考えております。
以上でございます。
【勝股修二】
ありがとうございます。備蓄品の配布が、防災の啓発や意識の向上につながることは共有できているものの、住民間での不公平感と、地域の規模や資金力の格差などを課題として挙げていただきました。しかし、推奨されたとしても、実施の有無については役員会が判断することです。事業の実施においては、不公平感は必ずついて回りますので、この覚悟と責任を毎年持ち回りで交代していく役員に全て負わせるのは酷なことではないでしょうか。行政が推奨してくれるだけでも、役員の心理的負担はかなり軽くなると思われますがいかがでしょうか。多くの課題を考えていらっしゃるようですが、本市防災計画の16ページにも、「市内の一定の地区内の住民及び公共的団体又は民間の団体は、当該地区における防災力の向上を図るため、共同して、防災訓練の実施、物資等の備蓄、高齢者等の避難支援体制の構築等自発的な防災活動の推進に努めるものとする。」とありますので、幅広い検討をお願いいたします。在宅避難となった場合でも、流すための生活用水が無かったり、下水の排出制限があったりしては、尊厳ある生活を継続することはできません。そのような場合に有効なのが、災害用トイレですが、一般社団法人日本トイレ協会、災害・仮設トイレ研究会の2023年の調査によると、災害用トイレを1回分でも備蓄している人は22.2%、4日分以上備蓄している人は4%、備蓄しない理由は「特にない」が45%ということですので、備蓄をするきっかけづくりと、地域の防災倉庫化の観点から、ご検討をお願いいたします。
小項目3に入ります。先ほどの質問事項1において、大規模災害時の深刻な停電リスクについてお伺いしましたが、最近では、災害時に役立つ「1500W給電できる車両」が一般にも普及してきました。有事の際にこれらの給電車両を貸していただけるような方が地域にいないか、町内会で事前に把握しておくことも、非常時に命を救う大きな一助となります。現状においても、市が保有する給電車が数台あります。また、三菱自動車株式会社さんとは災害時に給電車の貸し出しを受ける連携協定を結んでいますが、南海トラフ巨大地震を考えるにあたり、その被災地域の広大さから、十分な台数を借り受けることは困難ではないかと考えます。だからこそ、市内にある資機材の活用を考えねばなりません。しかしながら、実際に借り受ける際の法的リスクや費用負担など、町内会単体では整理が難しい課題もはらんでいますし、無理強いすることないよう、お願いする時の注意事項なども検討しておく必要があります。その他の技術を持っている方や、工作機械など、地域資源の把握も含めて、本市としてそれらの課題をクリアした上で、小項目3「町内の防災に資する資源の把握について」推奨できないかお伺いします。
【総務部長】
お答えします。
町内会で個人が保有している発電機や給電車両について、町内会で保有状況などを把握し、災害時の使用協力について事前に調整しておくことは停電時の備えとして一定の効果も期待できますが、課題もあると考えております。
その課題としては、協力者の把握や緊急時の連絡方法、資機材等の使用マニュアルの作成、事故やトラブル発生時の対応及び責任所在の明確化など、町内会の負担が重くなるものと考えます。
また、災害時という特殊な状況下であっても、個人が保有している財産についての権利や借りた方の責任はあるため、資機材等を破損した場合の保障や責任の所在など、難しい問題へと発展する恐れもあります。
このため、現時点では市が推奨するメニューとすることは難しいと考えますが、地域において困ったときには助け合う、共助の理解が深まる取り組みであると思いますので、先進的な事例がないか調査をしてみたいと考えています。
以上でございます。
【勝股修二】
ありがとうございます。リスクと権利関係の観点から、なかなか難しそうなご答弁をいただきました。確かに公共と個人の関係性において、安易に個人の財産権などの権利制限を行うようなことは、厳に慎まなければなりません。しかし、私はまさにその「リスクがあるからこそ」、行政の出番であると申し上げているのです。町内会が単独で個人とネゴシエーションを行えば、それこそ人間関係のトラブルや心理的強制を生みかねません。だからこそ行政として、災害時における借り受けの対価や、万が一の破損時における「補償のルール」を市がしっかりと整え、行政側がその責任を負う覚悟を決めておく。そうした安心のプラットフォームを示した上で、貸していただける可能性のある方の事前登録や声かけを町内会が担う。これこそが、行政と地域が一体となった持続可能な仕組みではないでしょうか。
公助が限界を迎える大災害において、市民の命を救う鍵を握るのは、こうした地域に眠る民間の資源、すなわち「共助」の力です。たとえ結果として、事前に『貸し出してもいいよ』という方が地域に見つからなかったとしても、それはそれで決して無駄にはならないと考えます。「もしもの時、私たちの町内会はどう動くか」を平時から話し合う、そのプロセス自体が地縁を紡ぎ直し、地域づくりの端緒となる取り組みになるからです。
また、このようなことを検討することができるのは、平時の今しかありません。もし、実際に有事が起こってしまったら、生命の危険に直面することが起こってしまったのなら、私有財産を提供してほしいという圧力は、平時の比ではないでしょう。実際に、過度な『共助の強要』や、被災現場におけるいわゆる『クレクレ問題』といった物資や資機材を巡る深刻なトラブルが、近年の災害時にもネット上などで多数報告されているところであります。有事の際に起こりうる、市民同士のトラブルや軋轢を極力避けるためにも、迫り来る危機に対し、リスクを恐れて一歩も動かないのではなく、民間資源の有効活用に向けた法的・事務的な課題整理について、少しでも前向きにご検討いただきたいところですが、まずは調査を考えていただけるとのことですので、何卒よろしくお願いいたします。
小項目4に入ります。ここで、ちょっと毛色の違った話になりますが、町内会の防犯カメラの設置については、「尾張旭市公共的団体による防犯カメラ設置事業補助金」により推奨される一方、「尾張旭市公共的団体による防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」により、抑止的な運用ルールが示されています。しかし、町内会が実際に設置するにあたっては、場所の選定、電気料金の支払い負担、撮影地域住民の合意形成など、クリアすべき課題が多く、役員の負担が非常に大きい事業です。
そこで、負担軽減のために「防犯灯と一体型の防犯カメラ」の紹介や、法的論点を整理した「標準的な書式・規約のテンプレート」を提示するなど、町内会が過度な負担なく防犯カメラの設置・運用を行うことができるよう、市として推奨できないかお伺いします。
【市民生活部長】
お答えします。
防犯カメラの設置には、画像やその記録の管理など、地域住民のプライバシーに関わる要素が多いため、防犯カメラの設置及び運用するに当たり留意すべき事項を定めたガイドラインを設けております。
このガイドラインに沿い地域で防犯カメラの設置を検討するには、多くの項目について確認が必要となるため、単年度の役員だけで進めることは難しく、最終的には2年から3年の複数年の事業として役員間で申し送りをして検討し、実施したという事例もお聞きします。
カメラの紹介などを含め推奨メニュ―としてお示しする考えはございませんが、参考になる取り組み事例を紹介したり、取り付ける際に必要となる「運用規定」などのサンプルなどを案内するほか、自治会・町内会の活動を行う上でそれぞれの会が抱える懸案事項に対しては、窓口や電話による相談、現地訪問などをとおして、地域の皆様とともに、活動の持続可能性の向上に努めてまいります。
以上でございます。
【勝股修二】
ありがとうございます。私も、実際に防犯カメラを検討した場にいたのですが、結局は実施には至りませんでした。場所の選定や、器具の選定、電気代の負担にまつわる問題、地域住民の意思確認などなど、解決すべき問題が多く、簡単につけられるようなものではありません。強いリーダーシップと役員の皆さんの献身が無い限り、単年では到底実施困難です。実際に複数年度にて実施された事例を把握されているということですが、その際の情報や使用書式などを他の町内会などが参照することは可能なのでしょうか。(再質問?)他の事業事例などもデータベース化して、町内会事業の「知恵のメニュー」を収集し、他の町内会などが参照できるような取組を何卒お願いいたします。
今回の質問を通じて、本市における「防災力の強化」と「地域コミュニティの維持」の現状、そして課題をお伺いしました。迫り来る南海トラフ巨大地震から市民の命と尊厳を守ること、そしてその基盤となる町内会の負担を軽減し、活性化させていくこと、これらは決して別々の課題ではなく、ひとつの線で繋がった本市の最重要テーマであり、防災への取り組みこそが地域包括ケアの入り口となっています。
南海トラフ巨大地震においては、その被害の大きさから、日本全体の国難となると考えられています。尾張旭市は被災地となり、市民は被災者でありながらも、より被害の大きい地域への支援者となる可能性が高いと考えています。これまでの災害の教訓として、支援者となるためには、まずは自分たちの生命や身体、尊厳を守らなければなりません。ただ、今回提案させていただいた取組は、防災であれ、防犯であれ、全て無駄となって欲しいことばかりです。「用意したけど無駄だったね、でも用意しておいて安心できたね。」といった結果になることを祈りつつ、「このまちに住んでいて良かった」「このまちなら、もしもの時も安心だ」。そう市民の皆様が胸を張って言える、温かく、そして強靭な尾張旭市の未来を目指して、私も一人の議員として、現場の皆様、そして執行部の皆様と共に伴走し続けることをお誓い申し上げ、私の一般質問を終わります。
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