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郵政民営化は本当に成功だったのか

2026/6/27

郵政民営化から、ずいぶん時間が経ちました。
当時は「官から民へ」「民間にできることは民間へ」という言葉が、時代の空気のように語られていました。小泉改革の象徴でもあり、多くの国民が「改革」という言葉に期待を寄せたことも事実です。実際、2005年の内閣府の世論調査では、郵政民営化について「賛成」19.1%、「どちらかといえば賛成」29.9%で、賛成寄りが合わせて49.0%。「反対」「どちらかといえば反対」は合わせて30.2%でした。
しかし、いま改めて考えると、郵政民営化は本当に国民生活を便利にしたのでしょうか。
私自身の実感としては、むしろ不便になったことが多いと感じています。とりわけ大きいのは、郵便物が届くのが遅くなったことです。日本郵便は、2021年10月から普通扱いの郵便物やゆうメールについて、土曜日配達を休止し、お届け日数を1日程度繰り下げています。
これにより、以前なら「そろそろ届くかな」と思っていた郵便物が、なかなか届かない。行政手続き、請求書、案内文、地域行事の通知など、まだまだ郵便に頼っている場面はたくさんあります。デジタル化が進んだとはいえ、すべての人が電子メールやアプリだけで生活しているわけではありません。とくに高齢者や地域の団体活動において、郵便は今も大切な生活インフラです。
さらに、料金も上がりました。2024年10月からは、25グラム以下の定形郵便物が84円から110円に、通常はがきが63円から85円に値上げされました。日本郵便は、郵便物数の減少、人件費や燃料費などの上昇を理由に、安定的な郵便サービス維持のため値上げせざるを得ないと説明しています。
もちろん、郵便物が減っていることも、人手不足も、燃料費の高騰も分かります。働く人の賃金を上げることも当然必要です。だから単純に「値上げはけしからん」とだけ言うつもりはありません。
しかし、国民の側から見れば、「民営化したら便利になる」と言われていたはずなのに、実際には届くのは遅くなり、料金は高くなり、手続きも分かりにくくなった。これでは、何のための民営化だったのか、という疑問が出てきます。
もう一つ分かりにくいのが、郵政グループの形です。現在、日本郵政グループには、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険などがあります。 郵便局に行くと、昔と同じ「郵便局」のように見えますが、実際には郵便、貯金、保険が会社として分かれています。利用者からすれば、「そんな会社の都合を言われても困る」というのが正直なところではないでしょうか。
郵便局は、単なる民間企業ではありません。全国津々浦々にあり、地域の高齢者を見守り、金融機関の少ない地域で窓口となり、災害時にも地域の情報拠点となり得る存在です。2024年の郵政民営化委員会の検証でも、郵便局ネットワークは重要な財産であり、少子高齢化が進む地域で大きな役割を担っているとの意見が示されています。ユニバーサルサービスや郵便局ネットワークは維持すべきだという意見もあります。
また、同じ検証では、民営化や利便性について肯定的な意見と否定的な意見の双方があり、肯定的な意見の中にも課題を指摘するものが多いとされています。さらに、土曜休配やATM手数料など、利便性向上とは言えない部分があるとの指摘もあります。
つまり、国民の世論を一言で「民営化賛成」「再国有化賛成」と整理するのは難しいと思います。郵政民営化そのものについて、現在の国民がどう考えているかを正面から問う大規模な世論調査は、少なくとも私が確認した範囲では多くありません。しかし、生活実感として「不便になった」と感じている人は、少なくないのではないでしょうか。
私は、郵政をもう一度、公共インフラとして考え直すべき時期に来ていると思います。
それは必ずしも、昔の形にそのまま戻すという意味ではありません。しかし、少なくとも、郵便局を普通の民間企業と同じように、採算だけで判断してよいのか。全国一律の郵便サービスを維持するための費用を、郵便料金だけに押しつけてよいのか。地域の郵便局を、単なる窓口業務の採算だけで評価してよいのか。ここは、政治が正面から議論すべきです。
郵政民営化は、当時「改革」の象徴でした。けれども、改革とは、制度を変えること自体が目的ではありません。国民生活を良くすることが目的です。
郵便が遅くなった。料金が高くなった。仕組みが分かりにくくなった。そう感じる国民が増えているなら、郵政民営化は成功だったのか、失敗だったのか、改めて検証しなければなりません。
私は、郵政の再国有化を含めて、抜本的な見直しを議論すべきだと思います。
「官か民か」という単純な話ではありません。郵便局は、地域にとって何なのか。国民生活にとって何なのか。市場原理だけでは守れないものを、どう守るのか。
郵政民営化から長い年月が経った今こそ、もう一度、国民の生活実感に立ち返って考えるべきではないでしょうか。

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