2026/5/11
子どもたちは、仲良くなるにつれて冗談を言い合ったり、ふざけ合ったりする機会が増えていきます。しかし、その“いじり”が、相手にとっては深く傷つく言葉になっている場合もあります。今回は、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんの解説をもとに、“いじり”といじめの違いや、家庭で大切にしたい関わり方について考えます。
■ “いじり”も、相手が傷つけば「いじめ」
「ただふざけていただけ」
「みんな笑っていたから大丈夫」
そう思っていても、受け手が嫌な気持ちになっていれば、それはいじめに含まれる可能性があります。
文部科学省では、いじめについて
「相手の言動によって、心身の苦痛を感じているもの」
と定義しています。
つまり、行為をした側の“悪気の有無”ではなく、相手がどう感じたかが大切なのです。
■ 分かりやすい“いじめ”と、見えにくい“いじり”
いじめは、悪口・仲間外れ・暴力
など、周囲から見ても分かりやすいケースが多くあります。
一方、“いじり”は、軽い冗談・からかい・笑いを交えた会話
の中で行われるため、周囲も見過ごしやすい特徴があります。
しかし、最初は軽い冗談でも、繰り返されることで相手の心を傷つけ、次第にエスカレートしていくことがあります。
そのため、“いじり”は「見えにくいいじめ」とも言える存在です。
■ “いじり”の背景にある自己肯定感の低下
なぜ、人をからかったり、見下したりする言動が起きるのでしょうか。
その背景には、自信のなさ、ストレス、承認欲求
などが隠れている場合があります。
本来、自信は努力や達成感を通して育まれるものです。
しかし、簡単に“優位に立った気分”になる方法として、他人を下げる行為に向かってしまうことがあります。
例えば、「あいつ変だよね」「どんくさいよね」
と誰かを笑いものにすることで、自分が上に立ったような感覚を得てしまうのです。
■ 家庭で伝えたい「嫌なことはしない」という感覚
子どもを“いじり”によるいじめの加害者にも被害者にもさせないために大切なのは、
「自分がされて嫌なことは、人にしない」
という感覚を日頃から育てることです。
例えば家庭内でも、見た目をからかう、ばかにした言い方をする、相手を笑いものにする
ようなやり取りがあれば、「そう言われると嫌な気持ちになるよ」
と率直に伝えることが大切です。
家族同士の会話は、子どもにとって“人との接し方”を学ぶ場でもあります。
■ 子どもの言葉に耳を傾ける
もし子どもが、「あいつ、どんくさくて困る」など荒い言葉を使っていた場合は、頭ごなしに叱るのではなく、
「どうしてそう思ったの?」
と背景を聞くことも大切です。
その上で、「友達でも、何を言ってもいいわけじゃないよ」「相手を傷つけることもあるんだよ」
と丁寧に伝えていくことが必要です。
■ 子どもの“小さな変化”を見逃さない
一方で、子どもが被害を受けているケースもあります。
食欲がない
会話が減る
すぐ部屋に閉じこもる
体調不良を訴える
いつもと様子が違う
こうした小さな変化の背景に、“いじり”やいじめが隠れていることもあります。
そんな時は、
「学校生活はどう?」「何か困っていることはない?」
と、穏やかな雰囲気で一対一の会話をすることが大切です。
■ 最後に
“いじり”は、本人に悪気がなくても、相手を深く傷つけることがあります。
だからこそ、相手の気持ちを想像すること、言葉の重みを知ること、人を傷つけないコミュニケーションを学ぶこと
が、子どもたちにはとても重要です。
家庭の中での何気ない会話や関わり方が、子どもの人との接し方を育てていきます。
子どもたちが安心して過ごせる環境をつくるためにも、まずは大人自身が“相手を尊重する言葉”を意識していきたいですね。
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ホーム>政党・政治家>麻田 ひさみ (アサダ ヒサミ)>“いじり”は本当にただの冗談? 子どもをいじめの加害者・被害者にしないために