2026/3/26
予算委員会で質問した中身です。
令和8年度の当初予算は約4,300億円。
前年度から約300億円の増となりました。
一見すると「成長」とも受け取られかねません。
しかし私は、この予算拡大を手放しで評価できる局面ではないと考えています。
これまでも繰り返し指摘してきましたが、
予算規模の肥大化に対する歯止めは、実質的にかかっていません。
そしてこの問題は、世田谷区だけの話ではありません。
少子高齢化という、日本全体が直面する構造問題そのものです。
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■ 「最大規模の自治体」に見合う財政体力はあるのか
東京都の資料に基づけば、
世田谷区は23区の中でも標準財政規模が最大級の自治体です。
だからこそ問われるのは、規模に見合った“財政の厚み”です。
• 標準財政規模はいくらなのか
• 基金の確保率はどの水準にあるのか
• 今後10年、維持できるのか、それとも縮減するのか
人口減少と生産年齢人口の減少を前提とすれば、
楽観的な見通しは許されません。
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■ 基金と区債が逆転する未来をどう見るか
区の試算は、極めて重い現実を示しています。
• 2025年:基金 約1,531億円/区債 約372億円
• 2030年:基金 約1,146億円/区債 約778億円
そして――
2034年前後には、ついに逆転。
• 基金 約978億円
• 区債 約999億円
さらに2046年には、
基金756億円に対し、区債は1,088億円。
これはもはや、「貯金より借金が多い状態」です。
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■ 問題は“逆転そのもの”ではなく“タイミング”だ
私は単に逆転現象を問題視しているのではありません。
本質は、そのタイミングです。
• 高齢化の進行
• 扶助費の増大
• 区債残高の増加
これらが同時に進行する。
つまり、
「扶助費+公債費」という二重の固定化に入る可能性が高い。
これは、財政運営において最も避けるべき局面です。
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■ 2.15兆円――避けられない施設更新の現実
さらに追い打ちをかけるのが、公共施設の更新です。
区の試算では、
将来経費は総額約2.15兆円、年平均約876億円。
すでに上振れ傾向も見られ、
この負担は今後さらに重くなることが想定されます。
この状況で、
財政の弾力性を本当に維持できるのか。
極めて厳しい問いです。
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■ 人口構造はすでに“逆ピラミッド”へ
将来人口は「横ばい」とされています。
しかし、その中身は大きく変わっています。
• 高齢化率は上昇
• 生産年齢人口は減少
つまり、
支える側が減り、支えられる側が増える構造です。
生活保護、障害福祉、介護、子ども施策――
これらは一度拡充すれば簡単には削減できません。
もはや弾力経費ではなく、
実質的な固定経費として積み上がっていきます。
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■ 見えていない「500億円規模」の将来負担
さらに重大なのが、未計上の大型案件です。
たまこう跡地、コクエイケン跡地――
両者を合わせれば、土地取得だけで約500億円規模。
しかし、現行の中長期財政推計には織り込まれていません。
これは「買えませんでした」で済む話ではありません。
世田谷区に残された、数少ない大規模活用可能地です。
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■ 区は何をつくるのか――ビジョンなき財政は危うい
そもそも、区は何を整備するのか。
• 公園なのか
• 学校なのか
• それとも別の公共機能なのか
この点が明確に示されてきたことはない。
財源の議論以前に、
「何をつくるのか」というビジョンが問われています。
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■ 財源戦略なき取得はあり得ない
仮に取得するのであれば、
• 基金で積み立てるのか
• 区債を活用するのか
明確な戦略が必要です。
時間は残されていません。
将来、民間マンションとなった場合、
「なぜ取得できなかったのか」という問いに、
行政は答えられるのでしょうか。
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■ 定住政策は“戦略”になっているか
特別区は税率を独自に変えられません。
つまり、税収増は人口政策に依存します。
だからこそ私は、
定住促進政策の重要性を訴えてきました。
しかし現状はどうか。
• KPIは明確か
• 税収増の見込みは示されているか
• 財政ビジョンと連動しているか
現在の住宅取得補助総額40万円。
バラマキ揶揄されても仕方がない。
しかしこれは、単年度で止められる施策です。
一方で、扶助費や施設更新費は止まりません。
「なぜやるのか」「何が起きるのか」
ここが説明されなければ、政策は支持されません。
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■ 見かけの好調に潜むリスク
現在は住民税増収により、財政は潤って見えます。
しかし実態はどうか。
物価高騰により、各分野で硬直化は進行しています。
規模が大きい自治体ほど、
一度崩れたときの影響は甚大です。
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■ 2034年問題から逃げるのか、向き合うのか
2034年前後に想定される
基金と区債残高の逆転。
これを――
• 回避するのか
• 先送りするのか
明確な方針が必要です。
先送りは、次世代への負担転嫁に他なりません。
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■ 今こそ示すべきは「覚悟」だ
区長の任期は残り約1年です。
次期出馬の有無に関わらず、
問われているのは「今の責任」です。
• 基金積立の目標
• 区債発行の上限
• 公債費の抑制方針
可能な限り具体的な数値で示すべきです。
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■ このままの延長線では、乗り切れない
現在のシミュレーションは、
言わば「現状の延長」に過ぎません。
しかし、それでは確実に行き詰まります。
• 扶助費は増え続ける
• 施設更新はピークを迎える
• 人口構造は変わる
必要なのは、
中長期財政の“再設計”です。
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■ 次世代に責任を持てるか
人口減少と世代間不公平。
この2つをどう乗り越えるのか。
これは政治の本質的な問いです。
私は今回、区に対し、
単なる説明ではなく、覚悟ある方針を求めました。
この問題については、
今後も厳しく追及していきます。
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ホーム>政党・政治家>加藤 たいき (カトウ タイキ)>膨張する予算の裏で進む「静かな財政危機」――いま問うべき覚悟