2025/10/19
自由民主党世田谷区議団を代表して、令和6年度各会計歳入歳出決算認定について、賛成の立場から意見を申し上げます。
本年は、昭和元年から数えて100年にあたります。
昭和という時代は、戦争の惨禍と戦後の焼け野原からの復興、高度経済成長、そしてバブル経済と、まさに栄枯盛衰の歴史を刻みながら現代日本の礎を築いた時代でありました。
その後の平成は、バブル崩壊に端を発する長期不況、度重なる大規模災害、国際環境の変化など、試練と向き合う時代であったと同時に、IT革命や社会制度改革が進められ、1人1台の携帯電話が当たり前となった時代でもありました。そして令和の今日、私たちは少子高齢化、物価高騰、気候変動といった新たな課題に直面しています。しかし同時に、デジタルなど新しい科学技術の力を活かし、未来を切り拓く可能性もまた広がっております。
私は昭和57年の生まれであり、両親すら戦争を知らない世代にあたります。戦争の記憶は直接には持ちませんが、バブル崩壊や停滞といった社会の変化を子どもから青年期にかけて肌で感じてまいりました。こうした三つの時代の歩みを振り返る節目にあたり、先人の叡智と努力に学びつつ、私たち世代が次の世代に平和と安定、そして希望を引き継いでいく責任の重さを痛感しております。
さて、本年は戦後80年の節目に当たります。この夏、全国各地で多くの催しが開催されました。改めて、先の大戦で犠牲となられた方々に謹んで哀悼の誠を捧げるとともに、戦争のない平和な世界を築いていく決意を新たにしたところであります。
先般、民間空襲被害者等の支援についての検討状況が報告されました。被害に遭われた方々に対するお見舞いの気持ちについては立場を同じくするところです。しかし、議会では、区が見舞金を支給する正当性、金額の根拠、障害との因果関係の判定方法など、多くの疑問の声が挙がっています。公金支出には透明性と納得性の高い制度設計が不可欠です。区が狙う「国会での法案成立を後押しする方法」や「恒久平和を願うメッセージの発信方法」は他にもあり得ます。議会の声に真摯に向き合い、慎重な対応を改めて求めておきます。
そのためにも、区政の足元を点検する決算審査は大きな意味を持ちます。限られた財源をいかに区民の暮らしと未来に有効に投資したかを確認し、次につなげていく。この節目の年にあたり、その責務を改めて強調申し上げます。
令和6年度決算を見ると、単年度収支が約19億円、実質収支は約130億円。基金残高は区債残高を大きく上回り、財政健全化判断比率も問題ありません。しかし健全財政の維持は当然の前提であり、そのうえで将来を見据え、区民から預かった税金を計画的かつ効果的に活用することが求められます。必要な投資を決断できず資金が滞留する、予定価格との乖離で事業者が見つからず執行が滞る、計画の杜撰さから事業が延期される、こうした結果の「好決算」であるならば、数値上健全に見えても未来は厳しいものとなります。
このように、財政は一見健全に見えても決して楽観できません。物価高騰や人手不足、急速に変化する社会情勢により行政経営はますます困難を極めています。ここ数年のインフレ率を鑑みても、名目と実質の乖離を直視する必要があります。経常収支比率は概ね約8割で自由に使える財源は2割程度しかありません。その中でこの先2兆円超にのぼる施設改築整備、新規事業の積み増し、扶助費・人件費の自然増をどう吸収していくのか。基金と区債の均衡が崩れる時期も近づいております。税収の上振れによる黒字を喜んでしまう人がいるならば、いささか楽観的です。これは数字上のまやかしに過ぎません。議会はもちろん、区民にもこの現実を共有すべき時期にきています。
保坂区長におかれましては、区民全体の福祉増進のために何を成すべきか、ということを絶えず自問のうえ議会の声に真摯に耳を傾け、困難や、ごく一部の反対から逃げることなく決断し、限りあるリソースを真に必要な施策に配分していただきたい。そして、効果の乏しい事業は改善が見込めなければ勇気をもって廃止し、民間ができる事業は民間に任せるなど、事業のスクラップ&ビルドを進め、持続可能な区政運営を進めることを強く求めます。
これまで我が会派が提言してきた政策の速やかな実現を期待し、特に強調したい分野について、以下、申し上げます。
まず、災害対策についてです。
区は、「首都直下地震等による人的・物的被害を2030年度までに概ね半減する」という目標を地域防災計画に掲げ、実現に向けて「災害対策強化プラン」を策定しましたが、何をおいても都市構造そのものの防災性を高め、地震に強い都市づくりを進める「安全な都市づくりの推進」こそが、最重要と考えます。
プランに掲げる木造住宅密集地域の防災性向上、建築物の耐震化、無電柱化は、いずれも重要な施策として着実な実行を求めます。しかし、木密地域の防災性向上に関し、建築物の不燃化促進のみが焦点されていることが解せません。東京都が防災都市づくり推進計画で示す通り、延焼遮断帯としての都市計画道路や防災生活道路の整備、公園など空地の確保も同時に進める必要があります。プランの再考を求めます。
区長は、道路整備は災害対策であることを肝に銘じ、逃げることなく臨んでいただきたい。都市計画道路については、事業中の路線の一日も早い開通に向けて全力を尽くすとともに、現在策定中の次期整備方針では、補助54号線の下北沢Ⅱ期・Ⅲ期区間の優先整備路線への指定を強く求めます。第4次事業化計画の10年と次期計画期間の15年、保坂区政になって都合25年道路整備が遅れた結果、首都直下地震で甚大な被害が出てしまった、と言われることが無いような決断と取り組みを、切に望みます。
また、恵泉通りについては、陳情の趣旨採択により区議会の意思は示されています。土地占有者との対話から逃げ、答弁の常套句となっている「行政代執行を巡る課題の整理」という言葉で議会の意思からも逃げ続けてきましたが、もう終わりにしましょう。恵泉通りの開通を保坂区長のレガシーとして誇れる日が来ることを期待しております。
次に、豪雨対策についてです。今年もゲリラ豪雨の被害が、区内各所で発生しました。繰り返される浸水被害を受け、我が会派は区長に要望書を提出しましたが、改めて課題として浮き彫りになった「情報伝達体制の改善」に加え、「東京都および近隣区との連携強化」、「流域治水の推進と区民による自助の促進」、そして「実践的な避難・復旧支援の充実」に係る取り組みについて、速やかな検証と対策の強化を求めます。豪雨被害のない、安全・安心な街の実現を心より願っております。
次に、定住政策です。
区では、子育て世帯の転出超過が続いています。多くが経済的な理由や居住面積の問題から郊外に転出していると考えられます。マンパワーの掘り出しや税収確保に向け、世田谷に愛着を持つ世帯に対する定住政策が必要です。住宅要配慮者に対する着実な支援に加え、若者世代への区営住宅の優先入居枠の創設・拡大や、投資的観測を持った住宅購入補助など、あらゆる施策の検討を求めます。将来の世田谷を支え、地域経済の活性化や地域コミュニティの担い手となる世帯が、区に住み続けられる政策の展開を期待しています。
次に、物価高対策です。
昨年に続き、平均5%超の賃上げが実現したものの、物価高騰の長期化により、区民生活や区内事業者の経営は依然、厳しい状況です。高市自民党新総裁も追加の経済対策を表明されています。区においても、現在、編成中の来年度予算に加え、補正予算の編成も視野に、区民生活及び区内事業者に対する迅速かつ継続的な支援を期待しております。
次に、公共交通政策です。既に区内では多くのバス路線が減便・廃止を余儀なくされています。既存バスがなくなることで交通不便地域が拡大することが孕んでいること、バスの運転手不足という構造的な問題への対処は国や都と十分連携しながら行っていただきたいと考えます。現状の区民の足を守ることはコミュニティを守ることでもあることから、事業者への行政的支援や民間事業者との連携をを求めます。
最後に、火葬場についてです。
我が国もついに多死社会に突入し、火葬場に関する諸問題が表面化してまいりました。特に都市部では、冬季における火葬待ちの長期化や、施設の寡占状態による料金の高騰など、切実です。我が会派は、これらの諸問題をいち早く予見し区に働きかけてまいりましたが、法令上の制約もあり、大きな進展は見られていません。しかし、火葬場の経営・管理を区市町村の事務としてきた東京都が、墓地埋葬法の見直しを国に求めるとともに、火葬能力の強化に向けた取り組みなどに積極的な姿勢を表明したことに、潮目の変化を感じています。
火葬場は、「人生の最期を受け止める究極の福祉施設」であり、その重要性は今後ますます高まります。この機を逃すことなく、区長におかれましても区長の立場でしか出来ない事を取り組むことを要望し、区としては東京都と緊密に連携し、一刻も早い火葬場問題の解決に向けて、予算や組織の体制を整え全力で取り組んでいくことを、切に願います。
以上、縷々申し上げましたが、保坂区長におかれましては、区民へのパフォーマンス的な施策に終始するのではなく、時に未来を見据えた厳しい現実的な決断をすること、また各種政策について議会と真摯に向き合い、合意形成を得たうえで迅速果断に実現していくことを切に願い、自由民主党世田谷区議団の意見といたします。
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