2026/7/7
週刊yasushi第1048号
「言葉は時を越える」
「古川さん、18年前のあの挨拶、今でも覚えていますよ。」
思いがけない一言だった。
週末、唐津市で全国の城下町の青年会議所(JC)メンバーが集う「全国城下町シンポジウム」が開かれた。ウェルカムレセプションで、地元選出の国会議員として歓迎の挨拶を申し上げた。
このシンポジウムは18年前にも唐津で開催されている。当時、私は佐賀県知事として同じ壇上に立っていた。
知事時代は数え切れないほど挨拶をしたが、その内容を覚えているものはほとんどない。それでも、この時の話だけは今も鮮明に記憶している。
全国には数多くの城下町がある。県庁所在地ではない城下町の多くは、人口減少や産業構造の変化という厳しい現実の中で、歴史や文化を力に未来を切り拓いていかなければならない。そして、「城下町が栄える時、地方が栄える」。そんな思いを18年前に語り、今回も同じ気持ちでお話しした。
挨拶を終えて席に戻ると、一人の男性が駆け寄って来られた。唐津JCのOBの方だった。
「18年前の挨拶、本当に覚えています。いい話だなと思って聞いていました。あの日の夜、街で偶然お会いして、お話ししたことまで覚えています。」
本当に驚いた。
自分の中で大切にしてきた言葉だったから、18年経っても忘れずにいた。しかし、その言葉が誰かの心にも残り、同じ時間を刻んでいたことが何よりうれしかった。
言葉は、話した瞬間に消えてしまうものではない。
心に届いた言葉は、人の中で育ち、時を越えて生き続けることがある。政治の世界では、制度をつくることや予算を確保することが大切なのは言うまでもない。しかし、それと同じくらい、人の心に届く言葉を紡ぐこともまた、大切な仕事なのではないかと思う。
18年前の出来事が、そのことを改めて私に教えてくれた。だからこそ、これからも一つ一つの言葉に思いを込め、誠実に語り続けていきたいと思う。
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