2026/7/9
【北海道の自然を守る「ギャップ分析」――データで描く、未来へのグランドデザイン】
昨日7月8日は、金子 正美 先生 Miki Arisaka さんと、北海道庁の環境生活部の皆さんといっしょに、北海道の自然を守るための強力なツールである「ギャップ分析」について、一歩踏み込んだ勉強会を行いました。
ギャップ分析とは、簡単に言えば「守るべき自然が、きちんと守られているか」を科学的に見える化する手法です。
生き物のすみかを示す地図と、国立公園や自然公園など既存の保護区域の地図を、GISと呼ばれる地理情報システム上で重ね合わせることで、「重要な自然があるにもかかわらず、法的な保護が十分ではない場所」が浮かび上がってきます。
いわば、自然を守るための“健康診断”です。
問題が起きてから対応する「対症療法」ではなく、科学的データに基づいて、先回りして守るべき場所を明らかにする「予防的なアプローチ」と言えるのではないでしょうか。
北海道では、実は20年以上前から、この分野に先駆的に取り組んできた研究者の方々がいました。金子先生がその牽引役ですが、H-GAPと呼ばれる研究会が立ち上がり、当時としては非常に先進的な調査や地図化が行われていたそうです。そこには、道庁も当時の試験研究機関も参画していました。
しかし、その時代はまだインターネットも今ほど発達しておらず、膨大な地図や報告書の多くが、デジタル化されないまま眠っている状況にあります。
今回の打ち合わせでは、こうした先人たちが積み上げてきた「お宝データ」を、今の技術で掘り起こし、現代の政策課題に活かしていくことの重要性が大きなテーマとなりました。
北海道の自然は、いま大きな転換点にあります。
北海道の湿地は、この100年で実に3分の2が失われたとも言われています。かつて広大につながっていた湿地や森林、草原は、開発や土地利用の変化によって分断され、生き物たちは狭い場所に押し込められています。
宮島沼や、ウトナイ湖など、野鳥が集まってある意味自然環境保全の聖地だったり、エコツーリズムのメッカになっていますが、これは、まるで生き物たちが「難民キャンプ」のような状態に置かれているのだと知りました。他に行き場所がないのです。。。
狭い場所に多くの生き物が集中すれば、感染症の拡大や、エゾシカによる農業被害など、さまざまなリスクも高まります。だからこそ、自然を「点」として守るだけではなく、「面」や「ネットワーク」としてつなぎ直していく視点が必要です。
さらに、これからの時代のギャップ分析は、過去のデータを整理するだけにとどまりません。
AIや3D技術、レーザー計測で森を立体的に把握するLiDAR、川や湖の水を調べることで生息する魚や希少種を把握する環境DNA、そして気候変動によって生き物の生息地が将来どう変化するのかを予測する技術など、最新の科学技術を組み合わせることで、「北海道ギャップ分析2.0」とも言える新しい段階に進むことができます。
ただし、そのためには大きな課題もあります。
現在、自然環境、農業、林業、河川、土地利用などに関するデータは、それぞれの部署や機関に分散しています。せっかく大切なデータがあっても、共有されず、活用されにくい「縦割り」の壁があります。
これを乗り越え、行政、大学、研究者、市民、NPO、地域の皆さんが一つのプラットフォームでつながり、オープンデータとして共有していく基盤づくりが必要です。
自然を守ることは、行政だけの仕事ではありません。
私たち市民一人ひとりも、地域の自然を見守る大切な担い手です。野鳥の観察、植物の記録、湿地や川の変化への気づきなど、市民の観察データも、北海道の未来を考える大切な財産になります。
科学的データに基づき、「どこを開発し、どこを厳格に守るのか」。その判断を感覚や場当たり的な対応ではなく、北海道全体のグランドデザインとして描いていくことが、今まさに求められています。
再生可能エネルギーの導入、半導体関連産業の集積、観光振興、農林水産業の持続可能性、そして生物多様性の保全。
これらは別々の課題ではなく、すべて北海道の土地と自然の使い方に関わっています。
だからこそ、ギャップ分析は単なる自然保護の技術ではなく、北海道の未来をどうデザインするかという政策の土台になるものだと感じています。
先人たちが残してくれたデータを眠らせたままにせず、最新技術と市民の力を組み合わせながら、北海道の自然を次の世代につないでいく。
そのための新しい挑戦が、いま始まろうとしている、その最初の一歩になったと信じて、9月議会を目途に、また、がんばります。
写真は、全く関係のない夜中の締めカレー。激うまでした。綱渡りのような毎日の終わりに飲み物のように食べてしまいました。痩せないなぁ笑

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