2026/5/8
武雄アジア大学の閉校と補助金13億円の返還を求める署名(6,188筆)の武雄市への提出を紹介して以降、各SNSユーザーから「そもそも副市長とは何をする人なのか」というコメントや意見が多数寄せられるようになった。
そこで改めて、市長や町長を支える副市長・副町長という存在について考えてみたい。
地方自治法第167条では、「副市町村長は、首長を補佐し、首長の命を受けて政策や企画を担い、職員の事務を監督し、必要に応じて首長の職務を代理する」立場とされている。
自治体経営の目線で言えば、首長(知事、市長、町長、村長)がCEOなら、副知事、副市長・副町長・副村長はCOOである。首長の政治的な意思を、予算、組織、人事、条例、事業、議会答弁に落とし込み、実際に役所を動かす責任者が副市長・副町長である。
首長が外交、対外的なミッションを担い、副市長や副町長が内政、行政組織の取り回しを担う。こうした役割分担もよく聞く。
首長は、国や県との交渉、民間事業者との連携、他自治体との関係づくり、メディア対応、住民への大きなメッセージ発信に動く。いわば、自治体の外に向けて旗を立てる役割である。
一方で、副市長・副町長は、その旗を実際の行政運営に落とし込む。庁内調整、部局間の利害調整、予算編成、人事、議会答弁、工程管理、リスク管理を担う。いわば、自治体の内側を動かす役割だ。
ここからは、武雄市で起きていることに引き付けて考えてみたい。
問題は、副市長が「内政担当」として、単なる庁内調整役で終わってしまうことだ。
本来、副市長は、首長に最も近い場所で、最も厳しいことを言わなければならない人である。
市長、それは財政的に持ちません。
市長、その説明では市民は納得しません。
市長、その数字の前提は崩れています。
市長、このまま進めると市政全体の信用問題になります。
こう言える人でなければならない。
武雄市の場合、副市長は昨春から実働2人体制になっている。正確に言えば、副市長の定数は以前から条例で2人とされている。制度上、2人置けること自体は問題ではない。
しかし、なぜ昨春の段階で人口5万人を割り込む武雄市で、副市長を2人置く必要があったのか。1人体制では何が限界だったのか。2人にしたことで、どの政策判断が速くなり、どの課題が前に進んだのか。4年任期の人件費(5,900万円)に見合う成果を、市民にどう説明するのか。この経営上の説明がまったく見えない。
とりわけ署名簿を受け取っていただいた庭木淳副市長におかれては、武雄アジア大学の誘致に深く関わってきた人物でもある。市議会でも、当時の企画部長として、「大学開学による経済波及効果を25年間で約154億3,000万円」と説明している。
ところが、現実には開学初年度から定員140人に対して入学者37人と大幅に見込みを割り込んだ。
この時点で、庭木副市長が本来やるべきことは明確である。
37人ベースなら経済効果はいくらになるのか。税収効果はどこまで下がるのか。旭学園の財務は持つのか。13億円の市補助金の支出判断は妥当だったのか。どの時点で撤退、縮小、返還請求を検討するのか。
住民が知りたいことを率先して示すべきだ。
にもかかわらず、こうした核心に踏み込まず、地方の私大を巡る最新の状況も把握していない、文科省の最高幹部の認識も知ろうとしない、住民に対しては抽象的な説明で済ませようとするなら、「どうせ市民は難しいことは分からない」と相変わらずお考えなのかな、と思えてしまう。
副市長の仕事は、市長の方針を闇雲に守ることではない。住民の命と暮らしと財産を守ることである。
市長の意向を忖度するだけの副市長なのか。それとも、市長の甘い前提を指摘して地域と住民を守る副市長なのか。そこが見られる場面だ。
武雄市にいま必要なのは、「説明を尽くす」「来年は200人の入学者を迎える」と言い張ることではない。前提が崩れた武雄アジア大学誘致という政策を、数字で検証し直すことである。
そして、小松市長にその意思が見られない今、その先頭に立つべきなのが庭木副市長なのだ。


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