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【スポーツ団体補助金訴訟】敗訴確定

2026/6/28

地裁高裁で敗訴したスポーツ団体補助金訴訟について、最高裁判所へ上告受理申立という手続きを行ったのですが、上告審として受理しないとの決定が最高裁から下され、敗訴確定となりました。

残念ですが、これで終了です。

以下は本件の上告受理申立ての理由です。

上告受理申立ての理由

第1 事案の概要

 本件は、原判決第2に記載のとおり、高槻市の住民である申立人が、高槻市が高槻市スポーツ振興事業補助金交付要綱(本件要綱)に基づいてスポーツ振興事業を行う団体に概算払の方法により交付した令和5年度及び令和6年度の高槻市スポーツ振興事業補助金(本件補助金)について、その額の確定の方法が本件要綱に違反しているなどと主張し、高槻市の執行機関である相手方に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、原判決の事実及び理由第1記載の各請求をする住民訴訟の事案である。

第2 「領収書の写し等」に「領収書の原本」は含まれないこと

 原審は、「控訴人は、写しと原本は別のもので、あって、本件要綱(令和6年改正前)のいう『写し等』 には原本は含まれないと主張する。しかしながら、『写し等』の『写し』に原本が含まれないとしても、文理上、『等』には原本が含まれると解される。したがって、控訴人の上記主張は採用できない。」とする(原判決3頁10ないし13行目)。
 しかし、ネットの集合知たるAIの回答である甲41ないし46のとおり、「写し等」には「原本」は含まれず、当然、「領収書の写し等」に「領収書の原本」は含まれない。
 甲41等のとおり、原本と写しは異なる概念であり、「写し等」とは原本以外の複製された文書全般を指し、「写し等」の「等」とは、写しと同類の副生物である謄本、抄本、正本、副本などを指すというべきである。
 あるいは、政治資金規正法11条2項の「領収書等(振込みの方法により支出したときにあつては、金融機関が作成した振込みの明細書であつて当該支出の金額及び年月日を記載したもの(以下「振込明細書」という。)」の定めからすれば、領収書や振込明細書等の支出を証する書面の写しというべきである。
 原判決の確定によって、「写し等」には「原本」が含まれる、あるいは「領収書の写し等」には「領収書の原本」が含まれるとの判例が成立してしまえば、一般常識・社会慣行とは正反対のものなのであるから、行政事務や企業会計に混乱を招き、多大な悪影響を及ぼしかねない。

第3 本件要綱の定め及び本件要綱に反する相手方の独自の運用

1 本件要綱における「領収書の写し等」に関する定め

 本件補助金(高槻市スポーツ振興事業補助金)の概算払いの交付を受けたスポーツ団体等の補助事業者は、本件要綱(乙1、6。本書面では注釈のない限り令和6年改正前の本件要綱を「本件要綱」という。)17条に基づき、実績報告書に、「補助事業の収支決算書又はこれに相当する書類」(同条1号)、「補助事業の成果を記載した書類(補助事業の効果を検証できるもの)」(同条2号)、「補助対象経費の支出を確認できる書類(領収書の写し等)」(同条3号)等を添付して、市長に対し、提出しなければならない(具体的には甲30ないし32のものである)。

2 二転三転する相手方の主張

 ところが、申立人や、市民が情報公開請求をすると、実績報告書と、「補助事業の収支決算書又はこれに相当する書類」(同条1号)、「補助事業の成果を記載した書類(補助事業の効果を検証できるもの)」(同条2号)は、公開されたものの、「補助対象経費の支出を確認できる書類(領収書の写し等)」(同条3号)は公開されなかった(甲40等)。
 この3号の「領収書の写し等」について、相手方は、「領収書の写し等は、実績報告書の提出時には添付されており、担当職員が確認し、決裁後に返却」「領収書はほとんど原本だった」「例外なく原本が提出された。一部は、被告職員が、事業者の事務所で確認した」「団体のなかには(確認した原本の中に)原資書類のコピーが混在している場合もあった」と、主張を二転三転させた(詳細は令和6年8月20日付原告準備書面4に記載)。
 このように、相手方の主張は、まったく信用できないものである。

3 相手方の独自の運用(本件運用)

 相手方は、最終的には、本件要綱17条3号の領収書の写し等を提出させず、領収書等の原本を直接確認したとしており、そのやり方を、第一審では「本件運用」と称した(本件運用の詳細は、第一審判決7頁11ないし25行目のとおり)。

4 本件要綱に反し、あるいは本件要綱に基づかない本件運用

 本件運用が、「領収書の写し等」を実績報告書に添付して提出することを義務付けている本件要綱17条の定めに反し、あるいは、同条に基づかない違法なものであることは、誰の目から見ても明らかである。

5 小括

 以上のとおりで、原審の判断が失当であることは明白である。

第4 高槻市は「写し等」を、補助事業者は「原本」を、それぞれ保管すべきであること

1 原審の判断

 原審は、「また、控訴人は、領収書の原本を確認した後に返却すれば、本件補助金が適正に支出されたか否かを事後的に検証することができず、不正の疑いに直ちに対応することができないから、高槻市において保管すべきであると主張する。しかしながら、原判決を引用して認定したとおり、一旦提出された『写し等』を高槻市において一定期間保管しなければならない旨の定めはないのであるから、たとえ『写し等』の提出を受けた後、すぐに返却したとしても、本件要綱に違反するとはいえない。したがって、控訴人の上記主張は採用できない。」とする(原判決3頁14ないし20行目)

2 高槻市行政不服審査会及び大津市監査委員のまっとうな指摘

 しかし、本件運用について、高槻市行政不服審査会は、「本件運用が本件要綱どおりの手続になっているとはいい難く、本件補助金が適正に支出されたか否かを事後的に検証することが不可能となるなどと指摘し、本件運用の見直しの検討を求めている」(第一審判決22頁18ないし21行目、甲10・8ページ「5 その他」)。
 なお、同審査会の当時の委員は、会長・松本和彦氏(大阪大学大学院高等司法研究科長(憲法))、副会長・野田崇氏(関西学院大学法学部教授(行政法))、福島力洋氏(関西大学総合情報学部准教授(憲法・情報法))、山本婦紗子氏(弁護士)、小谷真理氏(同志社大学政策学部准教授(行政法))の5名であり、いずれも、学識経験者として、相手方が任命した者である。
 また、大津市監査委員も、本件と同様の事例について、職員が直接、領収書等の原本の確認を行っていたことから、通知を遵守し、透明性を高め、市民に対する説明責任を果たすとともに、補助金交付事務の適正な執行に努められたいとして、是正措置を行った(甲20・1頁第1項)。
 本件要綱には、領収書の写し等を、補助事業者に返却する定めはない。返却する合理性もない以上、高槻市において保管するのは当然である。
 甲37及び38のとおり、老人クラブの補助金の実績報告書に添付された領収書の写し等は、高槻市が保管しており、市民からの情報公開請求に対し、公開された。
 この同じ高槻市による矛盾した対応からも、本件運用が、一般的な補助金交付事務から外れたものであることは明らかである。
 高槻市行政不服審査会及び大津市監査委員からの上記の至極まっとうな指摘に対して、原審や大阪地裁の判断は、あまりにも常識外れであり、滅茶苦茶としかいいようがない。

3 本件要綱からすれば原本の保管義務はスポーツ団体等の補助事業者にあること

 領収書の原本を含む帳票類の保管義務は、領収書の交付を受けた事業者側にあるのが原則である。こうした帳票類が手元になければ、税務調査等を受けた際に、不正があると見做される。
 本件要綱27条においても、「補助事業者は、補助事業に係る経費の収支を明らかにした書類、帳簿等を常に整備し、第18条の規定による補助金額確定通知を受けた日から5年間保存しなければならない。」として、「常に整備」することを義務付けている。
 したがって、補助事業者は、領収書の原本を、常に整備しておかなければならないのである。
 この常に整備すべき領収書の原本を、高槻市に提出させるという本件運用は、本件要綱に反するだけでなく、会計事務の常識からしても、明らかにおかしい。

4 小括

 以上のとおり、原審の判断は失当というほかはない。

第5 詐欺を黙認する原審

 原審は、「さらに、控訴人は、被控訴人が確認したという各種スポーツ団体が提出・提示した領収書等の原本に、領収書等の写しが含まれていたから、違法であると主張する。しかしながら、本件要綱(令和6年改正前)において添付すべきとされているのは『写し等』であるから、写しが含まれていても問題はない。」とする。
 しかし、相手方は、本件要綱では求められていないにもかかわらず、わざわざ補助事業者の事務所に赴いて、「原本」を確認したとしているのである。その確認したとする「原本」の中に、領収書の「写し」が含まれていれば、補助事業者は、補助金の水増し請求を行ったといえるし、相手方は、その水増し請求を黙認したといわざるをえない。
 第一審も、「・・・本件運用において、各種スポーツ団体が提出した領収書の原本等には、領収書等のコピーや、電磁的記録として存在する領収書等をプリントアウトしたものが含まれていた。原告は、これらの写しを本件補助金の額の確定の根拠にしたことは、収支決算の正確性を確認したとは到底いえず違法であるなどと主張する。・・・実質的にみても、領収書等の写しについては、コピー機を用いて作成された複写コピーの場合には、その原本を機械的に複写したもので、あって、外観上特に不自然なところがなければ一定の信用性を有するといえる・・・」とする(第一審判決23頁20行目ないし24頁8行目)。
 大阪地裁は、実際の「領収書等のコピー」なるものを見ていないにもかかわらず、「外観上特に不自然なところがなければ一定の信用性を有する」と、空想で判断したのである。
 補助金の水増し請求は、詐欺罪(刑法第246条)に該当する。
 「写しが含まれていても問題はない。」と断言等する原審や大阪地裁は、犯罪に加担しているも同然といわざるをえない。
 よって、原判決は、刑法の解釈を誤ったものというほかはない。

第6 結語

 以上のとおり、原判決は、法令の解釈等を誤ったものであるから、上告を受理し、原判決を破棄の上、自判により申立人の請求を認容するか、差し戻すべきである。

以上


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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)
https://x.com/kitaokatakahiro

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著者

北岡 たかひろ

北岡 たかひろ

選挙 高槻市議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 2,530 票
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