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かつまた 修二 ブログ

失語症のある方々に対する支援について

2026/3/9

この質問の要約

こんにちは!尾張旭市議会議員の勝股修二です。

このページでは、私が市議会の一般質問で取り上げた「失語症のある方々に対する支援について」の議論をご紹介しています。

皆さん、「失語症」という障がいをご存知でしょうか?脳卒中や事故の後遺症などで脳の言語中枢がダメージを受け、「話す・聞く・読む・書く」という機能がうまく使えなくなってしまう障がいです。ここで最も重要なのは、「知的能力や感情、記憶は以前と全く変わらない」ということです。中身はそのままなのに、突然言葉が通じない世界に放り出されてしまう。この外見からは分かりにくい「目に見えないバリア」が、当事者の方々を深い孤立へと追い込んでいます。

脳血管疾患や交通事故は誰にでも起こり得るものであり、決して他人事ではありません。尾張旭市内にも、推計で200名前後の方がこの障がいで苦しんでいる可能性があります。そこで私は、市に対して以下の点を強く訴え、議論しました。

  • 当事者の実態把握とニーズ調査の必要性 国も自治体の責務としてニーズ調査を求めていますが、市は「正確な人数の把握は難しい」としつつも、障がい者計画のアンケート等を通じて把握に努めると答弁しました。基礎自治体だからこそ、埋もれている声に耳を傾ける努力が不可欠です。
  • 市の支援の現状と情報発信の課題 現在、市は愛知県が実施する「意思疎通支援者の派遣事業」をホームページで案内しているだけにとどまっています。市も「情報が不十分」と認識しており、今後は職員や市民向けの理解促進講座など「周囲の環境を整える(間接的支援)」取り組みを進めるとのことでした。
  • 社会参加の「場(サロン)」と「専門職」の活用 失語症の方やご家族が社会と繋がるためには、専門知識を持った「会話パートナー(ボランティア)」がサポートする「サロン」のような場が極めて有効です。近隣市でも開催されていますが、まだまだ足りません。市としてこうした「場づくり」にどう関わっていくべきか、具体的な提案を行いました。

この問題はまだまだ知らない方が多く、市役所の中でもしっかりと把握できているわけではありません。今回の質問で、まずはみなさんに知っていただくことから始めました。言葉を失い孤独に苦しむ市民が、再び地域社会との繋がりを取り戻し、自分らしく暮らせるまちをつくること。それは行政の重要な責務です。見えない障がいに光を当て、誰もが孤立しない尾張旭市を目指して、引き続き全力で取り組んでまいります。

熱のこもった一般質問の全文を、ぜひ以下の全文でご覧ください!

議事録全文

質問事項2「失語症のある方々に対する支援について」に入ります。

失語症は、脳卒中や事故等の後遺症により脳の言語中枢が損傷され、知的能力に変わりはないものの「話す・聞く・読む・書く」という、日常生活の基盤である言葉の機能を失う障がいです。外見からは障がいの存在が分かりにくいため、社会から理解されず、日常生活のあらゆる場面で「目に見えないバリア」に突き当たっています。当事者団体による調査では、9割近くが「生活のしづらさ」を感じ、深刻な社会的孤立を招いている実態が報告されています。

こうした中、国は2023年5月に「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」を改正しました。この指針では、自治体の責務として「失語症等の障害特性に配慮した意思疎通支援のニーズを把握するための調査」や「必要な意思疎通支援者の養成」、「派遣体制の構築」を明確に求めています。また、障害を理由とする差別の解消の推進にあたっては、対象者は「障害者手帳の所持者に限られるものではない」と明記されており、手帳の有無にかかわらず社会的障壁を取り除くための合理的配慮が不可欠となっています。

愛知県においても、令和2年度から意思疎通支援者の派遣事業が開始され、令和7年度からは利用要件が緩和されるなど、公的支援の枠組みは国の指針に沿って進化しています。

本市においても、言葉を失い孤独に苦しむ市民が、再び地域社会との繋がりを取り戻し、自分らしく暮らせるまちづくりを推進することは、国の指針に基づく自治体の責務であると考え、今後の本市における失語症のある方に対する支援について小項目ごとにお伺いしていきますが、質問に入る前に失語症についてもう少し深掘りをしておきたいと思います。

失語症とは、脳の損傷によって、それまで当たり前に使っていた「言葉」という道具がうまく使えなくなってしまう状態を指します。よく誤解されますが、喉や舌の病気ではなく、脳の「言語をつかさどる部分」、脳の左半分(左半球)には言語を処理する部分があることが多く、そこが傷つくことで発症します。傷つく理由は脳梗塞や、頭部外傷、脳腫瘍などです。

「言葉」に関わる4つの機能すべてに影響が出ますが、人によって現れ方はさまざまです。「話す」ことについては、言葉が出てこない、「あれ、ほら、あれ…」となる。「聞く」ことについては、音としては聞こえているが、意味が理解できない、外国語を聞いているような状態となる。「読む」ことについては、文字を見ても意味がわからない、音読できない。「書く」ことについては、自分の名前や簡単な単語が思い出せない、書き間違えるなどです。ここで最も重要な点は、知能や記憶の障がいではないということです。損傷の範囲によって、知的能力に影響が出ることもありますが、失語症の方は、物事を判断する能力や感情、記憶、自分らしさは以前と変わりません。例えるならば、突然、言葉も通じない、看板も読めない異国の地に一人で放り出されたような状態です。中身はそのままなのに、思考も感情も以前と同じ、"私"という人間はそこにいるのに、世界との扉が閉ざされてしまう。このもどかしさと孤立感は、想像を絶するものがあります。

議場内にいらっしゃる方々も、他人事ではありません。脳血管疾患の好発年齢は、50代以降ですし、この疾患はある日突然降りかかってきます。また、交通事故による脳損傷もいつだって起こりうるのです。

(1) 失語症当事者の実態把握とニーズ調査について

小項目1に入ります。厚生労働省告示の「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」46ページでは、自治体が「失語症等の障害特性に配慮した意思疎通支援のニーズを把握するための調査」を行うことが必要であると明記されています。本市においても、当事者の生活実態や支援ニーズを明らかにするための調査を行なっているのか、小項目1、本市における「失語症当事者の実態把握とニーズ調査について」お伺いします。

【健康福祉部長】

お答えします。

失語症につきましては、国の推計によれば全国に約20万人から50万人の患者がいるとされていますが、その人数はあくまで推計上の人数です。

失語症は、身体障害者手帳の「音声機能、言語障害又はそしゃく機能障害」の中に含まれますが、軽度の方々については等級がつかないことが多いことや、肢体不自由により別の障害として登録されるケースも多く見受けられます。

また、本人が失語症であると認識しないまま、異なる病名で治療や支援を受けている場合もあるため、失語症当事者の人数を正確に把握することは極めて難しいとされています。

こうしたことから、本市における失語症のある方の生活実態や支援ニーズを直接把握することは難しいですが、現時点では、3年に一度実施しております「障がい者計画」策定のために、障がい当事者の方へのアンケート調査を実施しておりますので、この調査を通じてニーズの把握に努めているところです。

今後につきましては、国や研究機関が実施している失語症に関する実態調査の結果や資料なども活用して、生活実態等の把握に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

ありがとうございます。人数やニーズを把握することが難しいからこそ、基礎単位である市町村に調査が求められているのだと思います。今後もより詳細なニーズ把握に努めていただくようお願いいたします。失語症のある方が全国で30万人と仮定すると、本市には200名前後の方がおられると推計されます。これだけの方が困っている可能性があるということです。

(2) 本市における失語症のある方々に対する支援の現状について

小項目2に入ります。本市において、失語症のある方々に対して現在どのような支援が行われているのか、小項目2「本市における失語症のある方々に対する支援の現状について」お伺いします。

【健康福祉部長】

お答えします。

失語症のある方への支援について、現在は、愛知県が「失語症者向けの意思疎通支援者の派遣事業」を実施していますので、本市のホームページを通じて必要な情報を周知しているところです。

しかしながら、ホームページの掲載のみでは、失語症についての情報が十分ではないと感じておりますので、失語症についてわかりやすく周知する工夫が必要だと考えております。

また、失語症をはじめとする障がいのある方々は、「周囲の理解と関わり方」により、障がいの程度が大きく変わる可能性があるため、意思疎通支援者の派遣などの「直接的な支援」だけでなく、周囲の環境を整え、コミュニケーションの壁を取り除く「間接的な支援」も重要だと考えております。

そうした視点から、先月、庁内職員を対象とした「合理的配慮」などに関する研修を実施したところですが、今月の中旬には、市民向けの理解促進講座も開催する予定としております。

今後も、職員や事業所、市民を対象として研修や講座を実施するなど、障がいのある方への理解促進や差別解消に向けた取組を推進してまいります。

以上でございます。

ありがとうございます。現状についてご答弁いただきましたが、周知啓発の段階であることがわかります。ご答弁の中で「失語症者向けの意思疎通支援者の派遣事業」というものが出てきましたが、あまり耳馴染みがないかもしれませんので、ここで詳しく紹介させていただきます。

「失語症者向け意思疎通支援者」とは、2018年度から国の事業として本格的に始まった、失語症の人に特化した公的な支援担当者のことです。それまでは後述するボランティアベースの「会話パートナー」が主流でしたが、専門性を高め、自治体の派遣事業として公式に認められた専門家という位置づけになります。本来、「失語症向け意思疎通支援者」は市町村が主導し、地域住民の生活に密着した支援を行うべきものです。名古屋市では市と専門団体である愛知県言語聴覚士会が直接連携する体制が整っていますが、それ以外の市町村では、県が広域的に一括して愛知県言語聴覚士会に委託を行う形式をとっています。本市のホームページでも、本事業については1行の事業説明と、愛知県言語聴覚士会のホームページのリンクを貼っているのみでした。

(3) 社会参加を促す「場」と「専門職」の活用について

小項目3に入ります。失語症のある方やご家族が社会との繋がりを取り戻すには、集団で会話を楽しむ「サロン」は非常に有効な場であると言われています。近隣市では、瀬戸旭セラピストネットワーク主催で、有志の言語聴覚士らのご尽力で、せと失語症サロンが年3回実施されています。その他にも、名古屋市、春日井市、一宮市などで開催されていますが、愛知県内でも数えるほどしかなく、それぞれの開催頻度も数ヶ月に一回程度と、充実しているとは言い難い状況です。そこで、本市としても、場を作るための取組に、いかような形でも携わることはできないでしょうか。また、サロンにおいては、「失語症会話パートナー」の方々が非常に重要な役割を担います。失語症会話パートナーとは、「失語症」のある方々が、スムーズにコミュニケーションをとれるようサポートする専門的なボランティアや支援者のことです。単なる「お話し相手」ではなく、失語症という障がいを正しく理解し、相手が「伝えたいこと」を引き出すための技術を持ったパートナーであり、以下の役割を担います。①コミュニケーションの橋渡し、言葉が出てこない時に、絵カード、筆談、ジェスチャーなどを使って意図を汲み取ります。②心理的サポート、うまく話せないもどかしさや、社会からの孤立感を和らげ、外出や交流のきっかけを作ります。③社会参加の促進、家族以外の人と話す機会を提供し、失語症の方が「自分の力で伝えられた」という自信を持てるよう支援します。失語症に対する理解は難しいものであり、失語症に関する医療に携わったことのない方にとっては、失語症のある方とのコミュニケーションは非常に困難です。愛知県では失語症会話パートナーの養成を、愛知県言語聴覚士会や「NPO法人あなたの声」などの協力により、県内各地で開催されていますが、まだまだリソースも限られており、言語聴覚士の有志の方々の協力を必要とするなど、まだまだ普及しているとは言えない状況です。

そこで、本市の「地域リハビリテーション専門職派遣事業」において、言語聴覚士等の専門職が、地域の「会話パートナー」を育成・指導するアドバイザーとして関わる仕組みを構築するなど、本市の失語症のある方々のために、何らかの支援を検討できないかお伺いします。

【健康福祉部長】

お答えします。

失語症のある方にとって、同じ悩みを持つ仲間との交流の場は、「自分だけではない」という安心感を得るだけでなく、コミュニケーションの不安を解消し、社会参加への意欲を育む助走の場としての役割を担っていると考えております。

現在、本市には、失語症の方を対象とした専門のサロンなどの交流の場はありませんが、その必要性については認識しております。

しかしながら、サロン等の設置には、専門職の人材確保や運営体制の構築など、多くの課題が伴いますので、まずは、他市町の支援内容や運営方法に係る成功事例について情報を収集したいと考えております。

また、「地域リハビリテーション専門職派遣事業」については、既に平成29年度から自主グループの「通いの場の支援」として実施しております。

具体的には、らくらく筋トレの団体に対して、参加者の身体機能の維持・向上と参加継続意欲の向上を目指すため、リハビリテーション専門職を派遣しておりますが、言語聴覚士については、派遣できる仕組みはあるものの、派遣を望む声をお聞きしていないため、現時点では実施しておりません。

今後につきましては、失語症のある方の悩みなどを理解し、会話の架け橋となる技法を学んだ「会話パートナー」の育成状況に注視しつつ、効果的な支援方法について研究したいと考えております。

以上でございます。

ありがとうございます。現状では失語症についての理解が少なく、会話パートナーの養成についてもボランティアベースとなっています。その取組の性質や位置付けからも、自治体による支援は必須だと思いますので、会話パートナーの育成状況に注視するだけでは無く、積極的な情報収集と支援をしていただきますようにお願い申し上げます。

(4) 関係機関等への周知啓発について

小項目4に入ります。2012年に健康医療科学研究という雑誌に掲載された「会話パートナーによる失語症者支援の現状と今後の展望−愛知県における7年間の取り組み−」にて報告された調査では、ケアマネジャー等への文書による周知だけではニーズが上がりにくい実態が示されています。介護保険サービスの窓口やケアマネジャーなどに対し、失語症の特性や「会話パートナー」の有効性についての啓発活動を強化し、ボランティアの掘り起こしやサロンなど居場所づくりへの取り組みなど、適切な支援へ繋げる体制を整えるべきと考えますが、小項目4「関係機関等への周知啓発について」本市の見解をお伺いします。

【健康福祉部長】

お答えします。

国の調査結果によれば、失語症のある方の多くは高齢者であることから、失語症の特性や「会話パートナー」の存在などについて、ケアマネジャーや介護、障がいの関係機関に知っていただくことは、支援者として失語症に対する知識を深めることになり、提供するケアやサービスの質が向上し、より適切な支援につながると考えております。

しかしながら、失語症のある方への適切な支援に繋げる体制を即座に整えることは、人材確保や専門知識の習得などの面から難しいのが実状です。

このため、まずは、市のホームページにおいて、失語症の特性や失語症のある方への支援に係る情報のほか、支援者の養成に関することや近隣市町での交流の場などの情報を掲載することによって、失語症についての周知啓発を図り、失語症の方の周囲の理解が少しでも得られやすくなるような環境づくりに努めていきたいと考えております。

以上でございます。

ありがとうございます。周知啓発や環境づくりから始めるとのご答弁、全く同意いたします。今回この質問を起こしたのも、失語症に対する理解がほとんど普及しておらず、これといった支援もないことから、行き場をなくしてしまった失語症のある方のお話を聞いたところからです。言語聴覚士としての専門領域についてもほとんどの方が知らない状況である上に、支援の隙間に落ちてしまっている方が多く、まずは皆さんに知ってもらいたいという気持ちで始めましたので、すぐには難しいとのご答弁は理解できるものの、現状を変えられていない自分自身に不甲斐なさを感じ、自責の念に駆られております。必ずこの問題に取り組んでいただきますよう強くお願いを申し上げます。

失語症の回復は長期的に望めるものです。一般に手や足の麻痺は6ヶ月程度で回復しにくくなると言われていますが、失語症は数年にわたっての回復が見込めると言われています。コミュニケーションの機会が多くなることで、それ自体が言葉の練習になります。これは、高価なリハビリ機器や特別な施設を必要とするものではありません。地域の中での『人のつながり』こそが最高のリハビリテーションなのです。

失語症の方々にとって、言葉が出ないことは、この社会から追い出される理由にはなりません。中身は以前のまま、豊かな感情や知性を持った市民が、孤独に沈むことがないよう、行政としてぜひ背中を押してください。

「失語症があっても、このまちでは自分らしくいられる」。そう胸を張って言える、温かく開かれた尾張旭市の未来を目指して、私も一人の議員として、現場の皆様と伴走し続けることをお誓い申し上げ、私の一般質問を終わります。

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著者

かつまた 修二

かつまた 修二

選挙 尾張旭市議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 833 票
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尾張旭市

肩書 理学療法士・ケアマネジャー
党派・会派 日本維新の会
その他

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カツマタ シュウジ/53歳/男

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