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【市川市】児相移管は船橋・柏・明石に学べ

2026/5/12

市川市の皆さまへ。

田中甲市長中核市化や、県から市へ児童相談所を移す構想に関心を示している以上、市川市民も市議会も、児童相談所について正面から学ぶ必要があります。

児童相談所は、単なる「子どもの相談窓口」ではありません。

虐待相談、家庭支援、心理相談、発達相談だけでなく、一時保護、親子分離、施設入所、里親委託、面会・通信、通学環境にも大きな影響を与える、非常に強い行政権限を持つ機関です。

だからこそ、市川市が将来、児童相談所を持つ、あるいは県から児童相談所機能を移すという話になるなら、まず見るべきなのは、近隣の中核市である船橋市と柏市の事例です。

船橋市は令和8年7月開設予定

船橋市は、市児童相談所の開設に向けて準備を進めており、令和8年7月開設予定とされています。これは、市川市が児童相談所移管を考える上で、最も近い参考事例の一つです。

特に注目すべきは、船橋市が児童相談所の建物や一時保護所だけではなく、里親支援、いわゆるフォスタリング業務まで具体的に設計している点です。

船橋市の仕様書では、里親のリクルート、アセスメント、認定前研修、登録前後・登録後研修、子どもと里親のマッチング支援、里親委託中および委託解除後の相談・支援までを一貫して実施するとされています。令和8年7月時点の想定里親数は100家庭、うち里親委託数25家庭とされています。

これは、市川市にとって非常に重要です。

児童相談所を市が持つとは、一時保護所を持つだけではありません。

里親を募集する。
研修する。
登録を管理する。
子どもと里親をマッチングする。
委託中に支援する。
委託解除後も相談に乗る。
一時保護委託中の里親家庭も支える。

ここまで含めて、社会的養護の仕組みを市が担うということです。

ただし、船橋市の取り組みは、現時点ではまだ本格運用前の計画・制度設計段階です。

仕様書に立派なことが書かれていても、それが実際の現場で機能するかどうかは、令和8年7月以降の運用を見なければ分かりません。

里親募集が本当に進むのか。
マッチングが透明になるのか。
委託中の相談支援が機能するのか。
委託解除後に子どもと里親が放置されないのか。
児童相談所と委託先団体の連携がうまくいくのか。

ここは、今後の検証が必要です。

それでも船橋市の事例は、市川市にとって大きな意味があります。

なぜなら、市川市が児童相談所機能を持つ場合、市川市内の千葉県登録里親を移管するだけでは足りないからです。

その後の新規登録、更新研修、委託支援、解除後支援を、市川市が継続的に担わなければなりません。

そして、県市川児童相談所のこれまでの里親運用には、マッチングの不透明性、委託中の相談支援、委託解除後の対応など、検証すべき問題が多くあります。

市川市が児童相談所を持つなら、県の運用をそのまま移すだけでは不十分です。

里親が「児童相談所に裏切られた」と感じるような対応をしていては、質の高い養育里親は増えません。

柏市は児相業務を2027年2月、全体開所を4月予定

柏市も、中核市として児童相談所機能を含む施設整備を進めています。

柏市は、柏市十余二の青少年センター跡地に、児童相談所や若者支援機能などを含む「(仮称)柏市こども・若者相談センター」を整備しています。

最新の予定では、児童相談所機能の業務開始は2027年、令和9年2月、そしてカフェなどの付帯施設を含む施設全体のフルオープンは2027年、令和9年4月とされています。千葉県の広報資料でも、柏市の児童相談所業務は令和9年2月に開始し、施設全体は令和9年4月に開所予定と示されています。

また、柏市の資料では、この施設は児童相談所だけでなく、母子保健、子育て支援、家庭児童相談、教育相談、発達支援、若者支援などの一部を併せ持つ複合施設として整備されると説明されています。つまり、柏市は児童相談所を単独の虐待対応機関としてではなく、子ども・若者支援全体の拠点として位置づけています。

施設の1階には、相談室、はぐはぐひろば、カフェ、アリーナ、中高生世代の居場所、若者の相談・居場所などが置かれる予定です。2階には一時保護エリアが設けられ、男子10名、女子10名、幼児5名の居室、学習室、食堂などが配置され、「家庭的で安らぎを感じる生活空間」とされています。

2026年5月時点では、柏市十余二の現地で建設が進んでおり、建物外観もかなり完成に近づいています。建物の竣工は2026年11月中旬予定とされ、その後、2027年2月の児童相談所業務開始、2027年4月の複合施設全体開所へ進む流れです。

柏市の特徴は、児童相談所機能を、子育て支援、若者支援、教育相談、発達支援などと一体化して考えている点です。

これは、市川市にとっても重要な参考になります。

児童相談所は、虐待対応だけを切り離して運営すればよい機関ではありません。

妊娠、出産、子育て、学校、若者支援、家庭支援、社会的養護、里親支援、自立支援まで、子どもの人生に関わる行政機能とつながっています。

柏市のように、子ども・若者支援の拠点として児童相談所機能を考える視点は、市川市も学ぶべきです。

ただし、柏市についても、実際の運用がどうなるかはまだこれからです。

施設が新しく、相談窓口が一体化されても、一時保護中の通学保障、子どもの意見聴取、里親支援、第三者検証、委託解除後支援まで本当に機能するかは、運用開始後に検証する必要があります。

船橋市も柏市も、県より改善された児童相談所を作ろうとしていることは分かります。

しかし、市川市が目指す水準は、そこにとどまってよいのでしょうか。

ここで見るべきなのが、明石市です。

明石市は、さらに踏み込んでいる

明石市は、児童相談所を市で持つだけではなく、一時保護中の子どもの生活をなるべく変えない運用に踏み込んでいます。

明石市の資料では、一時保護中の子どもへの支援について、必ず子どもの意見を聴き、子どもの立場に立った支援に取り組むとされています。

さらに、一時保護中でも子どもの生活をなるべく変えないよう、在籍校への通学について、学校と明石こどもセンターが連携して支援し、通学を希望する場合には学校側で配慮した上で、明石こどもセンターが送迎するとされています。2021年度には、一時保護中の通学対象児童42人中30人、71.4%が通学していました。

これは非常に大きな違いです。

一時保護された子どもが、元いた学校に通える。

先生や友達との関係を失わずに済む。

生活の連続性が守られる。

学校行事、学習、人間関係、地域とのつながりをできる限り残す。

これは、子どもの人生にとって極めて重要です。

一方で、現在の県市川児童相談所で見られる運用では、一時保護された子どもが隔離状態に置かれ、元いた学校にも行けず、学校の先生や友達との面会・通信も許されない生活を強いられることがあります。

千葉県全体の一時保護所の平均一時保護日数は、令和3年度72.2日、令和4年度73.4日、令和5年度65.3日と示されています。つまり、数日ではなく、2か月前後に及ぶ一時保護が現実にあります。

その間、子どもが学校、先生、友達、地域から切り離される。

国の法律に明確に反していないとしても、それが本当に子どものためになるのでしょうか。

明石市の運用と、県市川児相型の隔離運用。

どちらが子どものためになるかは、明らかです。

明石市は「理想」ではなく、本来の最低ラインではないか

明石市の取り組みは、よく「先進事例」と呼ばれます。

しかし、日本が締結している子どもの権利条約の趣旨から考えると、明石市の運用こそ、本来は特別な理想ではなく、最低ラインに近いものとして扱われるべきではないでしょうか。

外務省の資料によれば、日本は1994年4月22日に児童の権利に関する条約を批准しています。

また、こども家庭庁の資料でも、児童福祉法第1条は「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり」適切に養育され、生活を保障され、愛され、保護され、健やかな成長と発達が図られる権利を有するとし、子どもの権利条約第3条の「児童の最善の利益」も示されています。

一時保護は、子どもの安全を守るために必要な場合があります。

しかし、一時保護されたからといって、元いた学校から切り離され、先生や友達との関係を断たれ、地域生活から隔離されることが当然であってよいのでしょうか。

子どもの権利条約をまじめに読めば、一時保護中であっても、子どもの生活、学習、友人関係、意見表明をできる限り守る運用が求められるはずです。

その意味で、明石市は「特別に理想が高い自治体」ではありません。

本来は、子どもの権利条約を現場で実質化した最低ラインに近いはずです。

ところが、国はこの水準を全国の児童相談所に徹底させていません。

その背景には、予算と人員の問題があると考えざるを得ません。

一時保護中の通学を支えるには、学校との連携、送迎、里親やファミリーホームの確保、個別支援、子どもの意見聴取が必要です。

当然、手間も費用もかかります。

しかし、費用がかかるからといって、子どもの生活を壊してよい理由にはなりません。

国が明石市レベルの運用を全国標準にしないまま、現場任せ、自治体任せにしているなら、結果として、子どもの権利条約の理念は骨抜きになります。

市川市が児童相談所機能を持つなら、この問題から逃げてはいけません。

家庭養育優先には、質の高い里親が必要

国は、社会的養護について、家庭養育優先原則を掲げています。

こども家庭庁の資料でも、家庭での養育が困難または適当でない場合は、養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育する里親やファミリーホームを優先するとされています。

つまり、安易に児童養護施設へ送るのではなく、できる限り家庭に近い環境で子どもを育てる方向が国の方針です。

しかし、これを実現するには、質の高い養育里親を十分に確保する必要があります。

そして、質の高い里親を確保するには、児童相談所が里親から信頼される存在でなければなりません。

里親は、単なる「子どもの受け皿」ではありません。

子どもの生活を支え、学校や地域とのつながりを守り、心の回復を支える重要な存在です。

だからこそ、児童相談所が里親を都合よく使い、都合が悪くなれば説明も不十分なまま切り捨てるような運用をすれば、里親制度は広がりません。

里親が「児童相談所に裏切られた」と感じるような対応をしていては、家庭養育優先など実現できないのです。

問題になるのは、次のような点です。

どの子どもを、どの里親家庭に委託するのか。
マッチングの基準は明確なのか。
子どもの状況は、里親に十分説明されるのか。
委託中に困ったとき、相談できる体制はあるのか。
児童相談所と里親の意見が食い違ったとき、調整する仕組みはあるのか。
委託解除後、子どもと里親の心の傷に向き合う支援はあるのか。
里親家庭が行政に不信感を持ったまま放置されていないか。

ここを整えずに、「里親を増やしましょう」と言っても、制度は広がりません。

市川市が児童相談所を持つなら、里親を単なる受け皿として扱うのではなく、子どもの生活を守る地域の柱として育て、支える制度にしなければなりません。

市川市は、どの水準を目指すのか

ここで、市川市民と市議会に問いたいのです。

市川市は、どのレベルの児童相談所運用を目指すのでしょうか。

第一の水準は、県市川児相型です。

県の運用をそのまま市に移す。

一時保護された子どもは隔離され、学校にも行けず、先生や友達との関係も断たれ、里親支援も不透明なまま。

これは、最も避けるべき水準です。

第二の水準は、船橋市・柏市型です。

船橋市のように里親支援、フォスタリング業務を制度化する。

柏市のように、児童相談所機能を子ども・若者支援の拠点と一体化する。

これは県より改善された方向です。

市川市も参考にすべきです。

しかし、そこで止まってよいのでしょうか。

第三の水準は、明石市型です。

一時保護中でも、子どもの生活をなるべく変えない。

元いた学校に通える可能性を確保する。

学校、児童相談所、教育委員会、里親、ファミリーホーム、施設が連携する。

子どもの声を聞く。

家庭養育を支える。

隔離ではなく、生活の継続を重視する。

市川市が本当に子どもの権利を守る児童相談所を目指すなら、この水準を目標にすべきです。

明石市は、遠い理想ではありません。

子どもの権利条約を現場で実質化するなら、本来そこが最低ラインに近いはずです。

市川市が児童相談所を持つなら、県の看板を市に掛け替えるだけでは足りません。

子どもを隔離する児相ではなく、子どもの生活を守る児相を目指すべきです。

市議会で問うべきこと

市川市議会は、田中甲市長の構想に対して、単に「児童相談所を持つのか、持たないのか」と聞くだけでは足りません。

問うべきは、もっと具体的です。

市川市内の千葉県登録里親は、どのように市に引き継がれるのか。

里親の新規募集、登録、更新研修は、市がどのように行うのか。

里親研修やフォスタリング業務を外部委託するなら、どの団体に、どの範囲を委託するのか。

子どもと里親のマッチング基準は透明化されるのか。

委託中の相談支援、委託解除後の相談支援はどう行うのか。

一時保護中でも、子どもが元いた学校に通える運用を目指すのか。

学校の先生や友達との関係を維持できる仕組みを作るのか。

里親宅やファミリーホームから通学できる体制を整えるのか。

子どもの声を、児童相談所から独立した第三者が聞く仕組みを作るのか。

県市川児相の不透明な運用を検証した上で、市川市独自の改善策を作るのか。

ここまで議論して初めて、児童相談所移管は「子どものための制度設計」になります。

市川市民と市議が学ぶ必要がある

私は、2012年に市川児童相談所を通じて、千葉県の養育里親として登録しました。

里親研修は、千葉県が外部委託していた団体によって行われ、登録管理は千葉県庁の児童家庭課が担っていました。

その経験から、児童相談所という行政機関の重要性も、危険性も見てきました。

児童相談所は、子どもを守るために必要な機関です。

しかし同時に、誤った判断や不透明な運用があれば、子どもや家庭、そして里親にも深刻な傷を与える機関です。

だからこそ、市川市が児童相談所を持つなら、県の運用をそのまま引き継ぐだけではいけません。

船橋市と柏市の計画を学ぶ必要があります。

しかし、それだけでも足りません。

本当に学ぶべき到達点は、明石市のように、子どもの生活をできる限り守る運用です。

市川市は、県より少し良い児相を作るだけで満足するのか。

それとも、子どもの権利条約を現場で実質化する児童相談所を目指すのか。

いま、市川市民と市議会に問われているのは、その水準です。

以前の記事でも、市川市議会に児童相談所を議論できる知識が必要だと書きました。

【市川市】児童相談所を議論できる市議はいるのか
https://go2senkyo.com/seijika/186483/posts/1370201

そして、2026年7月25日(土)13時から15時まで、市川市の東部公民館 第1会議室で、児童相談所を学ぶ市民勉強会を開催します。

前半13時から14時は、私たかさんが児童相談所制度について分かりやすく解説します。

後半14時から15時は、交流会・相談会を予定しています。

参加無料、申込不要、途中参加も可能です。

市川市が児童相談所を持つ可能性があるなら、市民も市議も、まず制度を知らなければなりません。

児童相談所を市に移すとは、看板を変えることではありません。

一時保護、里親委託、マッチング、委託中支援、委託解除後支援、通学保障、子どもの意見聴取まで含む、子どもの人生に関わる行政システムを作るということです。

市川市が目指すべきなのは、県の運用を市に移すだけの児童相談所ではありません。

子どもの生活を守る児童相談所です。

そのために、まず市民が学び、市議会が議論できる土台を作る。

その第一歩として、東部公民館での勉強会を開催します。

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著者

たか さん

たか さん

選挙 市川市議会議員選挙 (2027/05/01) - 票
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肩書 令和6年行政書士試験合格者、千葉県登録養育里親、メンタル心理カウンセラー、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、千葉県市川市中央倫理法人会幹事
党派・会派 無所属
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