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小森 さだゆき ブログ

鳥取県の財政を徹底解説!

2026/5/16

日本一人口の少ない鳥取県から学ぶ地方自治のリアル|徹底的な歳出削減と国を巻き込む戦略的財政運営の光と影

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

日本で最も人口が少ない自治体である鳥取県。現在、その人口は約53万人を割り込み、減少の波は今もなお加速しています。一般的に「人口が少ない=税収が少なく、財政がピンチなのでは?」と思われがちですが、地方財政の各種データを精査すると、驚くべき実態が浮かび上がってきます。

実は鳥取県、自前の稼ぎは極めて少ないものの、徹底的な節約と国の支援制度をフルに活用した「全国トップクラスのやりくり上手」という二面性を持っているのです。今回は、鳥取県の決算分析データや財政指標を基に、そのお財布事情の「リアル」と、いま議会で激しく交わされている論点について徹底的に深掘りします。


1. 鳥取県財政のリアル:税収最少でも「全国トップクラスのやりくり上手」とそのカラクリ

自前の稼ぎ(税収)は全国最少レベルの脆弱さ

地方自治体の財政的な自立度を示す代表的な指標に「財政力指数」があります。1.0を超えれば国からの仕送りが不要な「不交付団体」となりますが、鳥取県の数値は約0.27〜0.30。これは47都道府県の中で45位前後という最下位層に位置しています。

人口規模が小さく、大規模な工業地帯や大企業の本社が少ないため、自前の収入である「県税」は歳入全体の3割にも満たないのが現状です。つまり、お財布の約7割近くを地方交付税や国庫支出金といった「国からの財政支援(依存財源)」に頼らざるを得ない脆弱な収入構造を持っています。

固定費を削り倒す!驚異の「経常収支比率」

収入面だけを見ると非常に厳しく思えますが、鳥取県の本領は「支出のコントロール」にあります。それを証明するのが「経常収支比率」です。これは家計でいう「毎月決まって出ていく固定費(ローンや光熱費など)」の割合を指し、数値が低いほど自由に使えるお金が多く、財政にゆとり(弾力性)があると評価されます。

多くの自治体が90%を超え、場合によっては100%近くに達して予算作りに苦しむ中、鳥取県は約87.5%〜89.2%を維持しています。これは全国で2位〜4位に位置する驚異的な優秀さです。

なぜこれほどのゆとりを生み出せるのか、その理由は主に2つあります。

人件費の徹底的な抑制:人口が少ないため、住民一人当たりの職員数はどうしても多くなりますが、職員個々の給与水準を示す「ラスパイレス指数」を全国最低水準の96.2に抑え込むことで、総人件費の膨張を防いでいます。
投資的経費の厳選:過去の過度な公共事業を見直し、本当に必要なインフラ整備に厳選する「一件審査」などを導入し、新規の固定費負担を徹底して削ぎ落としてきました。

借金(将来負担比率)のクリーンさと「国頼み」の戦略的カラクリ

将来世代へのツケの重さを示す「将来負担比率」を見ても、鳥取県は約131%〜151%(早期健全化基準は400%)と、全国で11位〜12位前後に位置しており、非常に安全な水準をキープしています。しかし、ここにはデータの一面だけでは見えない戦略的なカラクリがあります。

鳥取県は決して借金(県債)をしていないわけではありません。実は、「返済時にその大部分を国が地方交付税として穴埋めしてくれる有利な地方債(過疎債や地域活性化債など)」を意図的に選択して発行しています。そのため、計算式上で「国が後から面倒を見てくれる分」が大きく差し引かれ、指標上の数字がクリーンに見えているのです。

これは、現在の国の財政支援ルールが維持されることを前提とした健全性であり、万が一国が地方交付税のハシゴを外した場合には、一気に実質的な負担として県民に跳ね返ってくるという潜在的な脆さと隣り合わせの構造です。

2. 「人口減少」がもたらす一人当たりの行政コスト増というジレンマ

どんなに個人の給与水準を下げ、新規の投資を抑えても、抗えないのが「人口減少」という分母の縮小です。県の決算分析表からは、人口減少がダイレクトに財政を圧迫し始めているリアルな姿が見て取れます。

その最たるものが、住民一人当たりの行政コストの上昇です。鳥取県は東西に長い地形を持ち、中山間地域や大山周辺の豊かな自然環境を抱えています。人が減ったからといって、道路や橋、水道といった生活インフラの総面積や維持すべき国土の広さが自動的に縮小するわけではありません。結果として、インフラの「維持補修費」や業務委託などの「物件費」が、住民一人当たりで換算すると年々高止まり、あるいは増加傾向にあります。

さらに、少子高齢化の直撃により、医療や介護を支える「民生費・衛生費」の義務的経費は自然増を続けています。「節約」という努力による削減限界点と、分母(人口)減少によるコスト増が、今まさにクロスしようとしています。

3. 議会でも議論騒然:これからの鳥取県が直面する3つの壁

このようなシビアな財政構造を背景に、近年の鳥取県議会ではこれまでの延長線上ではない、非常に重いテーマが議論されています。

① 人口減少は止まらない前提での「社会の強靱化」

鳥取県議会の人口減少社会問題調査特別委員会では、約3年間にわたる議論を経て「人口減少は当面止まらないという現実を直視すべき」との認識を共有し、これまでの移住・少子化対策以上に「人口減少を前提とした持続可能な地域・社会づくり(定常化と強靱化)」へのシフトを求める提言を行いました。知事が掲げる「令和の改新」予算(こども医療費無償化など)の積極的な投資が、本当に長期的な財政持続性と合致するのか、議会での精査が続いています。

② 再生可能エネルギー(風力・太陽光)開発と地域規制

大山周辺の中山間地域や沿岸部において相次いで計画された大型風力発電やメガソーラーの建設は、景観破壊や土砂災害リスク、さらには将来の撤去費用への懸念から住民の強い不安を呼び、議会でも何度も大きな焦点となっています。国のエネルギー政策に盲従するのではなく、地域の環境と住民の生活をいかに条例やガイドラインで守るかという、地方主権のあり方が問われています。

③ 議会自らの「身を切る改革」議員定数削減

県民に行政サービスの効率化や痛みを伴う再編を求める以上、議会側も姿勢を示す必要があります。人口減少に伴う一票の格差是正を含め、総定数を削減する動きを巡っては、「財政効率化の観点から当然行うべき」という意見と、「定数を減らしすぎれば中山間地域などの多様な地域の声が届かなくなる」という慎重論が交わされ、地方自治の根幹に関わるデリケートな議論が続けられています。

4. 結び:節約の先にある「未来への投資」へ

鳥取県の財政は、限られた条件の中で知恵を絞り、緻密なコントロールによって健全性を維持してきた「地方自治の優等生」の一面を持っています。しかし、これまでの「出費を削る」という内向きの節約路線だけでは、これからの大人口減少時代を乗り切ることはできません。

今後は、国の交付税措置を戦略的に活用しながらも、いかにインフラをコンパクトに再編し、限られた財源を「地域の稼ぐ力を育てる産業振興」や「独自の自然環境・一次産業の死守」といった未来への投資へ大胆にシフトできるかが問われています。日本一人口が少ないからこそ、そこでの財政闘争と地域維持のモデルケースは、そのまま日本の地方自治の未来の姿となるはずです。

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

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