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自治会はもう限界なのか―デジタル回覧板から考える地域コミュニティのこれから

2026/5/13

自治会、町内会など、地域コミュニティを担う人材不足が深刻になっています。
これは、どこか遠くのまちの話ではありません。全国市議会議長会の調査でも、「後継者・担い手不足による役員等の疲弊感の増大」「運営や行事の参加者の固定化」「自治会への未加入者の増」などが、自治会運営の喫緊の課題として挙げられています。
環境美化、防災、防犯、広報の配布、回覧板、地域行事、ごみ集積所の管理。私たちの日常の暮らしは、実は自治会の地道な働きに大きく支えられてきました。
しかし一方で、自治会に対する期待は大きくなるばかりです。地域のつながりが大切だ、防災が大切だ、見守りが大切だと言いながら、それを担う人は減り、役員は高齢化し、同じ人に負担が集中している。ここに、地域コミュニティをめぐる「期待」と「現実」の大きなギャップがあります。
大垣市においても例外ではありません。大垣市の地域福祉計画では、自治会加入率が令和元年度の76.47%から令和5年度には73.56%へ低下していることが示されています。 また、今年度には安井地区のある自治会が解散したとも聞いています。これは、もはや「一部の地域の問題」ではなく、大垣市全体で考えるべき課題です。
自治会、町内会は、法律上は任意団体です。したがって、行政が上から命令することはできませんし、してはならないと思います。しかし、「任意団体だから行政は関与しない」という姿勢でよいのでしょうか。
これまで自治会は、いわば行政協力業務の受け皿として、長い間、日本の地域社会を支えてきました。行政からの配布物、連絡事項、各種委員の推薦、防災訓練、防犯灯、ごみステーションなど、多くの業務が自治会を通じて行われてきました。だからこそ、自治会が弱体化すれば困るのは、住民だけではありません。行政自身も困るのです。
神奈川県川崎市の武蔵小杉では、人口が増えているにもかかわらず、小杉3丁目町会が会員減少や役員の高齢化、担い手不足などを理由に2025年3月末で解散しました。記事では、区の担当者が「町会の解散は自主防災組織がなくなってしまうことにつながる」と懸念を示しています。
問題は、「自治会は必要か、不要か」という単純な話ではありません。これまでのやり方のままでは、自治会を維持することが難しくなっているということです。
では、何を変えるべきか。
私は、まず自治会の負担を徹底的に減らすことが必要だと考えています。中でも、回覧板や広報配布は、自治会にとって大きな負担です。高齢の役員さんや班長さんが、一軒一軒、紙を配り、回覧を確認し、未回覧を気にかける。この仕組みを続けることが、5年後、10年後も本当に可能でしょうか。
その意味で、デジタル回覧板、デジタル掲示板の導入は避けて通れない課題です。
総務省の地域コミュニティに関する研究会でも、地域活動のデジタル化について、電子回覧板やオンライン会議、SNS、ホームページの活用などが挙げられ、市区町村が自治会等の地域活動のデジタル化に積極的に取り組むことが有効とされています。
実際に、他自治体ではすでに取り組みが進んでいます。東京都新宿区では、令和5年度に電子回覧板アプリの実証実験を行い、町会内の情報共有の迅速化や災害時の情報伝達、安否確認、さらに行政と町会・自治会との情報共有強化を目的に検証を行っています。
大垣市内でも動きがあります。築捨町自治会では、この4月から中日新聞のアプリ「Lorcle(ロークル)」を活用した電子回覧板を導入しました。築捨町自治会には58の班があり、約650世帯のうち、すでに135世帯ほどが利用を始めていると聞いています。
もちろん、紙をすぐになくすわけではありません。自治会長さんも、当面は紙とデジタルのハイブリッド方式で進めると話されています。これは非常に現実的な判断だと思います。デジタルが得意な人もいれば、紙の方が安心という人もいます。大切なのは、どちらか一方に無理やり合わせることではなく、地域の実情に応じて、参加の方法を増やすことです。
Lorcleの電子回覧板は、町内会・自治会などの地域コミュニティ内で情報共有ができ、従来紙の回覧板で回していた情報を関係者がアップすれば、住民が読むことができる仕組みです。出欠確認などに使えるアンケート機能もあります。
回覧板を「回す」時代から、情報が「届く」時代へ。
これは単なる便利ツールの話ではありません。自治会の負担を減らし、若い世代や共働き世帯、子育て世帯が地域とつながる入口を増やす取り組みです。
私は令和4年9月議会でも、石川県野々市市の事例をもとに、大垣市におけるデジタル掲示板の導入を提言しました。あれから約4年が経ちました。この間、大垣市はどのような研究を行ってきたのか。市内自治会のデジタル化の状況をどこまで把握しているのか。築捨町自治会のような先進的な取り組みを、市としてどのように支援し、横展開していくのか。
そして何より、「自治会は任意団体だから」という一言で、市が一歩引いたままでよいのか。
自治会長さんからは、「市が自治会の立場になって、自治会を組織として維持していくつもりがあるのか。他人事ではなく、自分事にしなければならないのではないか」という趣旨のお話も伺いました。私はまさにその通りだと思います。
自治会をこれまで通り行政の下請け的な役割に押し込めていくなら、いずれ制度は限界を迎えます。必要なのは、自治会の仕事を減らすこと、参加の形を柔軟にすること、そして行政が「お願いする側」から「支える側」へと立ち位置を変えることです。
今回の6月議会では、改めてデジタル掲示板、電子回覧板の導入について問いかけたいと思います。
地域のつながりは、精神論だけでは守れません。仕組みを変えなければ、善意だけに頼る地域活動は続きません。
自治会を守るということは、昔のやり方をそのまま守ることではありません。地域のつながりを未来に残すために、今の時代に合った形へと変えていくことです。
その第一歩として、私はデジタル回覧板の導入を、大垣市全体で本気で考えるべき時期に来ていると考えています。

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著者

おいだ 昌克

おいだ 昌克

選挙 大垣市議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 1,960 票
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大垣市議会議員選挙

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