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【連載②】2018年の闘いと2026年の後退—新宿区が繰り返す「同意なき個人情報提供」の真実

2026/7/6

新宿区議会議員の川村のりあきです。
前回の連載①では、本人の同意なく新宿区が自衛隊へ宛名シールを提供している問題と、6月15日の委員会での質疑内容をお届けしました。
▼連載①はこちら
 
「除外申出がわずか7件にとどまったのはなぜか」「覚書の運用を誰が確認するのか」という2つの問いを前回投げかけました。
今回は、この問題の根っこにある歴史的な経緯と、2018年から8年前から後退した実態をお伝えします。

新宿区は過去に同じ過ちを犯しています
実は2018年(平成30年)、新宿区は「特殊詐欺対策」という大義名分を掲げ、65歳以上の区民約6万7,000人の氏名・住所・生年月日などを、区内4つの警察署へ紙の名簿で一括提供する計画を立案しました。
当時、川村のりあきは新宿区の「情報公開・個人情報保護審議会」の委員を務めていました。行政が「防犯のためだから住民も同意しているはずだ」という思い込み(黙示の同意)で突き進む中、「個人情報保護の観点から区の安全管理措置や区民への周知は極めて不十分である」と審議会の場で厳しく指摘し続けました。弁護士会からも異論が続出し、審議会は計画を差し戻しました。
区は対象の高齢者全員に事前に情報提供を拒否できる「意思確認ハガキ(意思確認書)」を個別郵送する手続きをとることになりました。
すると驚くべき民意が可視化されました。
過半数にあたる52.0%(3万4,384人)が「警察への情報提供を希望しない(辞退)」と回答したのです。
この明確な民意の前に計画は完全に破綻し、名簿提供事業はわずか1回で立ち消えとなりました。
「直接丁寧に知らせれば、住民は自分の情報を安易に渡すことを拒否する」——これが2018年の私の闘いで見えた民意です。

それなのに2026年は——あらゆる点で後退しています
2018年の教訓から8年。今年度から始まった自衛隊への宛名シール提供は、2018年に確立した原則から、住民への周知のみならず「提供後のデータ管理」にいたるまで、あらゆる点で後退しています。
比較項目
2018年・警察への高齢者名簿提供
2026年・自衛隊への適齢者情報提供
住民への周知
対象者全員に意思確認書を直接郵送
対象者への直接通知(郵送)なし
オプトアウト実績
52.0%(3万4,384人)が提供を拒否
わずか7件(0.47%)
提供データの形式
手書き複写が必要な「紙の名簿」
そのままDM発送に使える**「宛名シール」**
提供後の管理・監査
区職員による月1回、各署への実地立ち入り監査
立ち入り監査規定なし・口頭での「確認のみ」
2018年に直接通知した結果52%が拒否した事実を区は知っています。だからこそ「知らせてしまえば、また多くの若者が辞退を選択する」ことを恐れ、今回は意図的に対象者への直接通知を行わなかったと言わざるを得ません。
除外申出がわずか7件(0.47%)という数字は、区民が「提供を望んだ」結果ではありません。制度そのものを知らされなかった結果です。

【論戦の白眉】渡した後の「実地監査」が消えた!
陳情の委員会質疑において、私が最も厳しく区の姿勢をただしたのが**「提供した個人情報のその後の管理・監視体制」**です。
2018年に警察署へ名簿を提供した際、新宿区は極めて厳格な「物理的・組織的な安全管理措置」を敷いていました。
ひるがえって、今回の自衛隊への提供はどうでしょうか?
自衛隊に渡されるのは、手元に届いた瞬間からそのままダイレクトメール等の大量発送にダイレクトに即時利用できる、極めて実用性の高い**「宛名シール(タックシール)」**の形態です。
区は自衛隊と「複写禁止」や「担当者限定」を定めた「覚書」を交わしたと主張しています。しかし、このルールが自衛隊内で実際に守られているかを区が実地に確認したり、立ち入り調査をしたりする具体的な規定や監査の仕組みは、今回の覚書には**「一切定められていない」**のです。
委員会で私が**「ルールが実際に守られていることを、誰がどのように確認するのか」**と厳しく担保を問うた際、区の回答は驚くべきものでした。
「(自衛隊の)担当2名で厳重に管理するとの回答を得ている(口頭での確認)」
公文書による実施報告プロセスすら存在せず、ただ相手方の「適切に管理します」という口頭の言葉を鵜呑みにしているだけ。これでは区民の個人情報を事実上**「渡し放し」にしているのと同じです。第三者が検証できないお約束など、法的な拘束力を持たないただの「形骸化した紳士条項」**にすぎないのではないでしょうか。
区民の大切なデータを外部に移転する以上、渡した後の管理に責任を持たない行政の姿勢は、到底容認できるものではありません。

委員会での追及で引き出した2つの改善約束
陳情は残念ながら、他会派の多数意見により意見の一致を見ず、事実上の不採択にあたる「審議未了」となりました。しかし、私は「区民の個人情報の守り手」として、一歩も引かない徹底的な論戦により、区側から以下の2つの重要な答弁(改善の約束)を勝ち取りました。
①これまで区民に非開示だった、自衛隊との「覚書(覚え書き)」の内容を、今後ホームページ上で正式に公開・掲載することを検討する
②次回以降の除外申出にあたり、区ホームページのトップページから迷わず手続きにたどり着けるよう、動線改善や周知の工夫を検討する
これまで不透明だった「隠すオプトアウト」に風穴を開け、情報開示と手続きの透明性を一歩前に動かした具体的な成果です。しかし、これはあくまでスタートラインにすぎません。

これからも求め続けること
この問題は、自衛隊という組織そのものの賛否を問うものではありません。地方自治の根本である「住民との信頼関係」において、行政が区民の個人情報をどのような適正な手続きで取り扱うべきなのかという、データガバナンスと行政への信頼に関わる問題です。
今後も、区から引き出した「ホームページの動線改善」や「覚書の開示」が確実に実行されるかを監視します。さらに、自衛隊から返戻されたタックシールや未使用のシールがないのか、確実に区の目の届く場所で処理・廃棄されているか、実地での確認を強く求め、引き続き粘り強く取り組んでまいります。
陳情を提出された151名の皆さま、傍聴やSNSで行動された区民の皆さまに、心より敬意を表します。
皆さまは、行政による「同意なき宛名シールの提供」や「担保のない情報管理」についてどうお考えでしょうか。ぜひ、公式LINEやアンケートからご意見をお寄せください。

💬 公式LINE(ご相談・ご意見) https://line.me/R/ti/p/@819zzafp
📋 区政アンケート
📺 YouTubeチャンネル

川村のりあき(川村範昭) 日本共産党新宿区議会議員 6期24年「区民のためなら、あきらめない」


 

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