2026/7/10
今夏も猛暑が予想される中、熱中症による死傷者の増加が懸念されており、各企業は職場での対策に本腰を入れている。国は指針の策定や支援策などで、こうした取り組みを後押ししている。都内の建設現場を取材するとともに、国や公明党の取り組みを紹介する。

WBGTや熱中症対策を示した掲示物のほか、水分や塩分を補給できる物資などが常備されている建設現場=6月30日 都内
東京都内で梅雨の曇り空となった6月末、共同住宅とホテルの建設現場はもわっとした蒸し暑さに包まれた。気温や湿度などから算出する暑さ指数(WBGT)は27.5を示していた。
現場を管理する大東建託株式会社工事課の吉松邦博係長は「WBGTが28以上の場合、厳重警戒が必要なため、朝礼などで作業員に注意を呼び掛けている」と説明する。現場の一角には、経口補水液や冷水機、製氷機、熱中症の応急処置セットなどが並べられていた。
同社は今年度、暑さ対策を強化した。全国の現場に約730台のカメラを設置し、作業員の状況を遠隔で見守る体制を整え、熱中症情報を現場の管理者にメールで届ける仕組みも導入。送風や冷却機能付きのベストを社員に配布した。

ソーラーパネルが屋根に設置され、換気扇やミスト噴射が使える仮設トイレ=同
吉松係長は、内装などで女性の職人が増えているとして「環境の面ではトイレが最大の関心事だ」と指摘する。同社は、一部の現場に熱や臭いがこもるのを防ぐ仮設トイレを試行的に設置。換気扇やミスト噴射などの機能を備え、従来のトイレと比べて、涼しい環境となっている。
厚生労働省によると、昨年に職場での熱中症による死傷者(死亡した人と4日以上休業した人)は、1803人で過去最多を更新し、増加傾向が続く。
2021~25年の死亡者数を業種別に見ると、建設業(39.7%)、警備業(13.7%)、製造業(11.5%)が上位を占める。
こうした状況から、職場の熱中症対策を事業者の義務とした改正労働安全衛生規則が昨年6月に施行された。熱中症の恐れがある人をいち早く発見できる体制の整備や、重症化を防ぐ応急処置の手順作成などが義務化された。事業者の取り組みが進んだ結果、25年の熱中症による死亡者数は前年比12人減の19人だった。

熱中症の発症自体を防ぐ取り組みを促すため、厚労省は3月、ガイドライン(指針)を公表した。事業者が熱中症リスクに応じて適切な対策を選択できるよう、具体的な方法が示されている。例えば、作業時間の短縮や休憩時間の確保、作業開始前に体を冷やして作業中の体温上昇を抑制する「プレクーリング」の実施などを挙げている。
同省の担当者は「業種や業態に応じて対策は異なる。熱中症リスクをきちんと見積もるとともに、作業者一人一人が熱中症の前兆などの知識を身に付け、体調について相談しやすい環境づくりも重要だ」と話していた。
国の支援策は
国土交通省は今年度、直轄土木工事の費用を定める「積算基準」を改定し、熱中症対策への充当を強化。農林水産省は「農作業における熱中症対策総合パッケージ」で、農薬散布にドローンを活用して省力化を図るなど、スマート農業技術の導入を支援している。
増加する高年齢者の労働災害防止に向けては、厚労省の「エイジフレンドリー補助金」を活用できる。60歳以上の人が安全に働けるよう、スポットクーラーや体調の急変を把握できる小型携帯機器(ウエアラブルデバイス)などの導入経費を補助する。
中小企業が対象で、申請の受け付けは10月31日まで。予算額に達し次第、終了する。
職場の環境改善に向けては、高年齢者の労災防止に向けた指針の策定などを推進。熱中症防止のガイドラインには、党の主張が反映され、休憩設備の設置について、港湾などの広い場所の場合、「できる限り作業従事者が速やかに利用できる場所に設置することが望ましい」と明記された。 |
公明新聞2026年7月8日付け
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