さとう しゅういち ブログ
ホルムズ海峡再封鎖と広島県エキキタ巨大病院構想の危うさ
2026/7/12
ホルムズ海峡再封鎖と巨大病院構想の危うさ
イランが今朝、ホルムズ海峡を再び封鎖した。米軍の空爆とイラン側の報復が続く中で、封鎖は短期で解ける見通しはない。世界の原油の二割が通過する海峡が止まれば、ナフサをはじめとする石油化学製品は確実に不足する。医療用プラスチック、検査機器、滅菌資材、空調設備——いずれも石油を前提とした現代医療の根幹である。
この状況下で、広島県が進める巨大病院構想は、あまりに現実離れしている。巨大病院とは、膨大な電力と石油化学製品を消費する“エネルギー集約型インフラ”であり、国際情勢が不安定化した瞬間に維持不能となる。平時の夢物語を、危機の時代に押し通す愚は避けるべきだ。
さらに深刻なのは、人材の流出である。県立広島病院では、通算六年十か月勤務した臨床検査技師が、独法化を理由に雇い止めを告げられた。独法化後の勤務一年だけを切り取って「継続雇用ではない」とする病院側の説明は、制度の隙間を利用した硬直的な運用と言わざるを得ない。
若い女性医療者ほど、将来の見通しを重視する。雇い止めの不安、独法化による勤務年数のリセット、待遇改善の遅れ——こうした環境では、優秀な人材が東京へ流出するのは当然である。実際、独法化を機に県病院を辞め、東京で働く看護師を筆者は知っている。
巨大病院を建てても、働く人がいなければただの箱だ。エネルギー危機と人材流出が重なる今、広島県が優先すべきは、巨大病院の建設ではなく、現場で働く人々の雇用安定と待遇改善である。医療の質は制度ではなく人が担う。人材を軽視する組織に未来はない。
国際情勢が緊迫する中で、地域医療の基盤を守るために必要なのは、巨大病院という“象徴”ではなく、現場の労働条件という“実質”である。広島県は、平時の幻想を捨て、危機の時代にふさわしい現実的な医療政策へ舵を切るべきだ。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男