2026/7/5
皆さん、こんにちは。枚方市議会議員のかじや知宏です。
先日、大阪維新の会枚方市議会議員団の行革PTメンバーで、7月3日、岡山県美咲町を視察してきました。
今回のテーマは、「スマートシュリンク(賢く収縮するまちづくり)」です。

当日は、青野高陽町長自らプレゼンをしていただき、庁舎内も案内していただきました。

人口減少や公共施設の老朽化が進む中、美咲町では、持続可能なまちづくりに取り組まれています。
町長の熱量と行動力、そして危機感を持って現実と向き合う姿勢を直接感じることができ、大変有意義な視察となりました。
枚方市においても、今後、人口減少が見込まれており、公共施設の老朽化や財政負担への対応は避けて通れない課題です。
今回は、美咲町の取り組みを通じて感じたことや、枚方市のこれからのまちづくりについて、お伝えしたいと思います。

今回視察した美咲町では、「賢く収縮するまちづくり」を掲げ、人口減少時代を見据えた取り組みを進めています。
その取り組みは全国から注目されており、多くの自治体や議会が視察に訪れているほか、メディアでも取り上げられるなど、「スマートシュリンク」の先進事例として知られています。
人口減少や少子高齢化が進む中、全国の自治体では、
「これまでと同じ形を維持し続けることが難しくなる」
という課題に直面しています。
枚方市においても、本市の人口推計では、令和35年時点の人口は約30万6千人になるとされており、令和5年からの30年間で、約9万人の人口減少が見込まれています。
また、公共施設の老朽化も大きな課題です。
特に学校施設については、小中学校の92.1%が築40年以上経過しており、築60年以上の学校も4校あります。
さらに、直近5年間の投資的経費のうち、施設(建物)に関する費用の1年あたり平均は約72億円ですが、今後40年間において、物価上昇を踏まえ、現在ある施設をすべて改修・更新していく場合、1年あたり平均約90.3億円が必要と試算されており、年間約18.3億円のギャップが生じます。
人口約39万人の枚方市と、人口約1万2,000人の美咲町では、人口規模や地域特性は大きく異なりますが、
一方で、
✅ 人口減少
✅ 少子高齢化
✅ 公共施設の老朽化
✅ 財政負担の増加
✅ 地域コミュニティの維持
など、「人口減少時代にどう向き合うのか」という課題には、多くの共通点があります。
だからこそ今回の視察では、人口減少時代に自治体がどう備え、どのような方向性でまちづくりを進めているのかを学びたいと考えました。
また、公共施設の統廃合など、非常に困難な課題に正面から向き合いながら改革を進めている青野町長から直接お話をお聞きし、その課題に取り組む姿勢や熱量、進め方を直接感じ取ることも、今回の視察の大きな目的のひとつでした。

↑青野高陽町長と美咲町役場本庁舎前で記念撮影

美咲町は、岡山市と津山市の中間に位置する中山間地域で、3つの町が合併したこともあり総面積は約232㎢と広大です。
一方で、人口は約1万2,000人規模となっており、人口密度も低く、地域によっては移動や生活サービスの維持そのものが課題となっています。
また、人口減少と少子高齢化が急速に進んでおり、2000年に約17,500人だった人口は、2050年には約7,300人まで減少する見込みで、高齢化率も約49%になると予測されています。
さらに、
✅ 若者・女性の流出
✅ 担い手不足
✅ 地域自治の限界
✅ 財政規模の縮小
なども課題として挙げられています。
こうした状況の中で、美咲町では、「今まで通り」を前提にするのではなく、人口減少社会に合わせて、まちのあり方そのものを見直す取り組みを進めています。
その考え方が、「スマートシュリンク(賢く収縮するまちづくり)」です。
「縮小」という言葉には、ネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、美咲町が目指しているのは、単なる“縮小”ではありません。
美咲町では、
👉 住民の生活を守る
👉 必要なものは残す
👉 必要な機能はさらに充実させる
という考え方を重視しながら、
“賢く収縮する”=「スマートシュリンク」
というまちづくりを進めていました。
特に印象的だったのは、
「まちのあり方を、人のあり方にどう合わせていくのか」
という視点です。
昭和から平成の時代は、経済対策もあり、全国的に公共施設やインフラなど、いわゆる“ハコモノ”整備が進められてきました。
しかし、これからの時代は人口減少が避けられません。
人口が減っても、町の面積や公共施設は自然には減りません。
だからこそ、
「人口減少社会に見合った形へ、まちをつくり変えていく」
という“ダウンサイジング”の視点が必要になります。
美咲町では、
「令和は、広げた風呂敷をどう畳むかの時代」
「“次は何を建てようか”ではなく、“次は何をどう整理していくか”を考える時代」
という強い危機感を持って取り組まれていました。
一方で、単に施設やサービスを減らしていくだけでは、「単なる収縮=シュリンク」に過ぎません。
👉 必要なサービスに重点化する
👉 将来世代に負担を残さない
👉 地域のつながりを維持する
こうした視点を持ちながら、“賢く収縮する”ことが重要だという考え方でした。
また、視察の中で強く感じられたのが、
「当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなくなる」
という危機感です。
人口減少社会では、これまで通りの仕組みを維持すること自体が難しくなっていきます。
だからこそ、早い段階から現実と向き合い、将来を見据えた議論を進める必要があると感じました。
美咲町では、
「地域が元気かどうかは、人口ではなく“人交密度”で決まる」
という考え方が紹介されていました。
つまり、
✅ 人と人とのつながり
✅ 地域での支え合い
✅ 顔の見える関係
が、地域の力になるということです。
これは枚方市でも非常に重要な視点だと思います。
人口が多くても、地域のつながりが弱くなれば、孤立や担い手不足などの課題は深刻化します。
また、美咲町では、「小規模多機能自治」という考え方にも取り組まれていました。
具体的には、これまで81あった自治会を、13の地域運営組織へ再編。
地域内のことを、
「地域自らが考え、決定し、実行する」
仕組みへ移行しているとのことでした。
特徴としては、
✅ 住民一人ひとりの力を発揮する仕組み
✅ “参加”だけでなく“参画”につなげる仕組み
✅ 自治の原点を取り戻す仕組み
✅ 自治体内分権の仕組み
✅ 少子高齢化・人口減少に対応する仕組み
などが挙げられていました。
さらに印象的だったのは、ふるさと納税を活用した仕組みです。
寄付をする際に地域運営組織を指定でき、指定された寄付額の4分の1が各地域組織へ配分される仕組みとなっており、地域主体の活動を支える財源づくりにも取り組まれていました。
人口減少時代だからこそ、「地域コミュニティをどう維持するのか」がますます重要になると感じました。
美咲町では、公共施設の維持管理についても、非常に厳しい現実と向き合っていました。
公共施設(建物)の床面積は約109,099㎡あり、住民1人あたりでは約7.19㎡と、全国平均の2倍以上となっていました。
一方で、公共施設の更新費用については、
📌 過去20年間の平均年間費用:約6.1億円
📌 今後40年間に必要な平均年間費用:約11.3億円
と試算されており、年平均の差額約5.2億円分の縮減が必要な状況です。
そのため美咲町では、
✅ 新築は、機能(サービス)の集約と複合化
✅ 新築は、「シンプル(簡素)」「コンパクト(縮小)」「フレキシブル(柔軟)」「ロウ・ライフサイクルコスト(生涯費用の縮減)」を重視
✅ 旧施設は、町(直営・委託・指定管理)で運営しない
✅ 旧施設は、売却・解体を進める
✅ 解体後の土地も売却する
など、将来を見据えた公共施設再編を進めていました。
こうした厳しい現実を踏まえ、美咲町では、公共施設を単体で考えるのではなく、
行政・学校・地域を一体で考える
という視点で再編を進めていました。
特に印象的だったのは、青野町長が、
「公共施設再編のカギは学校」
と話されていたことです。
学校は、単なる教育施設ではありません。
📌 地域コミュニティの拠点
📌 防災拠点
📌 多世代交流の場
としての役割も担っています。
そのため、学校再編は単に「学校を減らす」という話ではなく、
「地域の将来像をどう描くのか」
という議論と一体で進めていく必要があるということです。
また、職員の方からは、
「地域コミュニティの再編と公共施設の統廃合を同時に進めていたからこそ、比較的スムーズに住民理解を得ながら進めることができた」
という話もありました。
人口が減る中で、学校や公共施設をそれぞれ別々に維持していくのではなく、地域に必要な機能をどう組み合わせていくのか。
この視点は、枚方市にとっても非常に重要だと感じました。
枚方市でも今後、学校施設や公共施設の老朽化がさらに進む中で、単に「残す・なくす」だけではなく、
地域コミュニティや将来のまちの姿をどう考えるのか
という視点から議論していく必要があると改めて感じました。
今回の視察では、多世代交流拠点施設「みさキラリ」も見学しました。

この施設では、
✅ 物産センター
✅ 図書館
✅ 公民館
✅ 保健センター
✅ 役場本庁舎
✅ 社会福祉協議会
など、さまざまな機能を集約しています。



単に施設を減らすのではなく、「必要な機能を集約し、利便性を高める」という考え方が実践されていました。
実際に、
📌 物産センターは売上約3割増
📌 図書館利用者は約4倍
📌 公民館利用者は約7倍
になるなど、利用促進にもつながっているとのことでした。
また、美咲町では旧小学校を活用した多世代交流拠点施設の整備や、小中学校を統合した義務教育学校の設置なども進められていました。
さらに、令和6〜7年度では、
✅ 解体費用:約20億円(合併特例債を活用)
✅ 処分床面積:約49,238㎡(△45.1%)
✅ 新設床面積:約18,192㎡
✅ 実質削減床面積:約31,046㎡(△28.5%)
という大規模な公共施設再編も進められています。
単なる“縮小”ではなく、
「必要な機能を維持しながら、持続可能な形へ再編する」
という考え方が、実際の施設整備にも反映されていることがよく分かる視察でした。
今回の視察では、「みさキラリ」の中に整備された役場本庁舎も見学しました。
この本庁舎には、美咲町の“スマートシュリンク”の考え方が徹底されていました。
これまで3か所に分散していた行政機能を本庁舎に集約し、ワンストップでさまざまな行政手続きができるようになっています。
一方で、庁舎そのものは非常にシンプルです。
鉄骨造2階建てで、いわゆるプレハブ工法を採用しており、「物置庁舎」とも呼ばれているとのことでした。

しかし、単に“安くつくった庁舎”というわけではありません。
耐震性についても問題はなく、大手スーパーチェーンなどでも同様の工法が採用されているとの説明がありました。
将来の解体まで含めたライフサイクルコストを意識して設計されており、
✅ 執務スペースは旧庁舎より約3割削減
✅ 町長室の広さも半分程度
✅ 天井高も2.4mに抑制
するなど、徹底して建設コストと維持管理コストの縮減が図られていました。
その結果、整備コスト約16億円は、当初計画から約4割削減できたとのことです。
さらに、30年後に解体する場合の費用についても約3億円程度と試算しているとの説明がありました。
町長からは、
「民間は解体する時のコストまで考えている」
という話もあり、非常に印象的でした。
公共施設は「建てる時」だけでなく、「維持する時」「壊す時」まで含めて考える必要があるという視点です。
その一方で、庁舎内には美咲町産材CLTを活用した天井ルーバーが使用されており、温かみのある空間となっていました。

また、議場についても、机を固定せず、庁内の会議など他用途にも活用できるよう設計されており、限られた空間をフレキシブルに使う工夫がされていました。

「立派な庁舎をつくる」のではなく、
「将来世代に負担を残さず、必要な機能をどう維持するか」
という考え方が、庁舎全体に表れていたことが非常に印象的でした。
今回の視察を通じて改めて感じたのは、
✅ 人口減少は避けられない
✅ だからこそ“備える政治”が必要
✅ 将来世代に負担を先送りしない視点が重要
ということです。
これまでの日本では、「人口増加」を前提としたまちづくりが進められてきました。
しかし、これからは、
📌 人口減少社会に合わせた都市のあり方
📌 公共施設の最適配置
📌 広域連携
📌 DX・生成AI活用
📌 地域コミュニティ維持
など、新しい視点が必要になります。
今回の視察では、取り組みそのものだけでなく、青野町長のリーダーシップも非常に印象的でした。
職員の方からは、
「トップダウンでもなく、ボトムアップでもなく、“伴走型”の市長」
という話もありました。
公共施設再編などでは、不安や反対の声がある地域にも町長自ら足を運び、住民の理解を求めながら進めているとのことでした。
また、町のトップセールスマンとして、民間事業者との連携にも積極的に取り組まれていました。
東京・高輪ゲートウェイ駅前の地域創生型ビジネス拠点「LiSH」にも、美咲町は西日本で唯一の自治体会員として参画しており、青野町長自ら現地を訪問し、地域活性化や企業連携を進めているとのことです。
スマートシュリンクという方向性を明確に打ち出し、公共施設の統廃合や地域コミュニティの再編など、非常に困難な課題にも正面から向き合いながら改革を進めている姿勢からは、多くの学びがありました。
今回、直接お話をさせていただく中で、
「首長のビジョンや姿勢、行動力、リーダーシップが、まちを変えていく」
ということを強く感じました。
私自身も、枚方市において、
「人口が減っても、暮らしの質をどう守るのか」
という視点を大切にしながら、持続可能なまちづくりについて、これからもしっかり提言していきます。

また、お昼には青野町長と中央運動公園内にある、たまごかけごはん専門店「食堂かめっち」にも立ち寄りました。
美咲町名物の「たまごかけごはん」の親子丼をいただきましたが、産みたて卵と町内で収穫された「棚田米」を使用するなど、とことん“美咲町産”にこだわった、美咲町ならではの一品でした。

こうした地域資源を活かした取り組みも、地域活性化や町の魅力発信につながっていると感じました。
また、青野町長自ら地域の魅力を発信されている姿からも、“町のトップセールスマン”としての強い思いを感じました。
今回の美咲町視察では、人口減少時代におけるまちづくりの現実と、それに正面から向き合う覚悟を強く感じました。
人口減少や少子高齢化、公共施設の老朽化は、決して地方だけの問題ではありません。
枚方市においても、今後30年間で約9万人の人口減少が見込まれており、これまでと同じ形を維持し続けることは難しくなっていきます。
その中で重要なのは、
✅ 現実から目を背けないこと
✅ 将来世代に負担を先送りしないこと
✅ 必要な機能や暮らしの質をどう守るのかを考えること
だと改めて感じました。
今回の視察を通じて、スマートシュリンクとは、単なる“縮小”ではなく、
「人口減少社会に合わせて、持続可能な形へまちを再設計していくこと」
なのだと実感しました。
また、青野町長の姿勢からは、困難な課題であっても、首長のビジョンや行動力、そして住民と向き合う姿勢が、まちを大きく動かしていくことを学ばせていただきました。
枚方市でも今後、公共施設再編や学校のあり方など、難しい議論がさらに必要になっていきます。
だからこそ、市民の皆さんと課題を共有しながら、
「人口が減っても、暮らしの質をどう守るのか」
という視点で、持続可能なまちづくりに向けて、これからもしっかり取り組んでいきます。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>かじや 知宏 (カジヤ トモヒロ)>【枚方市】美咲町の挑戦から枚方の未来を考える|維新市議団で「スマートシュリンク」について視察