2026/7/3
災害が起きた時、最後まで機能を止めてはいけない場所があります。
消防署。
市役所。
そして避難所です。
火災、救急、救助、119番通報への対応。
避難してきた市民の受け入れ。
災害対策本部としての情報収集や判断。
どれも、市民の命と暮らしに直結します。
だからこそ、私は2023年12月、天草広域連合議会と上天草市議会の両方で、非常用電源について質問しました。
きっかけは、宇城広域連合の消防施設を見たことでした。

【写真:宇城広域連合北消防署網田分署の屋外非常用電源設備】
宇城広域連合北消防署網田分署には、屋外に非常用電源設備が設置されていました。
軽油タンク、発電機、燃料を供給する配管などが一体となった設備です。
現地で見ると、これは単なる発電機ではありませんでした。
災害時に消防署の機能を維持するための、いわば「拠点を守る設備」だと感じました。
一方で、大矢野島にある天草広域連合北消防署の非常用電源は、小型の発電機が置かれている状況でした。

【写真:天草広域連合北消防署に置かれていた小型発電機】
もちろん、小型発電機にも役割はあります。
しかし、上天草は橋でつながる島のまちです。
大規模災害で道路や橋に支障が出れば、外からの支援がすぐに入れない可能性があります。
その時、地域の消防署がどれだけ自力で機能を維持できるのか。
私はそこに強い不安を感じました。
消防庁の指針では、近年の自然災害では広範囲かつ長時間の停電が起こることもあるため、72時間は外部供給なしで非常電源を稼働できるよう燃料供給体制を確保すること、さらに停電の長期化に備えて、1週間程度は災害対応に支障が出ないよう準備することが望ましいとされています。
災害時に消防署が止まることは、市民の不安に直結します。
非常用電源は、ぜいたくな設備ではありません。
命を守る拠点を止めないための、基本的な備えです。
同じ12月の上天草市議会では、市内の避難所や公共施設の非常用電源についても質問しました。
当時の市の答弁では、上天草市で避難所に指定されている施設は61施設。
そのうち市が管理する施設は56施設でした。
その56施設のうち、非常用発電設備が整備されているのは、大矢野庁舎、松島庁舎、姫戸地域振興センター、龍ヶ岳地域振興センターの4施設。
また、大矢野総合体育館と松島総合センターアロマには、太陽光発電設備による蓄電池が整備されているとの説明でした。
さらに、指定避難所30施設のうち、非常用発電設備または太陽光発電・蓄電池が整備されているのは、大矢野総合体育館、松島総合センターアロマ、姫戸地域振興センターの3施設との答弁でした。
この数字を見ると、まだ十分とは言えないと感じました。
避難所は、ただ雨風をしのぐ場所ではありません。
照明があること。
情報が入ること。
スマートフォンを充電できること。
暑さや寒さを少しでもしのげること。
高齢者や子ども、持病のある方が安心して過ごせること。
そのために、非常用電源は欠かせません。
では、2026年現在、状況はどうなっているのか。
公開情報を確認すると、上天草市では令和7年度補正予算で、防災管理費として非常用発電機の購入費が計上されています。
また、国の支援事業として、上天草市の避難所生活環境改善緊急整備事業も採択されています。
これは前向きな動きです。
非常用発電機を増やすこと。
避難所の生活環境を改善すること。
こうした取り組みは、災害時の安心につながります。
一方で、課題がすべて解決したわけではありません。
天草広域連合では、2026年3月に高機能消防指令システムの更新に向けた入札公告が出されています。
北消防署や各分署でも、署所端末や通信機器、UPSなどの更新が予定されており、通信や指令系統を守るための整備は進められようとしています。
これも必要な前進です。
ただし、これは主に通信・指令システムまわりの無停電対策です。
消防署全体を長時間動かす大型の非常用発電設備が、北消防署など各署所に新たに整備されたことまでは、公開情報では確認できません。
災害時に必要なのは、通信だけではありません。
照明。
車両の出動準備。
庁舎機能。
職員の活動環境。
現場で動き続けるための体制。
これらを支える電源が必要です。
また、避難所についても、非常用発電機の購入や避難所環境改善の動きは評価しながら、すべての地域で十分な電源を確保できるのか、学校施設を含めた避難場所で最低限の電源をどう確保するのか、引き続き確認が必要です。
上天草は、海に囲まれ、橋でつながる地域です。
台風、大雨、地震、津波。
どの災害でも、停電や道路寸断が重なれば、支援が届くまで時間がかかる可能性があります。
だからこそ、非常用電源の整備は後回しにできません。
宇城の消防署で聞いた、
「住民の安心安全のために当然必要な設備です」
という言葉が、今も強く印象に残っています。
上天草でも、その意識が必要だと思います。
災害は、いつ起きるか分かりません。
だからこそ、平時にこそ備える。
非常用電源は、単なる機械の話ではありません。
市民の命を守る拠点を、災害時にも止めないための備えです。
非常用発電機の購入や避難所環境改善など、前に進んでいる部分はしっかり評価しながら、消防署、避難所、公共施設の電源体制をさらに強化していく必要があります。
「備えあれば憂いなし」
災害が多くなった今こそ、この言葉を現実の備えに変えていかなければなりません。
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ナニカワ マサヒコ/54歳/男
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