2026/2/21
3月議会が開会し、2月16日に飯塚市長の施政方針演説、2月19日に各会派の代表による代表質問が行われました。
今回は、令和8年度の施政方針演説と代表質問の内容を読み解いていきたいと思います。
施政方針演説とは、市長が新年度の市政運営の方向性や重点施策を示すものです。いわば「今年1年、出雲市はどこに力を入れていくのか」を市民の皆さんに伝えるための「市政の設計図」になります。
令和8年度は、総合振興計画「出雲新話2030」の後期基本計画のもと、「2030年に17万人台を維持する」ことに挑戦するため、さまざまな政策が実施されます。
市長は演説の中で、人口減少を最大の課題と位置づけ、若い世代が希望を持って出雲で暮らし続けられる環境づくりを最優先に掲げました。
また、令和8年度一般会計予算は975億7千万円で、4年連続の過去最大規模となりました。背景には、物価高騰対策や子育て支援の拡充などの実施があります。

【飯塚市長による施政方針演説】
(1)最優先課題は「人口減少対策」
市政運営の最優先項目は「2030年17万人台キープ『選ばれるまち出雲』への挑戦」です。
人口減少に歯止めをかけるため、
・子育て支援の強化
・地元就職の促進
・移住・定住の支援
・産業基盤の強化
が打ち出されています。
中でも大きな決断が、中学生までの医療費無償化です。令和8年10月診療分から小・中学生の自己負担が全額助成されます。
さらに、小学校給食費も無償化されることから、少子化対策を「切れ目なく」進める姿勢がより明確になりました。
(2) 出生おめでとうポイント
新規事業として「出生おめでとうポイント」が創設されます。生まれたお子さん1人につき1万円分のポイントを、デジタル地域通貨「縁結びPAY」で付与するものです。
代表質問でも、財源や周知方法について議論されました。私は、単なる経済的支援にとどまらず、子育て支援施策の“実際の利用につながる導線”(必要な支援にためらわず利用できる仕組み)とセットで進めることが大切だと考えています。今後の運用や情報発信の工夫を注視していきます。
(3)物価高騰への家計支援
物価高騰対策も大きな柱です。
縁結びPAYを活用したプレミアム付きデジタル商品券
70歳以上への給付金
住民税非課税世帯への給付
出雲市は、お米券ではなく、デジタル通貨を活用した支援を行います。
今回は、70歳以上への給付金もあわせて実施する方針です。
ここからは、代表質問を通じて私が特に注目した点です。
⭐ 子育て支援施策の成果
人口の社会増(転入数が転出数を上回る状態)が中四国トップという結果も示されました。これは明るい材料です。
一方で、社会増の背景には、企業の雇用動向など経済要因が強く影響する面もあります。私は、出雲村田製作所をはじめとする雇用環境の変化が、一定程度数字に反映されている可能性もあると見ています。
だからこそ、子育て支援施策が「出生数の下げ止まり」や「定住の後押し」にどこまで結びついていくのか。ここは、データを見ながら丁寧にウォッチしていきます。
⭐ 定額乗合交通
佐田地域、湖陵地域に続き、多伎地域でも実証実験が行われます。高齢化が進む中、移動手段の確保は暮らしの基盤です。特に中山間地域で「通院」「買い物」「人とのつながり」を支えられるか。利便性と持続可能性の両立が、今後の課題になります。
⭐ 宿泊税の検討
現在、検討委員会を設置して宿泊税をはじめとした観光財源の議論が進められています。代表質問では、宿泊税について年間約2億円の増収見込みであることが示されました。
大切なのは、「税を取る」ことそのものではなく、観光消費額の拡大や宿泊の増加につなげ、地域経済の好循環をつくれるかです。検討委員会での議論に注目していきたいと思います。
⭐ デジタル教育支援センター
メタバース空間上で学習支援を行う取り組みです。以前の実証実験を踏まえ、不登校対策として本格実施する形になります。
12月議会の一般質問で、孤独・孤立対策について質問した際に、若年層へのデジタルを活用したアプローチについて伺いました。その際に、教育長が触れられていた事業になりますが、自宅からでも学びにつながれる環境整備は、今の時代に即した事業だと思います。
⭐ 介護人材確保対策の拡充
次年度から新たに、次の3つの支援が実施されます。
①新規就労者への奨励金の支給
②ケアマネジャーの新規雇用・研修受講などへの支援
③中山間地域でのデイサービス・ホームヘルプサービスへの支援
介護現場の人手不足は、将来の市民生活に直結する課題です。
支援が現場の定着につながるよう、制度の使いやすさや現場目線の支援策の運用を求めていきます。
令和8年度の出雲市の施政方針は、明確に「子育て支援対策」に舵を切った予算です。人口減少対策を最優先にした姿勢は意義があると思います。
一方で、施政方針全体を眺めると、新規事業は子育て世帯の家計支援など、どちらかというと「再分配」の色合いが強い印象を受けました。
もちろん家計支援は重要です。ただ、地域経営の視点では、再分配政策と並行して、出雲市が自ら価値を生み出し続ける「稼ぐ力」を高めることが不可欠です。そのためには、既存産業の高度化、新産業の創出、人材育成を一体的に進め、地域全体の産業競争力を底上げしていくことが求められます。
市としては、縁結びPAYによる域内循環の促進、IT人材育成・拠点整備、企業誘致などの取り組みが進んでいます。今後はこれらを点ではなく面でつなぎ、地域産業全体の底上げにつながる戦略をどう描くかが焦点だと考えます。
地域産業の競争力強化策については、私が所属する環境経済委員会でも、これからしっかり議論していきたいと思います。
次回は、令和8年度で注目すべき個別事業の内容について、もう少し具体的にお伝えします。
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