2026/5/9
この記事では、令和7年4月時点の鎌倉市の認可保育園の利用状況について、データを分析し、現状と課題についてまとめています。
少子化が進み、全国的に子どもの数は減少しています。

鎌倉市でも、0歳から5歳までの児童数はこの5年間で約1,000人減少しています。
一方で、保育所等の利用を希望する家庭は増え続けています。
令和7年4月時点では、就学前児童数が前年度から315人減少し5,684人となった一方、保育所等の利用申込者数は前年度から25人増加し、過去最多の3,048人となりました。
子どもの数は減っている。
でも、保育園を必要とする家庭は増えている。
この一見矛盾する状況は、鎌倉市だけでなく全国的にも見られる傾向です。背景には、共働き世帯の増加、出産後も仕事を続ける方の増加、一人親世帯や核家族化の進展などがあります。
保育園は、仕事と子育てを両立するための重要な社会基盤となっています。

鎌倉市では、少子化により就学前児童数は減少しています。
しかし、保育園の利用を希望する割合は上昇しています。
特に大きく伸びているのが、1歳児の保育需要です。
令和2年には49.4%だった1歳児の保育園申込率は、令和7年には66.9%となりました。
この5年間で17ポイント以上の増加です。
つまり、子どもの総数は減っていても、保育園を必要とする家庭の割合が高くなっているため、申し込み数は増え続けているのです。
今後も少子化によって児童数そのものは減っていく可能性がありますが、保育園を希望する割合の上昇を考えると、当面の間は保育需要が高い状態が続くと考えられます。
令和7年4月時点の鎌倉市における保育所等の利用状況は、以下のとおりです。
| 項目 | 令和7年4月時点 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 就学前児童数 | 5,684人 | 315人減 |
| 保育所等利用申込者数 | 3,048人 | 25人増 |
| 保育所等定員数 | 3,036人 | 106人増 |
| 入所児童数 | 2,853人 | 46人増 |
| 保留児童数 | 195人 | 21人減 |
| 待機児童数 | 9人 | 25人減 |
令和6年度、鎌倉市の待機児童数は34人で、神奈川県内で最も多い状況でした。
これを受け、令和7年4月からは、家庭的保育事業所1施設、小規模保育事業所4施設、あわせて5施設が新たに開設されました。
また、幼稚園の認定こども園化なども進められ、保育所等の定員数は106人増加しました。
その結果、待機児童数は34人から9人へと減少しました。
これは、保育枠の拡充による大きな成果です。
一方で、保留児童数は195人となっており、依然として200人近い児童が、保育所等の利用申し込みをしながら入所できていない状況にあります。
保育園の利用状況を見るうえで重要なのが、「待機児童」と「保留児童」の違いです。
待機児童という言葉はよく聞きますが、実はこの数字だけでは、保育園に入りたい家庭の実態を十分に把握することはできません。
保留児童とは、保育所等の利用申し込みをしているにもかかわらず、希望する保育所が定員を超過しているなどの理由で入所できていない児童をいいます。
一方、待機児童は、保留児童の中から国の定義に基づいて一定のケースを除いた人数です。
そのため、待機児童数は「保育園の空きを待っている子どもの数」そのものではありません。
令和7年4月時点で、鎌倉市の待機児童数は9人です。
しかし、保留児童数は195人です。
保育ニーズの実態を把握するためには、待機児童数だけでなく、保留児童数もあわせて見る必要があります。
令和7年4月時点の保留児童195人の内訳は、以下のとおりです。
| 理由 | 人数 |
|---|---|
| 育児休業の延長を希望 | 87人 |
| 求職活動を休止 | 17人 |
| 幼稚園の預かり保育を利用 | 26人 |
| 企業主導型保育を利用 | 3人 |
| 特定保育所等を希望 | 53人 |
| その他 | 9人 |
| 合計 | 195人 |
この内訳を見ると、待機児童には含まれていないものの、実際には保育園の利用を希望している家庭が多くあることがわかります。
たとえば、育児休業を延長している方の中にも、「本当は復職したいけれど、保育園に入れないため育休を延長している」という家庭があります。
幼稚園の預かり保育を利用している方も、「認可保育園に入れなかったため、なんとか別の方法で保育を確保している」というケースがあります。
つまり、待機児童には含まれていなくても、保育ニーズがないわけではありません。
保留児童の中で特に注意が必要なのが、「特定保育所等を希望」とされるケースです。
鎌倉市では、基本的に1園のみを希望している方を「特定保育所等を希望」として扱っているとの説明がありました。
ただし、実際には複数園を希望していても、市から案内された別の園に通うことが難しく、引き続き通える範囲の園を希望する場合、待機児童ではなく保留児童として扱われることがあります。
保護者は、毎日の送迎を前提に保育園を選びます。
自宅から通えるか。
職場への通勤と両立できるか。
きょうだい児の送迎と合わせて現実的か。
こうした条件は、保護者にとって非常に大きな問題です。
市内のどこかに空き枠があったとしても、自宅や職場、きょうだい児の送迎との関係で通えなければ、実質的には利用できません。
そのため、保育ニーズを考える際には、単に市内全体の空き枠を見るだけでなく、地域ごとの需給バランスや、保護者が現実的に通える範囲を踏まえる必要があります。
保育政策を進めるうえでは、将来の保育需要をどれだけ正確に見込めるかが重要です。
鎌倉市では、子ども・子育て支援事業計画において、保育所等の利用を希望する児童数の見込みを算出しています。

第2期鎌倉市子ども・子育てきらきらプランでは、令和6年度の保育所等利用申込者数を2,832人と見込んでいました。
しかし、実績は3,023人となり、191人の乖離が生じました。
この主な要因は、保育所等の利用申込率の上昇です。
令和6年度の実際の利用申込率は、以下のとおりです。
| 年齢 | 利用申込率 |
|---|---|
| 0歳児 | 27.8% |
| 1歳児 | 63.9% |
| 2歳児 | 59.4% |
| 3歳児 | 55.4% |
| 4・5歳児 | 47.1% |
特に1歳児、2歳児の保育需要は大きく伸びています。
これまでの見込みでは、保育を希望する家庭の割合を地域ごとに算出しており、年齢ごとの需要の違いを十分に反映しきれていなかった面があり、実績とのズレにつながったと考えられます。
令和7年度から始まった第3期計画では、こうした利用申込率の上昇を反映して確保方策を定めているとのことです。
今後も、実績と乖離が生じた場合には、随時見直しを行い、実態に合った保育枠の確保を進める必要があります。
保育ニーズが増えているからといって、単純に保育園を増やせばよいという話でもありません。
認可保育所や認定こども園は、子ども1人あたりの公定価格に基づいて運営費が支払われる仕組みです。
そのため、将来的に児童数が減る中で、需要を正確に見込まずに施設を増やしてしまうと、入園児童が集まらず、施設の経営が成り立たなくなる可能性もあります。
特に鎌倉市では、土地の制約などもあり、大規模な保育園を新設することは簡単ではありません。
だからこそ、今ある施設の定員構成を見直すことや、小規模保育施設の整備、幼稚園の認定こども園化、預かり保育の充実など、複数の方法を組み合わせていく必要があります。
鎌倉市では、令和7年度の取り組みとして、小規模保育施設の増設や、既存施設の増築が検討されています。
また、令和8年度以降についても、小規模施設の増設が検討されているとのことです。
小規模保育施設は、主に0歳から2歳までの受け皿として重要です。
一方で、3歳以降の保育環境をどう確保するかも大きな課題です。
3歳以降については、幼稚園の認定こども園化や、幼稚園の預かり保育の活用が重要になります。
しかし、幼稚園の預かり保育には定員や利用可能日の制限があります。
また、夏休みなどの長期休暇中には利用料の負担が大きくなる場合もあります。
0歳から2歳までの受け皿を増やすだけでなく、3歳以降も安心して預けられる環境を整えることが必要です。
令和7年4月時点で、保留児童のうち26人が幼稚園の預かり保育を利用しています。
幼稚園の預かり保育は、3歳以降の保育ニーズを支える重要な選択肢です。
しかし、夏休みなどの長期休暇中には利用料の負担が大きくなる場合があります。
現在、国の制度として、施設等利用給付認定2号、いわゆる新2号認定による補助があります。
補助額は1日あたり450円、月額上限11,300円です。
しかし、長期休暇中に毎日預かり保育を利用する場合、実際の利用料が補助上限を超えることがあります。
その場合、月に数万円の自己負担が発生する家庭もあります。
また、預かり保育が利用できない日には、ファミリーサポートセンター、ベビーシッター、認可外保育施設の一時利用などを組み合わせる必要があります。
こうした状況を踏まえ、幼稚園の預かり保育などを利用しながら保育枠の空きを待つ家庭に対し、特に長期休暇中だけでも市独自の補助を上乗せする制度を検討できないか提案しました。
市からは、他市の事例をもとに研究していくとの答弁がありました。
保育園の問題は、子育て世帯だけの問題ではありません。
保育園に入れない。
仕事に復帰できない。
2人目、3人目を産むことをためらう。
保育環境が整った近隣自治体へ転出する。
こうしたことが重なれば、現役世代の減少、高齢化率の上昇、税収の減少にもつながりかねません。
つまり、保育環境の整備は、子育て支援であると同時に、鎌倉市の将来を支えるまちづくりの課題でもあります。
保育園に入りたい家庭が、通える範囲で、安心して子どもを預けられる。
その環境を整えることは、鎌倉市に子育て世帯が住み続けるためにも重要です。
令和7年4月時点の鎌倉市の保育所等利用状況を見ると、保育枠の拡充により、待機児童数は大きく減少しました。
一方で、次のような課題が残っています。
| 今後の課題 | 内容 |
|---|---|
| 待機児童数だけでは実態が見えにくい | 待機児童9人に対し、保留児童は195人 |
| 地域ごとの需給バランス | 市内に空きがあっても、通えなければ利用できない |
| 1歳児・2歳児の需要増 | 利用申込率が大きく上昇している |
| 3歳以降の受け皿 | 小規模保育後の受け皿や預かり保育の充実が必要 |
| 保留児童への支援 | 今困っている家庭への負担軽減策が必要 |
| 情報公開 | 保留児童数や理由別内訳の公表が必要 |
待機児童数だけを見るのではなく、保留児童の実態、地域ごとの状況、年齢ごとの需要を丁寧に把握することが必要です。
そのためにも、鎌倉市として待機児童数だけでなく、保留児童数やその理由別内訳をわかりやすく公表していくことが重要だと考えています。
鎌倉市では、令和7年4月に保育定員を増やしたことで、待機児童数は34人から9人へと減少しました。
これは大きな前進です。
一方で、保留児童は195人おり、保育園を希望しながら入所できていない家庭は依然として多くあります。
少子化が進む中でも、共働き世帯の増加などにより、保育需要は今後もしばらく高い水準で推移することが見込まれます。
大切なのは、待機児童数だけを見るのではなく、保留児童の実態、地域ごとの需給、年齢ごとの保育需要、そして保護者の生活実感を踏まえて、保育政策を進めることです。
保育園に入りたい家庭が、通える範囲で、安心して子どもを預けられる。
そして、仕事と子育てを両立しながら、鎌倉で暮らし続けられる。
そのような環境づくりに向けて、引き続き取り組んでいきます。
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