2024/12/29
下記について参議院調査室へ調査依頼いたしました。
【依頼内容】
https://x.com/BABYLONBU5TER/status/1851546555171610982
① 太陽光パネルが設置された建物などの消火活動に関するリスク及びその対策について調査頂きたいです。
② 公共施設の屋根に太陽光パネルを設置することについて、賛否いずれもどのような議論があるか知りたいです。
③ 関連した調査資料も頂きたいです。
④ 火災時の懸念を理由として、太陽光パネルの設置を中止した自治体があればその詳細が知りたいです。
(公共施設に限らず、可能な範囲で)
【回答】
1.太陽光パネルが設置された建物などの消火活動に関するリスク及び対策について
●太陽光パネルが設置されている建物の消火活動に関する主なリスク、対策としては、以下のようなものがあるとされています。
【リスク】
・太陽光が当たる限り発電し続けることから、破損モジュールや接続配線への接触、放水による感電、火傷のリスク
・太陽光パネルが屋根上の傾斜スペースに設置され、かつ滑りやすいことに伴う消防隊員の活動制限や微量感電による落下リスク
・火災による熱でパネルが燃えた場合の燃焼ガスの発生リスク
・太陽電池モジュールの荷重による建物への負荷が大きいことから、火災時に建物構造が弱体化した際の崩落リスク
・絶縁不良によりアーク放電と呼ばれる現象が発生する可能性があり、その場合の火災の延焼リスク
【対策】
消防活動に係る対策としては、消防活動の安全を確保した設置、防火対象物への感電防止対策を求めること、延焼防止に係る対策としては、消防法令による屋上設備の規制場所には可燃性のある太陽電池モジュールは設置できないこととすることなどが示されています。詳細は出所資料②をご参照ください。
(出所)
①独立行政法人産業技術総合研究所「太陽光発電火災発生時の消防活動に関する技術情報」(2014年2月)16頁
②「太陽光発電設備に係る防火安全対策検討部会」検討結果報告書(東京消防庁) 第7章 太陽光発電設備に係る防火安全対策
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000020872.pdf
(参考資料)
・消防研究報告(消防大学校消防研究センター、2014年3月)
https://nrifd.fdma.go.jp/publication/houkoku/081-120/files/shoho_116s.pdf
⇒本稿では、消防活動時の消防隊員の安全確保の観点から、太陽電池モジュールの感電の危険性などについて示されております。感電に関連して個人装備品や破壊器具の抵抗を調査したところ、乾いた手袋では一定の絶縁性があるものの濡れると絶縁性が低下すること、モジュールの数カ所を太陽電池セル間の配列を切るように破壊器具で破壊し続けると、発電が止まったことなどが示されています。
(御参考)
太陽光パネルの設置及び安全対策については、複数の省庁が関係しており、主に以下のようなものがあります。
● 消防庁
・消防庁では、太陽光発電システムの火災発生時の消防活動中の安全確保(感電リスクや有毒ガスへの対応策)を図る観点から、調査、その結果を踏まえた資料の公表等を行っています。
太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策(消防庁消防研究センター、2014年3月)
https://nrifd.fdma.go.jp/publication/gijutsushiryo/gijutsushiryo_81_120/files/shiryo_no83.pdf
●経済産業省関連
・経済産業省では、太陽光発電設備を設置する場合のガイドライン等の策定を行っているほか、設備の保守点検や事故の報告体制の整備を進めています。
なお、電気設備からの感電、火災等の防止に関しては、発電用太陽電池設備に関する技術基準第4条に規定されているとされています。
経済産業省「太陽光発電設備を設置する場合の手引き」
経済産業省ホームページ「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令を制定しました」
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2021/04/20210401-02.html
発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説(産業保安グループ電力安全課、2021年4月1日)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2021/04/20210401-06.pdf
● 国土交通省関連
・国土交通省では、太陽光発電設備を含む建築物の安全性等を管轄しており、建築基準法に基づき、設置場所等の規制を行っています。
建築物の屋上に太陽電池発電設備を設置する際の建築基準法の取扱いについて(国土交通省、2023年3月13日)
https://www.mkj.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/aacf7ed9e586847bcf63819e2f197329.pdf
2.公共施設への太陽光パネル設置に関する議論(公共施設に限らず太陽光導入のメリット、デメリットを含む)
【賛成意見(メリット)】
・太陽光発電は二酸化炭素の排出を削減でき、カーボンニュートラルの実現に寄与する
・エネルギー源が無尽蔵で、クリーンである
・太陽光発電システムは停電の場合でも「自立運転機能」に切り替えることにより非常用電源として利用できる
・規模に関係なく発電効率がほぼ一定であり、大小さまざまな設置場所での発電が可能
・2012年のFIT制度導入後、設備コストの低下に伴い、発電コストも大きく低下している
・公共施設が先導的に導入することで、民間の追従や新技術開発が加速する可能性がある
・発電電力を自治体で利用した場合には、地域のレジリエンス向上、地域経済への貢献、エネルギー価格変動リスクへの対応が期待できる
(出所)
・一般社団法人太陽光発電協会「公共施設への太陽光発電導入について」(2023年12月8日)15頁
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/public_info_20231208.pdf
・環境省「公共施設への再エネ導入第一歩を踏み出す自治体の皆様へ」(2023年3月公表、2024年3月改訂)7頁
https://www.env.go.jp/content/000118595.pdf
【反対意見(デメリット)】
・天候や時間帯によって発電量が変動するため安定的な電力供給が困難
・初期費用が高く、費用回収に時間がかかる
・維持管理にかかる費用や労力が懸念される
・バッテリーの導入が必要となり、さらなるコスト増加を招く可能性がある
・設置不備や劣化による火災リスクが懸念される
・太陽光パネルの設置において日照条件等の関係からすべての公共施設に適さない場合がある
・景観への影響、動物・植物・生態系への影響、反射光の影響等が懸念される
(出所)
・一般社団法人太陽光発電協会「公共施設への太陽光発電導入について」(2023年12月8日)15頁
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/public_info_20231208.pdf
・ダイキン「太陽光発電のデメリットは5つしっかり理解したうえで導入検討を!」 等
https://www.ac.daikin.co.jp/customercenter/useful/article/45
・地域社会における持続的な再エネ導入に関する情報連絡会 第1回 資料4「太陽光発電の環境影響評価に係る検討状況について」(2018年10月30日)7~9頁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/community/dl/01_04.pdf
●政府の施策
・地球温暖化対策法第20条に基づき、政府は、事務・事業に関する温室効果ガスの排出削減計画を策定することとされており、現行計画における目標を達成するため、環境省では、公共施設への太陽光の導入に向けて、率先して取り組んでいるとされています。具体的には、2030年度までに設置可能な建築物(敷地含む。)の約50%以上に太陽光発電設備を設置することを目指すこととしており、地方公共団体においても国の計画に即した取組を進めることとされています。
・上記取組を進めるための施策として、環境省では、地方自治体に対して公共施設への設備導入支援を行っているほか、太陽光発電設備の導入を検討している自治体向けの手引きを策定し、初期費用なしでの導入を実現する第三者所有型のモデル(PPA、屋根貸し、リース)の紹介などを行っています。第三者所有型は、初期費用及びメンテナンスが原則不要であり、設備設計も民間提案とすることが可能であるため、少ない労力で短期間に多くの設備導入が可能とされています。
・公共施設への太陽光発電導入の優良事例としては福岡県北九州市や、千葉県千葉市が紹介されています。
(出所)
・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第53回)(2023年7月31日)資料1 2~8頁
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/053_01_00.pdf
※なお、環境省のサイトによると「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」の事業実施期間は、令和3年度から7年度とされています。
https://www.env.go.jp/policy/post_170.html
・環境省「公共施設への再エネ導入第一歩を踏み出す自治体の皆様へ」(2023年3月公表、2024年3月改訂)4頁、10頁
https://www.env.go.jp/content/000118595.pdf
・総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第68回)(2024年9月11日)資料1 5頁
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/068_01_00.pdf
3.関連の調査資料
1、2の御回答の出所欄に記載した資料が関連資料となります。御確認ください。
4.火災時の懸念を理由として、太陽光パネルの設置を中止した自治体の有無
お調べした限りでは、御質問に該当する事例は見当たりませんでしたが、参考資料を下記に添付いたしますので御参照ください。
(参考資料)
・一般財団法人地方自治研究機構「太陽光発電設備の設置に関する条例」
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/005_solar.htm
⇒太陽光発電設備の設置により、地域によっては、土砂流出や濁水の発生、景観への影響、動植物の生息・生育環境の悪化などの問題が生じているため、その設置等を規制することを目的として、条例を制定する自治体が少なくないとされています。本サイトにおいて、太陽光発電設備等の設置を規制する単独条例は、全国で298条例(都道府県条例は8条例、市町村条例は290条例)あるとされていますが、火災時の懸念を理由とする条例の制定等についての情報は見当たりませんでした。
・産業技術総合研究所「大規模太陽光発電施設での火災事例【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP」
https://riss.aist.go.jp/sanpo/riscadnews/2024/05/p11754/
⇒産総研の産業保安に関する情報が公表されているサイトにおいて、本年3月末に鹿児島県の大規模太陽光発電施設(メガソーラ)の蓄電設備で火災、爆発事故が発生した事例、また、4月に宮城県のゴルフ場の大規模太陽光発電施設で火災が発生した事例が掲載されています。
なお、両事案について、2024年9月に行われた経済産業省の作業部会において、事故の原因や対策の方向性が示されています。
鹿児島の事案については、蓄電池から出火した可能性が高いとされていますが、現行の電気事業法では蓄電池は破損事故の報告対象となっていないため、蓄電池を破損事故の報告対象とすることを検討するとの方向性が示されています。
また、宮城県の事案については、パワーコンディショナーの破損により周囲の下草等に引火し、発電所内に延焼したと分析されていることから、電気事業法上の技術基準の明確化を図り、機械器具周辺の可燃物に対する具体的措置を盛り込むとの方向性が示されています。また、一般社団法人太陽光発電協会から事業者に対する注意喚起が発信されています(2024年4月24日)。
(出所)第21回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 電気設備自然災害等対策ワーキンググループ(2024年9月10日)
資料3(鹿児島県の事案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/denki_setsubi/pdf/021_03_00.pdf
資料4(宮城県の事案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/denki_setsubi/pdf/021_04_00.pdf
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