2026/7/4
自分が初当選してから、早3年が経ちましたが、まともな議員とは何だろうと考えることが増えました。何期もやっているベテラン議員から見たら、まだまだ甘いと思うのですが、あくまでも3年が過ぎた時点での自分なりにまともな議員像というのが、どんなものなのかというのを考えてみました。なお、統一地方選まであと1年を切り、人によっては自分も出馬してみようかなとか考えている住民もいるかもしれませんので、そういう人の参考になればと思います。
①地方議員選挙は言うほど甘くないということ
地域にもよりますが、東京都特別行政区であれば、区議の定数は25~50人です。例えば、定数40人に対し、50人候補者がいるとしましょう。傍からみれば、40/50で、つまり80%の可能性で受かるという風に見えるかと思います。ただ、この数字は言うほど甘くないのです。地域にもよりますが、例えば、大体2千票ぐらい得票できれば受かるとしましょう。この場合、「50人の候補者の中であなたが一番だ」と言ってくれる人を最低2千人集めるというのが、この戦いだということです。シビアな言い方をすれば「50人の候補者の中であなたは二番目の推しだけど、絶対受かってね」という声援はあなたの力にはならないということです。なので、80%という一見手堅そうにみえる戦いであっても、当選できない人は全く当選できないということでもあります。まずはまともな地方議員の話をする前提として、そもそも議員になるためには、誰かにとっての一番になることが重要だという話でした。
②最低限、4年間は同じ考え方を維持できること
地方議員の任期は4年です。よほどのことが無ければ、4年間続ける仕事ということでもあり、簡単に投げ出してはいけない仕事ということでもあります。また、どこかの政党の公認で受かった人は、その政党だから票を投じられたということもありますので、軽々しく離党してはいけません。当選後いきなり湧き出てきた懸案事項や政策について党と意見が合わなかったから、党の誰かと喧嘩したから、党勢が下がってきたから、大体の国政政党なら課せられる党員獲得ノルマや党費・度重なる選挙応援の負荷に耐えられないから。まあ、どこの組織だって探そうと思えば不満は必ずあるでしょうが、それらを呑み込むことができるのかは大事です。
そういったことを勘案すると、小学校と大学の在籍を除き、一つの物事を4年以上続けられた実績があるのかはよく吟味した方が良いでしょう。短期離職が積み重なり転職回数が多い人は、持続力に疑念は持たれるのは勿論のこと、たとえ外的要因でそうせざるを得なくても、所属する組織への審美眼に課題がある人だとも言えるかもしれません。
③敵味方が入り乱れる中で信頼性を保つこと
基礎自治体の地方議員選挙をする上で、一番厄介なライバルは、同じ政党の仲間です。何せ、党のラベルや主張が被り、支持者が競合するのです。また、必ずしも同じ党でなくとも、似たような主義主張をする人もライバルとなります。逆に言えば、主義主張が遠い候補者だと、競合になりにくいので、選挙活動の場所取り争い以外はどうぞご勝手にという気分になります。(選挙区で一人だけを決める衆議院選だとまた雰囲気が違います)
選挙が終わり、いざ当選したとなると、同じ政党もしくは近い主義主張の人で固まって会派を結成することになります。議会内で命運を共にする非常に重要な仲間となります。主義主張が遠い議員とは、討論などし合う形になります。そして、会派によっては、人間関係や思想の不一致で分離したり、逆に新しく合流したりするかもしれません。また、議会中に意外な形で、他会派から助け舟を出されることもあります。
要するに何が言いたいかというと、敵味方は状況によって入れ替わるし、同じ所属じゃなくとも助け合うことはあるので、人間関係の構築には柔軟性が求められるということです。そのためには、人間的信頼性は大事です。特定の分野については安定した信条(この分野でこう発言したら、相手はこう返してくるだろういうのは、一種の安定したブランドです)、特定の分野については専門的知見、合意が取れたことは遵守すること、性格や言い方などの人間性、信頼性構築には様々な要素はあります。そして、当然のことながら、この人間的信頼性は議会内では勿論、議会外の有権者や役所職員に対しても重要です。
④問題解決能力が高いこと
様々な地域課題に対峙するのが地方議員の仕事です。それは本当に問題として扱っていい問題なのか、本当に解決すべき問題なのか、自分の立場で解決できる問題なのか、優先順位が高い問題なのか、という問題の取捨選択から始まり、だれに相談すれば話は進むのか、どのような手段で解決するのが理想なのかなど、問題解決能力が問われます。よくよくヒアリングすれば民間同士の個別の係争ということもありますし、その場合だとどちらかに肩入れして制度を作って救済するという高度な政治的解決手法はありますけど、客観的により多くの住民から見たとき政治的にテコ入れするのは本当に正しいのかということはありますがね。具体的にいえば、正当な手続きを経て開設した民泊と不安な住民との対立(個別での対処か、様々な議論を経て条例作るか)、子ども達の為にPTAをより整備したい人と忙しい保護者のためにPTAを無くしたい人との対立(そもそもPTAは自主組織だけど行政は介入できるのか)、私道で発生している困りごと(私道に対して行政は直接的に動きづらいけど、間接的に何かしら検討の余地はあるか)。
特に、無所属の新人とかの場合は、親身に教えてくれる人は周囲にいないので、自分で本当に何ができるのか手探りでトライ&エラーをしていく他はないですね。
⑤危機管理能力が高いこと
何を発言するとまずいのか、何の書類を正確に出さないといけないのか、正しく把握し、対処することが大事です。場合によっては、それで議員生命が終わることだってありえます。
実は政策議論も同じことで、リアルタイムに何でもかんでも意見を言えば良いという訳ではありません。例えば自分は正しいと思ってSNS上でうかつに強い発言をしても、後から新事実が発覚して前提が揺るがされた場合、党や会派の仲間との最終決断と一致していない場合、議会活動における発言や決との整合性がとれなくなります。政策についてSNSで発言するような場合は、既にある程度仲間や関係者で協議したとか、党の代表として一定の発言力がある立場にあるとか、協議はしなくともその分野で圧倒的に知見があり発言に責任を持てるのかということのいずれかが求められます。
逆にいえば、「壊し屋」みたいになりたい人は、速攻でSNS上でも態度表明すべきなのでしょうが、一定の支持を集めて当選しやすくなる代わりに、強烈なアンチに悩まされて平穏な日常を送りづらくなるでしょうし、議会で孤立しがちになって政策実現にこぎつけるのは難しくなるでしょう。
以上、私が思うまっとうな地方議員でした。最後になりますが、選挙に強い議員が良い議員だとは必ずしも限らないことも述べておきたいと思います。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>安達 しんじ (アダチ シンジ)>新人候補者必見?まともな地方議員を考える