2026/7/2
最近、「国保税が上がるらしい」「県内で税率が統一されるらしい」という話を耳にされた方もいるのではないでしょうか。
国民健康保険は、自営業の方や年金生活者の方など、多くの市民の皆さんにとって身近な制度です。割合で言えば国保を利用されている方はすくないですが、税率の見直しは家計への影響も大きく、関心の高いテーマと言えます。現在は社保の方であっても、退職後に国保になることもあるでしょう。
なぜ統一が必要なのか。戸田市にはどのような影響があるのか。そして、市民負担をどう考えるべきなのか。今回は、国保税水準統一の背景と課題について整理してみたいと思います。
国民健康保険制度は、長年にわたり様々な課題を抱えてきました。加入者の高齢化が進み医療費は年々増加しています。一方で、加入者の所得水準は比較的低く、保険税だけで制度を維持することが難しい自治体も少なくありません。
また、同じ埼玉県内であっても市町村ごとに保険税率が異なるため、「隣の市なのに負担額がかなり違う」という状況も生じています。こうした課題を受け、平成30年度から国保改革が始まり、都道府県が財政運営の中心的な役割を担うことになりました。
その延長線上にあるのが、現在進められている「保険税水準の統一」です。
ここで戸田市特有の事情があります。実は戸田市は、県内でも一人当たり医療費が低い自治体です。市民の皆さんの健康意識や予防事業の成果もあり、医療費は比較的抑えられています。
ところが一方で、所得水準は県平均を上回っています。
国保税は所得に応じて負担する仕組みですので、税率統一が進むと、「医療費は低いのに保険税は上がる」という状況になりやすいのです。
この点が、市民の皆さんにとって分かりにくく、また納得を得ることが難しい部分ではないかと思います。
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負担増ばかりが注目されがちですが、一方で子育て世帯への支援拡充も進められています。
現在は未就学児を対象として均等割額の半額軽減が行われていますが、令和9年度からは高校生年代まで対象が拡大される予定です。
例えば、中学生や高校生の子どもがいる世帯でも均等割額の半額軽減を受けられるようになり、子育て世帯にとっては一定の負担軽減につながることが期待されています。
なお、「均等割そのものを廃止すべき」という議論も全国的には続いていますが、現時点で決まっているのは高校生年代までの半額軽減の拡大です。
また、埼玉県内では保険税の減免基準についても統一が予定されており、住む自治体によって支援内容が大きく異なる状況の解消も進められています。
一方で、現状をそのまま維持することも簡単ではありません。国保加入者は年々減少していますが、高齢化や医療の高度化によって医療費は増加を続けています。また、これまで一般会計から補填してきた赤字分についても、県の方針では解消が求められています。
つまり「負担を増やしたくない」という思いと、「制度を維持しなければならない」という現実の両方が存在しているのです。
だからこそ、税率改正だけを議論するのではなく、医療費適正化や健康づくりの取組をさらに進め、市民負担をできるだけ抑える努力を同時に行う必要があります。
私は、国保制度を将来にわたって維持していくためには、一定の制度改革は避けられないと考えています。しかし同時に、「県の方針だから仕方がない」で済ませてはいけないとも思っています。
戸田市は県内でも医療費が低い自治体です。市民の皆さんの健康への取組や、これまでの行政の努力によって築かれてきた成果があります。それにもかかわらず、所得水準が高いという理由で負担増が生じるのであれば、その理由や必要性について行政はより丁寧な説明責任を果たすべきです。また、税率の引上げだけではなく、子育て世帯への支援拡充や医療費適正化の取組など、市民負担を軽減するための施策も同時に進めなければなりません。必要なのは、結論を急ぐことではなく、なぜ負担増が必要なのか、どのような軽減策があるのか、そして将来どのような制度を目指すのかを市民の皆さんと共有することだと思います。
国保税水準の統一は、戸田市にとって大きな転換点です。だからこそ、市民生活への影響をしっかり見据えながら、持続可能な制度と適正な負担のバランスについて、引き続き議論を深めていきたいと思います。
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