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【京丹後市議会】一般質問レポート:年間118億円の維持費と「見えないコスト」―公共施設改革への道筋

2025/10/10

はじめに

今回の一般質問では、京丹後市が抱える公共施設の管理と活用について質問させていただきました。人口減少と財政制約が進む中、多くの公共施設をどのように維持・管理していくのかは、市の将来を左右する重要な課題です。

京丹後市は6つの町が合併してできた市であり、合併により多くの公共施設を保有することになりました。この歴史的経過を踏まえつつ、持続可能な施設管理のあり方を模索していく必要があります。

京丹後市の公共施設が抱える構造的課題

人口1人当たりの延べ床面積の大きさ

京丹後市の人口1人当たりの公共施設延べ床面積は、近隣の福知山市や豊岡市と比較してもかなり大きい状況にあります。

まず市長に「既存の公共施設を活用しきることができているのか」という認識を伺いました。

総務部長からは、「施設によっては利用実績が少ない施設もある。今年度、公共施設を見直すことにしており、現状施設が適切に活用できているかという視点も含めて検討を進めている」との答弁がありました。

市長からは、それぞれの町が市街地を持ち必要な公共施設があるという歴史的経過があること、単純に他市と比較するのではなく、それぞれの町の状況に応じて見ていく必要があるとの見解が示されました。

私自身は、先人が作られた施設を「大切にする」とは、きちんと「手入れをする」ことだと考えています。その手入れの部分に課題があるのではないかという問題意識を持っています。

膨大な維持管理費と「見えないコスト」の問題

年平均118億円という数字

公共施設総合管理計画によれば、今後40年間で総額4720億円、年平均にすると約118億円の維持管理費が必要になる見込みです。直近の令和3年から5年の3か年では約52億円で済んでいたものが、これから118億円かかる可能性があるというのは、財政的に極めて大きな負担です。

職員人件費という「見えないコスト」

ここで私は重要な質問をしました。

「この総額4720億円の中に、職員の方々が管理することの人件費は見込んでいるのか?」

総務部長の回答は、**「職員の人件費については含んでおりません」**とのことでした。

つまり、**職員の人件費は「見えないコスト」になっているのです。**本来やっていただきたい業務や、時間外勤務として発生している工数は、この4720億円という数字には一切反映されていません。

包括管理業務委託という解決策

先進自治体の取り組み

この課題を解決する一つの方法として、公共施設の包括管理業務委託を提案しました。

これは、市から包括管理業者に一括で委託し、その業者が修繕や日常管理を手配して公共施設を維持していくという仕組みです。近隣では豊岡市、福知山市、京田辺市、舞鶴市などが導入を進めています。

特に注目すべきは富山県射水市の事例です。包括管理の導入により、年間8600時間の職員の工数を削減したという実績があります。

包括管理の本質的な意味

総務部長からは、「包括管理委託は、職員が施設管理をしていた人件費が委託料として予算計上されるため、維持管理経費そのものだけを見ると予算は増加するが、民間事業者の運営能力の活用、職員の業務負担の軽減、職員数の縮小といった効果も見込める制度」との説明がありました。

ここで重要なのは、予算が「増加する」のではなく、今まで見えなかったコストが見える化されるということです。

職員の方々が施設管理に費やしていた時間が削減されれば、その時間を以下のような重要な業務に充てることができます:

施設の除却や譲渡の調査

利用者との丁寧な調整

新しい代替施設の企画立案

施設の統合とモビリティ確保の検討

施設の譲渡や除却、統合といった調整ができるのは、やはり市役所職員の方々、つまり「人の力」なのです。その人の力を発揮できる環境をどう作るのかが重要です。

年平均118億円にどう対応するのか

年平均118億円という数字は、あくまで全ての施設を耐用年数経過時に同じ規模で単純更新した場合の試算です。

総務部長からは、「現実的には全ての施設を単純更新することはできない。施設の見直しの中で、譲渡や除却などを進める施設と今後も維持し続ける施設を定めて、維持管理費全体の縮小を目指していく必要がある」との答弁がありました。

1年では難しい、だからこそ仕組みが必要

私からは率直に申し上げました。「今年度見直します」という1年では難しいのではないか。1年でできるなら過去20年間でできていたはずです。

やはりあり方を変えていく中で、まず全体を包括管理していただき、職員の方々にしっかりと企画調整ができる時間を作っていく。そうした環境整備が必要なリーダーシップであり、仕組みづくりではないかと考えています。

市長との議論:市民ニーズと職員の力

市長からは、「公共施設を鳥の目で見ることも大切だが、具体的に進めていく上では、市民のニーズを充足するという視点に立ち返る必要がある。行政財産と普通財産ではそれぞれ検討の視点が異なり、普通財産はまちづくりの財産にもなり得る」との認識が示されました。

私からは、さらに踏み込んで「鳥の目から虫の目、つまり現場に降りていくときに、職員の力を発揮できる環境をどう仕組み化するのか」と質問しました。

市長からは、「総務部に中心的なセクションを置き、各部に担当者を配置する体制の中で、それぞれが問題意識を共有しながら進めていく」との答弁をいただきました。

おわりに

限られた行政リソースの中で、公共施設の合理化を丁寧に進めていくために必要なことは:

真のコストの見える化(職員人件費を含む実質コストの把握)

包括管理委託の導入検討(近隣自治体の事例を参考に)

職員の時間創出(日常管理から戦略的な企画調整へ)

市民ニーズに基づいた施設再編

今年度から各課に34名の財産管理担当者が配置され、施設見直しの基礎情報調査が始まっています。この取り組みを単年度で終わらせるのではなく、継続的に、そして実効性のある形で前進させていくことが重要です。

そのためには、職員の方々が本来の力を発揮できる環境を整えること。日々の施設管理業務に追われるのではなく、市民との丁寧な調整や将来を見据えた企画立案に時間を使えるようにすること。それこそが、持続可能な公共施設管理の実現への道筋だと考えています。

引き続き、京丹後市の未来のために、提言を続けてまいります。

詳しい一般質問の様子はYouTubeにアップしておりますので、併せてご覧ください。

 

 

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著者

鳴海 まさのり

鳴海 まさのり

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