2026/3/28
令和8年3月定例会の3月9日(月)・10日(火)の一般質問が公開されました。
自分は「卒業式」をテーマに、実施状況の振り返り、卒業式の練習、卒業に伴う準備、卒業式の今後について、質問しました。

教育監より丁寧な答弁がいただけました。ショート動画ではないので要約してご紹介します。
全国の学校行事は、教育課程に再規定された昭和33年の学習指導要領第二次改訂以降、教員主導で実施されてきたため、一定数の児童生徒が「やらされ感」を抱いてきました。そうした状況は、学習指導要領の改訂に合わせてカリキュラムが変化する中でも続き、コロナ渦で行事の簡素化が図られるまで大きな変化がありませんでした。
特に卒業式においては、学年で細部まで調整して練習を始めるため、「教師が思う形に子どもたちを揃え、整えたもの」「保護者や 関係各所の評価を意識した見世物」となっている事例が閉鎖的な地域を中心に散見し、旧態依然でした。
本市は、卒業式の課題として挙げられやすい「練習の在り方」や「卒業に伴う準備」に関する見解を提示する必要があると考え、順次質問させていただきます。
Q.卒業証書授与は、全国的に卒業生全員が一人ひとり壇上に上がり、校長から直接受け取る全員登壇が主流となっている一方で、代表者が壇上で卒業証書を受け取り、式典の終了後に個々の卒業生が各クラスで担任から証書を受け取る代表者一括受領を採用している学校もあります。卒業生の服装は袴・スーツ・進学先の制服など多様化しております。
コロナ渦では、全国の学校で在校生・保護者・来賓の参加制限や式典の簡素化が進められたことが記憶に新しく、アフターコロナでは従来の厳粛な雰囲気を感じさせる形式に回帰していく学校と児童生徒の体調配慮や過剰な演出に頼らない感動を重視し、簡素化を継続する学校に二極化しています。
そこで最初の質問です。
卒業式の実施状況について、本市の現状をお伺いします。
A.卒業式は、学校教育の一環であり、保護者や地域が参加して子どもたちの成長を祝う厳粛な儀式として執り行われてきました。そのような中、卒業式を含めた学校行事は新型コロナウイルス感染症の拡大前後で大きく変化しております。
現在は、個別に卒業証書授与を行っているものの、式全体の時間短縮を図る等の工夫しながら、人生の節目となる行事の一つとして、各学校で実施しているところです。
Q.学校教育は、卒業式も含め、学習指導要領や学校教育法施行規則に基づくとともに、学習指導要領解説を参考に実施されている状況にあります。それぞれの特徴について、お伺いします。
A.学習指導要領は、教育の基本方針を示し、学習指導要領解説は具体的な指導方法を提供し、学校教育法施行規則はその実施のためのルールを定めるというそれぞれ異なる役割を持っています。これらが相互に機能することで、教育の質の向上と公平性が確保されることが期待されます。
Q.卒業式は、学習指導要領や学校教育法施行規則を踏まえると、実施方法には一定の柔軟性が残されているように感じました。卒業式の法的拘束力について、見解をお伺いします。
A.卒業式に関する法的拘束力は、学校教育法施行規則第58条により、校長は小学校課程を修了した者に卒業証書を授与することが義務付けられています。さらに第79条により、この規定が中学校にも適用されることが示されているため、小中学校ともに校長が修了者に証書を渡すことに法的拘束力がある一方で、卒業式の進行や内容は法的拘束力は及ばず、出席も法的義務ではないと解するのが妥当と捉えています。
また、本市の小中学校が「卒業式」を「卒業証書授与式」と称するのは、教育的観点から卒業証書授与を卒業式の核心と位置付ける学校の姿勢を反映しているものと理解しております。
Q.学習指導要領は、学校行事の内容に応じて年間・学期・月ごとに適切な授業時数を充てると定めています。この定めは、行事本番と練習にかける時間を学校の裁量で決めることを保証する一方、教科指導が行事練習に置き換えられる懸念があります。特に小学校では担任がほぼ全教科を担任するため、卒業式の合唱練習を音楽科の授業に、呼びかけの練習を国語科の授業に読み替えることが容易であり、その読み替えは学校内部で水面下に進行しやすく、公的な発信やデータがほとんど示されないため、実態把握と公的議論が全国的に困難になっています。
そこで大きな2つ目の質問です。
卒業式の練習について、現状をお伺いします。
A.本市では、卒業式の練習を特別活動として位置付けているため、教科学習を読み替えて実施している状況はないものと認識しています。
Q.卒業式の練習における時間配分の意図について、お伺いします。
A.卒業式は、対外的にも、児童生徒にとっても、重要な行事であり、ここでの時間配分は子どもたちが行事に対する十分な理解を深めるための工夫がなされております。
第一に、卒業式の練習では、各自の役割を果たすことが求められます。在校生が卒業生を祝福する際のふるまいを今後の成長につながる教育機会と位置付けています。第二に、時間配分は、スムーズに式典を進行するために行事全体の流れから各工程に必要な時間を計算し、参加者全員が大切な課題を順次確認し合う場を設けています。第三に、卒業生スピーチ実施時は、それに伴う練習も考慮され、一生の思い出となる瞬間を創出するための大切な準備となります。
これらは、児童生徒の成長を促す学びの一環と卒業式を位置付け、その意味や重要性を感じながら、自身の成長につながるように設計されております。
今後の式典運営は、必要な見直しや改善策を常に検討しつつ、教職員や保護者のみなさまと連携しながら進めてまいります。
Q.子どもたちの成長のために充てるべきリソースを学校や教員の評判維持に注力し、本末転倒な状態に陥っている地域があります。卒業式を対外的に「失礼がないよう」「形式的な指導」で仕切ることは、練習ではなく訓練に等しく、児童生徒の自主性や成長を阻害しているものと認識しています。行事がスムーズに進行せずとも、児童生徒にとって思い出になれば、それで良いのではないかと感じています。
一方で本市は、児童生徒が体育祭や文化祭で主体的に企画・運営を行うことで、自然発生的な感動が生まれており、卒業式においても自主性を発揮しやすい環境を整備することが重要と考えます。
児童生徒の自主性の育みについて、見解をお伺いします。
A.卒業式においても、児童生徒が自主的に企画・運営することが望ましいというご意見には深く共感いたします。教員は、指導者からサポーターへと役割を変えることも重要です。子どもたちが自主性を発揮できる環境を整え、活動を支援しつつ、児童生徒の意見を尊重しながら必要な指導を行うことも大切だと認識しています。
Q.本市は、卒業式においても児童生徒の主体性を育む機運が高まっているものと解釈し、児童生徒の裁量拡大を要望します。
児童生徒が全面的に企画・運営を担うのは、受験時期との兼ね合いで困難となっているものの、体調トラブルを避けるために校長・PTA会長の式辞の有無や卒業証書の受領方式などの選択肢を与えることは可能であり、望ましいと考えます。
児童生徒の裁量の拡大について、見解をお伺いします。
A.議員よりご指摘いただきましたとおり、児童生徒の主体性を育むことは現代教育で非常に重要なテーマであり、本市でも機運が高まっていると考えております。
卒業式をはじめとした重要行事で児童生徒が自らの意見や選択を通じ、主体的に関わることは今後の人生で不可欠なものの一つであり、成長を促す一助となるものであるため、本市でも実際に主体的なかかわりを持たせております。卒業式の性質上、文化祭や運動会と比べて厳粛で公式な場であるため、全てを任せることは難しいものの、児童生徒の想いを反映できる場面を増やしていくことは意義があると捉えております。
Q.卒業式に向けた準備は、多方面の負担が発生します。その中でも式典服の手配や卒業アルバムの制作は状況変化が著しいです。
式典服は、全国的に進学先の制服やスーツが主流ながら、都市部の女児を中心に袴着用が増えております。一方、本市の南小中学校区では教師が袴を着ていても、児童生徒には着用者が見られない状況にあります。この袴着用を巡る議論は、経済格差や体調トラブルといった問題点と伝統文化への関心や思い出作りといった利点が対立し、全国的に地域や学校ごとに対応が分かれております。同じ静岡5区の富士市においても、市内26校のうち18校で実質的に袴着用の自粛を促しておりましたが、令和8年2月に自粛の呼びかけをやめる方針を明らかにしたことは記憶に新しいです。
また、卒業アルバムは、版下作り等の固定費があるため、児童生徒数の少ない学校ほど一人当たりの負担が大きくなり、少子化と物価高が家庭負担を増加させております。個人情報保護や掲載回数の公平性、業者選定などの事務的課題に苦慮する自治体も散見します。さらに、従来の卒前納品に対し、近年は卒業後に指定住所へ配送する卒後納品も増えている状況が見られます。
そこで質問です。
卒業式に向けた準備について、本市の現状をお伺いします。
A.卒業式の服装は、学校の式典にふさわしい品位と節度を保つために華美な衣装を避けるように保護者に事前案内しつつも、各家庭の事情や価値観を尊重して一律の服装規定を設けず、それぞれの家庭が子どもの個性や家庭文化に沿った服装を選択していただいてます。
卒業アルバムは、議員ご指摘のとおり、版下作りなどの固定費が発生するため、特に児童生徒数の少ない小規模校で一人当たりの負担が大きく、この問題は少子化の進展とともに、今後さらに深刻化する懸念があります。納品は、基本的に卒後式直前であり、当日には各自の机にアルバムが用意され、卒業式の前に手に取って思い出に触れることができます。
Q.昨今、卒業アルバムの写真が生成AIによるディープフェイクに悪用される被害が増加しており、個人情報の観点から写真掲載の希望確認や任意購入の徹底などが不可欠なものと認識しています。
全国の小学校を対象に実施した「小学校における卒業アルバム制作の実態調査」によれば、国や自治体が「卒業アルバム制作に関するガイドライン」を定めることに61.3%が「賛成」または「どちらかというと賛成」と回答する一方で、反対寄りの回答が10.2%に留まっています。このことから、教員の負担軽減、個人情報保護、アルバム価格の適正化の指針が求められている状況にあるものと察することができます。
卒業アルバムガイドラインの策定について、見解をお伺いします。
A.卒業アルバムは、学校生活を振り返る大切な記録であり、子どもたちの成長を形に残す意義深いものですが、制作方針がないと内容や形態にばらつきが生じる可能性があることを否めません。
しかしながら、教育委員会は各校の教育方針に基づく制作が行われることで、子どもたちにとってかけがえのない思い出となることを期待しているため、現時点でガイドラインを策定する予定はございません。
写真掲載については、保護者や児童生徒本人の意向を優先し、明確に拒否された場合は掲載しない対応をとります。また、購入を希望されない家庭の意思も尊重しているところです。
学校ごとの創意工夫が生かされるような支援をができるよう、引き続き努めてまいります。
Q.ご答弁では「学校ごとの創意工夫が生かされるような支援」と述べられたことを踏まえ、本市の卒業アルバムは各校の創意工夫が強く反映されているものと解釈しての質問になります。
上場プライム企業TOPPONホールディングスの連結子会社BookLiveが実施した会員調査によれば、在学時代の写真を見返す方法を「携帯・スマホ」と回答している割合は40代1.1%、30代9.2%、20代37.7%となっており、若年層ほど卒業アルバム離れが進んでいます。そのため、付加価値向上が必要なものと認識しています。
そこで質問です。
卒業アルバムの付加価値向上について、見解をお伺いします。
A.本市では、卒業アルバムに使用する写真の選定を主に児童生徒で構成されたアルバム編集委員会が行っており、このプロセスにより、子どもたちの意見が反映されたアルバムづくりが進められているものと認識しています。
Q.戦後教育は、学習指導要領改訂に合わせ、知識を積み立てる系統学習と生きる力を育む経験主義的学習の両面を見つめ直しつつ進展してきた一方で、学校行事、特に儀式的行事は主役である児童生徒を置き去りにしたイデオロギー対立に振り回されてきた歴史があり、教育効果の薄れは深刻でした。
学校行事のターニングポイントとなったのは、感染症対策に伴う式典の簡素化がもたらした知見です。多大な練習や盛大な開催がなくとも、行事の意義は保てると気づかされました。アフターコロナでは、形式回帰する学校と簡素化を続ける学校に分かれていますが、全ての教育委員会で働き方改革の計画策定が義務化されたため、卒業式の感動が多大な練習量に接合する形から脱却していくものと認識しています。現状においても、自然発生的な感動が主流になりつつあり、やらされる練習から創意工夫へ、いわゆる大人の演出から子どもの主体性への転換が重要と感じています。
大人が具体的な成果や感謝、見返りを求めない姿勢が子どもの主体性や自己肯定感の醸成につながるものと認識しています。
最後の質問になります。
卒業式の今後について、本市の展望をお伺いします。
A.現在の教育課程では、児童生徒一人ひとりの主体的な学びを促す枠組みが用意されており、これに基づいて卒業式も見直しが進められております。特に近年は新型コロナウイルス感染症の影響で学校行事の在り方が問い直される中で、形式や演出に依存しない儀式の本質に立ち返る動きがあります。多大な練習を必要としないシンプルで心に残る儀式の在り方が求められるようになってきました。
多くの学校は、感染症対策としての簡素化を通じて、大規模な練習や派手な演出ではなく、子どもたち自身の生の声や想いが卒業式における感動の主たる要素だと実感しました。学校行事における「厳粛さ」が再評価されることで自然発生的な感動を重視するスタイルが浸透していくことが期待されています。
教育現場の変化とともに、卒業式を通じて子どもたちが感じる「特別な日」の意義をしっかりと伝えていくことで、彼らの成長や今後の人生に豊かな経験を持たせることを続けてまいります。
3月19日に母校の卒業式に参列したところ、卒業証書授与やPTA会長の式辞の最中に体調を崩して退席する児童や、合唱の最中に座り込む児童を目の当たりにしました。今回の一般質問で私が述べた懸念の悉くが当たらないことを願っていたのですが、残念ながらその懸念を裏付ける事例が増えてしまった次第です。大人は、子どもたちの卒業式を見世物やショーのように扱うこと慎み、子どもたちの健康や口に出しにくい本音に重きを置くべきと強く訴えていきたいと思います。
この場でも改めて言わせていただくと、式典の時間短縮(による体調トラブルの回避)をするなら、児童生徒に訓練のような練習をさせるよりも、児童生徒に「判断材料」と「選択肢」を提供し、卒業式のプログラム内容を見直すのが効率的なんですよね。翌年以降は今回の一般質問の内容が現場に反映されることを祈ります。
詳細プロフィールはこちら。
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