2026/5/14
【森本の書評/不定期】
極楽征夷大将軍 / 垣根涼介
「こんな人が、なぜ天下を取れたのか――。」
この小説の主人公・足利尊氏は、一般的な英雄像とはまるで違います。
やる気がない。執着もない。空気は読まない。周囲を困らせる。
まるで“昼行灯”のような男です。
しかし、そのボーッとした男が、いざ戦になると誰も真似できない天才性を発揮し、人々はなぜか彼についていってしまう。
一方で弟・直義は、極めて優秀で真面目。
兄の失敗を必死にフォローし、政務を支え、足利家を守ろうと奔走します。
ところが、こちらは戦になると不思議なくらい勝てない。
この「天才肌だけどダメな兄」と、「有能だけど報われない弟」の対比が、とにかく面白い。
読んでいるうちに、いつの間にか足利兄弟の行く末に引き込まれていきます。
鎌倉幕府末期の混乱、後醍醐天皇との駆け引き、北条氏との戦い、そして室町幕府成立へ――。
歴史の大きな流れを描きながらも、登場人物たちの人間臭さが非常に魅力的で、「歴史小説は難しそう」と感じる人でも読みやすい作品です。
しかも本作は、第169回直木賞受賞作。
「史上最も無能な征夷大将軍」とも言われる足利尊氏を、ここまで魅力的に描いた作品はなかなかありません。
かなりの長編ですが、気づけばページをめくる手が止まらない。
「歴史上の人物も、結局は悩み、迷い、周囲に振り回されながら生きていたんだな」と感じさせてくれる一冊でした。
歴史好きの方はもちろん、普段あまり時代小説を読まない方にもおすすめです。
◼️森本あきのぶプロフィール
https://go2senkyo.com/seijika/164941

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