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草加市立病院、黒字転換の裏に公費23億円。命の砦のジレンマ

2026/4/2

草加市立病院の2026年度(令和8年度)予算について、事業計画の視点から現状を共有します。

 

 

 

1. 数字で見る:2026の大きな変化

まず、最新の予算案から読み取れる主な指標をまとめました。

 

【入院患者数】
11万560人(前年度比+6,540人)
【病床利用率】
79.7%(+4.7%)
【事業収益】
150.9億円(+18.4億円)
【最終の純損益】
黒字3.1億円(+18.9億円)
※2026年度は当初予算、2025年度は現計予算です。

 

昨年度の赤字15.8億円見込みから一転、2026年度は3.1億円の黒字へと転換する計画となっています。

 

 

2. なぜ黒字になるのか?

今回の収支改善には、いくつかの要因がありますが、そのなかの二点に絞って紹介します。

 

①財政支援

公費による緊急支援 草加市から合計23.6億円の繰入金(公費投入)が行われます。国基準の満額支援に加え、市独自の上乗せ支援(基準外)2.5億円を決定しました。これは、病院の資金不足を解消し、地域医療を守るための「緊急避難的」な措置でもあります。

 

 

 

②病床稼働率の改善

本業(病床利用率)の向上 380床あるベッドの利用率を、前年度より4.7ポイント引き上げた「79.7%」の稼働で見込んでいます。現場の尽力により、コロナ禍で落ち込んでいた患者数が一定回復し、コロナ前の水準に戻りつつある状況を反映したものです。

 

 

 

3. 役割とジレンマ

病床稼働率の向上は不可欠です。

しかし、その一方で「満床=最良の経営」とは限らない側面もあります。


草加市立病院は、市内唯一の基幹病院として、24時間体制の救急医療や小児医療、急性期医療などを担っています。これらは、「民間では担いきれない公共性の高い不可欠な医療」であり、運用の見通しが立ちにくい部門でもあります。
 

もし、効率だけを求めてベッドを常に100%近くまで埋めてしまったらどうなるでしょうか?
いざ救急車が到着したときに、「ベッドがいっぱいで受け入れられません」という事態が起きてしまいます。

 

 

 

4. 精度の高い「コントロール」

市立病院に求められる柱として、稼働率を上げることと併せて、「必要なときに必要な人が入院できる余力を残しつつ、無駄な空きをつくらない」という、高度なベッドコントロールの精度向上です。

市内唯一の基幹病院として、不採算であっても守るべき「命の砦」としての役割を果たしながら、いかに効率的な経営を両立させるか。現在、市民の方々からは市立病院ついて厳しい指摘(特に対応面)が寄せられている一方、現場の疲弊による閉塞感なども大きな課題となっています。今回は、そうした点も踏まえながら病院のこれからについて考えていくための2026年度予算の大枠を紹介させていただきました。

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佐藤 のりかず

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