2026/5/14
※普段は議員活動や諸々の社会活動に関する事柄を綴っていますが、
今回は、半分は私情、半分は議員目線となりますのでご了承ください。
はじめに、私は30年来のカープファンです。
ビッグレッドマシンと呼ばれた強力打線で上位常連であった90年代半ばにのめり込み、以後は90年代後半からの長期低迷を眺めてきました。2013年に球団史上初のCS進出を決め、1stステージの「赤い甲子園」には鳥肌が立ったのをよく覚えています。この年のAクラス入りが、実に16年ぶりというあたり、いかに低迷が長期に渡ったかがうかがえます。最後にAクラス入りを見届けたのが小学生の時で、次にAクラスになった時には私は既に市議になっていました。その後、球団史上初の3連覇を達成した後、近年は再び下位に甘んじて今日に至っています。
この間、多くの主力がFAでチームを去りました。潤沢な資金力を持つ巨人、阪神、ソフトバンクの様に、常に優勝や上位を狙えるという立ち位置ではありません。チームとしての成熟期を見定め、「ピーク」の年を作っていくというのが現実的な選択です。他チームを見ても、そこに活路を見出していると思しきチームがいくつか思い浮かびます。
残念なのは、今の低迷が優勝を成し遂げて「ピーク」を越えた後でも、年俸の上がった主力が移籍した後でもないという事実です。それらの後であれば、次の「ピーク」に向かえば良いだけです。現在地もハッキリしており、それほど悲観する必要もありません。しかし現実は、優勝の実績もなく低迷し、しかもこれから大量FAを迎えるという状況にあります。優勝すべきだった年に、「燃ゆ」で優勝し損ねたと言ってしまえばそれまでかもしれません。しかし、そうだとしたらこの数年は何だったのかという思いを抱かずにはいられません。そして、そうした思いを持っているカープファンは少なくないはずです。ガラガラのマツダスタジアムが正に“論より証拠”ではないでしょうか。
組織として危機的状況であれば、通常は親会社が何がしか手を打とうとするものです。ただ、カープは他球団と違い親会社を持ちません。ある意味、外圧が利きにくい構造です。そこにきて、4/25にフライデーの記事が配信されました。概要は、松田元オーナー(75)以下フロント陣が世代交代に目処をつけたいと考えており、若手選手を使うよう監督に指示を出したというものです。記事の真偽は不明ながら、今のところこの記事に対して球団が否定や抗議を行ったとの情報は掴んでいません。
概ね記事の通りであるとするなら、フロントが選手起用にまで口を挟むことは組織体質として健全とは思えません。社会人野球のトヨタ自動車硬式野球部で、豊田章男氏が「あの選手を使え」と指示することは恐らくないでしょう。フライデー記事を見て、「まずはフロントの世代交代が先なんじゃないか?」と思ったカープファンは私だけではないはずです。
親会社を持たないため外の力が効きづらい体質であることは先に触れました。では、そうした組織体質に変革を促しうる外部アクターは存在しないのでしょうか・・・?
1つ思い浮かびました。広島市議会です。
「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」の愛称で親しまれる本拠地球場は、正式名称「広島市民球場」です。旧市民球場と同じ名前で、広島市所有の公共施設です。公共施設にはその根拠となる条例が存在し、その施設がなぜ必要であるのか目的が明記されます。条例には、以下のように書かれています。
広島市民球場条例
「(目的及び設置) 第1条 野球の開催等の場を提供することにより、野球の普及及び振興を図るため、広島市民球場(以下「球場」という。)を設置する。」
公共施設ですので、原則は市職員がその管理運営を行います。ただ、民間企業などに業務を任せた方がより効果的に事業が行え、条例に謳う目的が達成されると見込まれる場合、「指定管理者」を指定し、指定された民間企業などに管理運営させることが認められています(指定管理者制度については色々思うところがありますが本題から外れるので割愛)。
㈱広島東洋カープは同球場の指定管理者に指定されています。
指定を受けるには議会の議決が必要で、指定期間ごとに再度議決が必要です。指定期間は原則5年とされる中、同球場は10年という長期の契約となっています。直近では、2018年12月議会でカープを指定管理者とする議案が可決されています。会議録を見る限り、反対者や厳しい意見が出た形跡は見当たりませんでした(検索キーワードの関係上、見落としが無いとも限りませんが)。
2018年と言えば球団史上初の3連覇を達成し、連日客席は満員という輝かしい時代なので異論が出ないとしても不思議はありません。条例に謳われた目的に照らせば、これ以上ない成果をあげた素晴らしい指定管理者ということになるでしょう。
しかし、あと2年半で次の議決の時期がやって来ます。否決は無くとも、少なくとも昨今の閑古鳥を見れば、厳しい指摘の1つ2つは出て然るべきではないでしょうか。あくまで、「野球の普及及び振興」を意図して設置された公共施設である以上、その実現に向けて指定管理者(カープ)に最大限の経営努力を促すことは議会の役割ではないでしょうか。
さて、ここまで私情半分(以上?)で綴ってきましたが、ここからはカープを離れて地元の話に入ります。ちょうど現在、安城市は中日ドラゴンズ2軍球場の誘致に名乗りを上げています。既に必要な敷地面積や一軍本拠地のバンテリンドームまで1時間以内のアクセスといった大まかな条件は開示されているものの、詳細については発表されていません。2軍球場の位置づけが公共施設寄りなのか、限りなく民間色の強いものになるのか、現段階では見通せませんが、3月議会でも指摘したように、昨年2軍の施設を整備した阪神タイガースの例では総工費が145億円であったと報じられています。中日2軍球場も球場単体でなく付随施設も併せて整備するということを考えれば、参考になり得る金額です。総工費が百億円単位となれば、自治体の負担額も「0」の数がいくつになるか、なんとなく想像できるのではないでしょうか。
仮に誘致に成功し、関連予算も可決された と想定した場合、公共施設になるにせよ、民間に多額の支出をするにせよ、多額の公金を投じる以上、行政側としても目的を明確にし、その後も成果を見定めることが求められます。これも仮定の話ですが、球場の目的を「スポーツ振興」や「街の賑わい」とした場合、閑古鳥の鳴く観客席は容認されがたいと思われます。1軍、2軍の違いや自治体規模の差はありますが、この辺りはマツダスタジアムに関する指摘と同様です。
民間企業によって運営されるスポーツチームにとって、本来は行政や議会に口出しされる謂れはありません。ただ、公金が投入されたとなれば別です。そして、議会に身を置く立場としては、当該スポーツチームの活動が本当に行政側の期待したものになっているかどうか、延いては住民生活に資するものになっているかどうか、見定めていかねばならないと考えます。
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