2026/7/1

与党が提出している、衆議院の比例代表を45議席削減する法案をめぐり、野党の審議拒否が批判されています。
もちろん、審議拒否そのものは本来望ましい姿ではありません。
国会議員は、反対であっても審議の場で論点を明らかにし、国民に判断材料を示す責任があります。
しかし今回の問題は、単に「野党が審議を拒否した」という一言だけで片付けるべきではないと感じています。
今回の法案は、単なる行政改革や経費削減の話ではありません。
国民の代表をどう選ぶのかという、選挙制度の根幹に関わる重大な問題です。
特に、比例代表だけを大幅に削減する内容であることには、慎重な議論が必要です。
比例代表は、少数意見や新しい政治勢力の声を国会に届ける役割も担っています。
そこだけを大きく削れば、民意の反映に大きな影響が出る可能性があります。
一方で、野党側も予算案そのものについては、審議時間が大幅に短縮される中でも、年度内成立を優先して採決には応じています。
つまり、「何でも反対」「何でも審議拒否」という単純な話ではありません。
問題になっているのは、選挙制度のような民主主義のルールに関わる法案を、十分な合意形成や説明なしに進めてよいのか、という点です。
過去を振り返ると、2009年、野党時代の自民党は民主党政権に対して、
「審議拒否は与党にあり、国会審議を尽くせ」
と訴えていました。
当時の自民党は、十分な審議時間を確保しない与党の国会運営こそ問題であり、審議が止まる原因は与党側にもある、という主張をしていたのです。
私は、この考え方自体は今でも大切だと思います。
野党が審議に応じないことは、決して褒められることではありません。
しかし同時に、与党が数の力で重要法案を押し通そうとするなら、それもまた国会軽視です。
「野党の審議拒否か、与党の強行審議か」という単純な対立ではなく、本当に問われるべきは、
国民の声をどう正確に国会へ反映するのか。
選挙制度を時の与党に都合よく変えてよいのか。
国会審議は十分に尽くされているのか。
という点ではないでしょうか。
議員定数削減そのものを、頭から否定するつもりはありません。
政治が自ら襟を正す姿勢は必要です。
しかし、「身を切る改革」という分かりやすい言葉のもとで、少数意見や多様な民意が国会に届きにくくなるのであれば、それは慎重に考えなければなりません。
選挙制度は、与党にも野党にも都合よく変えてよいものではありません。
だからこそ、過去に自民党自身が訴えていたように、国会審議は尽くされるべきです。
「審議拒否」という表面だけを見るのではなく、なぜそこに至ったのか。
その経緯と本質を、冷静に見ていく必要があると思います。


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