2025/5/18
行政のプロジェクト説明でよく聞く「経済効果○○億円」というフレーズ。耳ざわりはいいですが、その“効果”が本当に暮らしに役立っているのか、少し立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
私はこれまで、数千億円規模の資源開発プロジェクトに携わってきました。民間の投資では、NPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)といった指標を使い、リスクや将来の収益を慎重に見極めます。
そのためには、マーケットリサーチや物価の動向、需要予測を踏まえたシナリオ分析を行い、「本当にこのプロジェクトはやるべきか?」 「プロジェクトのパートナー企業が出した追加投資の提案には賛成すべきか、反対すべきか」などを繰り返し検討します。
そして何より大切なのは、一度出した計画で終わらせず、物価上昇率や市場の変化に応じて評価を見直していくことです。プロジェクトの前提は固定されたものではなく、常に変わり得る。
「やりっぱなしにしない」姿勢が、リスクを抑え、よりよい成果につながります。
行政が言う「経済効果」は、どちらかというと“お金の流れ”の大きさを示すものです。雇用や消費がどれだけ生まれるか、経済がどれくらい動くかを広く捉えたもので、NPVのような「費用に見合った価値が生まれるか」という判断軸とは性質が異なります。
たとえば、ある事業に100億円使ったときに:
・そのお金で働いた人の所得
・その人がさらに消費に使うお金
・関連企業への発注 など
こうした“お金の流れ”が経済全体にどれだけ広がるかを、統計的な係数を使って計算するのが一般的なようです。
つまり、「どれだけもうかるか」ではなく、「どれだけお金が動くか」を見ている、というのが行政の経済効果の基本的な考え方です。
行政には公共性という別の使命があるため、民間事業のように「収益」として目に見える形で評価ができない点はあると思います。しかし、だからこそ一層、効果を測る基準やその更新の仕方が問われるのではないでしょうか。
プロジェクトの開始前に「何をもって効果とするのか」を明確にし、その後も継続的に見直していく。必要に応じて、テコ入れや早期撤退、損切りも実施する。
公共の立場であっても、そうした仕組みがあることで、税金の使い道に対する納得感や信頼が生まれるはずです。
行政の「効果」が、都合のいいときだけ持ち出される数字ではなく、市民とともに考え、振り返り、次につなげるための「道」しるべになるように。
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ワタナベ ジュンペイ/41歳/男
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