2025/11/16
警察犬、盲導犬、介助犬、彼らが長年の役目を終えたあと、どうなるのか。人々の安全や暮らしを支えてきた使役犬たちの「引退後の“犬生”」に思いを馳せると、そこにはあたたかい物語と、同時に見過ごせない残酷な現実が浮かび上がります。警察犬は多くが8〜10歳で引退し、ハンドラーやその家族に迎えられて家庭犬として穏やかな余生を送ります。盲導犬は「引退犬ボランティア」によって家庭に迎えられ、介助犬も協会や元ユーザーの支援を受けながら余生を過ごします。社会に尽くした命を尊重する仕組みが整い、彼らは人間の愛情に包まれて暮らすことができるのです。

しかし一方で、狩猟犬の現実はあまりに残酷です。猟期が終わると不要になった犬を山中に捨てる事例が後を絶たず、飢えや事故で命を落とすケースが報告されています。さらに衝撃的なのは、「戻って来られないように足を折られて山に遺棄された猟犬」の事例です。長崎県で保護された元猟犬は骨が不自然に折られており、ハンターが利用価値のなくなった犬を捨てる際にわざと足を折ったと考えられています。また「追いかけて来ないように脚を銃で撃って捨てる」ケースも報告されており、命を使い捨てにする残酷な現実が明らかになっています。これは明確な動物虐待であり、社会的に許されるべきではありません。
動物愛護管理法は1973年に制定され、度重なる改正を経てきました。愛護動物をみだりに殺傷した場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、虐待や遺棄の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるようになりました。獣医師による虐待事例の通報義務も新たに規定され、監視体制の強化が図られています。こうした法改正は大きな前進ですが、狩猟犬の遺棄問題は依然として残っており、法律だけでは解決できない社会的課題です。
すべての使役犬が幸せに暮らせる仕組みを築くためには、狩猟犬の登録制度や追跡可能な管理体制を強化し、遺棄を防ぐ仕組みを整えることが必要です。同時に、社会全体で「動物は道具ではなく命ある存在」という認識を広げることが不可欠です。警察犬や盲導犬のように「余生を支える仕組み」を狩猟犬にも広げることが、動物福祉の観点から急務です。命を使い捨てにする文化を改め、すべての犬が人間と共に尊厳ある生涯を送れる社会を築くことこそ、私たちの責任であり未来への遺産となるでしょう。
---
出典
- まいどなニュース「戻って来られないように足を折られ 山に遺棄された元猟犬が迎えた奇跡の再出発」(2024年11月30日)
- FRIDAYデジタル「追いかけて来ないように脚を撃って捨てる 愛されず使い捨てされる猟犬たち」(2024年10月30日)
- 環境省「動物の愛護及び管理に関する法律の改正について」
- 日本盲導犬協会「引退犬ボランティア制度」
- 日本ライトハウス盲導犬訓練所「盲導犬の引退と余生」
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>はじかの ひろき (ハジカノ ヒロキ)>動物愛護・狩猟犬の遺棄問題