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少子化対策としての若年層対策について(2025年6月24日・令和7年第2回定例会・代表質問)

2025/6/27

千代田区議会自由民主党議員団の一員として代表質問をおこないます。

 

■中高生への1万5千円手当支給について

新年度予算案で少子化対策として、子育て世帯への経済的支援を充実するために中高生1人当たり月1万5千円の手当を支給する予算を計上しています。

私も一昨年から「千代田区は義務教育までの支援は厚いが、高校生からは途端に薄くなる。そのため、子供が中学校を卒業すると物価が高く、生活コストがかかる当区を出る人たちが少なくない」と何度か指摘してきました。

私はこの問題を当区特有の「千代田区問題」として提起してきましたので、区が同じ認識でこの問題に対応していることを基本的に評価しています。

そこで、確認をかねてご質問します。

区が中高生1人当たり月1万5千円の手当支給を始めたきっかけはどこにあったのでしょうか。また、どれくらいの期間続けていくつもりでしょうか。

せっかく始めるのであれば一定期間以上は続けるべきだと思いますが、本施策は全国的にも注目されているので、ぜひ明確にお答えいただきたいと思います。

 

■少子化対策としての若者支援

次に少子化対策について伺いますが、私は少子化対策としてぜひキャリアを始めたばかりの若い人たちをはじめとする社会人若年層にも目を配っていただきたいと考えています。

子育て政策はたしかに大切ですが、それだけでは少子化の根本的な対策にはならないと考えます。未婚の若者が結婚できる環境を経済面で整えることこそが重要だからです。

以下、その理由を述べます。

厚生労働省が6月4日に発表した人口動態統計によると、2024年に生まれた子どもの数は、前年より4万1227人少ない68万6061人で、初めて70万人を割り込みました。過去最少の更新は9年連続です。

出生数が減少することはある程度予想されていましたが、衝撃的だったのは、合計特殊出生率が前年比で0.05ポイントも下がり、1.15だったことです。

「合計特殊出生率」とは、一人の女性が一生のうちに平均して何人の子どもを産むかを示した指標です。「合計」とついているのは、「すべての年齢層を平均して」という意味を与えるためです。なお、ある特定の年齢層を見る場合は、「合計」をつけず「特殊出生率」と呼びます。

子どもは夫婦2人で産むことが想定されているので、合計特殊出生率が1.15というのは、「2人で1.1人の子どもしか生まれていない」ということを意味します。人口を維持するのに必要な合計特殊出生率は2.1から2.2と言われており、その半分にまで落ち込んでいます。

国や自治体は少子化を阻止するために子育て支援の拡充をはかっていますが、果たしてそれだけでじゅうぶんでしょうか。

そのことを考えるのに、興味深い数字があります。結婚15年以上の夫婦が持つ子の平均を「完結出生児数」と言うそうですが、1980年代から現在までの完結出生児数の推移を見ると、次のようになります。

1980年が2.16人
2015年が1.94人
2021年が1.90人

夫婦一組あたりの子どもの数は漸進的に減っているものの、深刻な少子化をもたらすほどの大きな動きではないと言っていいでしょう。

これは平たく言うと、「結婚したカップルが、平均して2人程度の子どもを産む」という状態は昔からさほど変わっていないということを意味します。

ここからわかるのは、深刻化している少子化の原因は、結婚したカップルが子どもを産まなくなったことより、結婚するカップル自体が減っているか、あるいは、晩婚化が進んでいることが重要な要因であることです。

日本における少子化対策を考える場合は、「いかに子どもを産んでもらうか」ではなく、「いかに若者に結婚してもらうか」を考えなければならないことを示しています。

少子化対策として子育て支援を充実させ、子育て世代を支援することに一定の意義があるのは間違いありませんが、根本的な対策をとるためには「いかに若者に結婚してもらうか」に注力しなければならないと考えます。

つまり、若年層ができるだけ結婚しやすい環境を整えることが、少子化対策の最も重視すべき課題の1つです。

そこで質問いたします。

区は少子化対策としての若年層支援に取り組むつもりがありますでしょうか。もし考えていないのであれば、今後は検討していただけないでしょうか。

それに関連して、次に非婚化と晩婚化の対策についてお伺いします。

 

■伝統的価値について

先進国で非婚化や晩婚化が進んでいる時代的な要因として、従来の「結婚して当たり前」という伝統的価値観が弱まったことが挙げられます。個人の選択を尊重するのが当たり前になっている社会では、「結婚は選択肢の1つ」でしかなく、いまや結婚や出産を義務のように考えている人は多くはないでしょう。

それは時代の趨勢ですし、否定すべきようなことではありませんが、私は礼賛するようなことではないとも考えています。

伝統的価値観、保守的価値観を大事にすることも大切です。もちろん、それが正義だと言うのではなく、伝統的価値観もいまだに重要な選択肢の1つだということです。

家族を大事にする、親を大事にする、地域を大事にする、神社を大事にする、伝統行事を大事にするなどのことを、私は子どもたちに積極的に教えるべきだと思います。

新しいことは正義ではありません。新しさには魅力がありますが、新しいものもやがては古くなっていきます。価値観も例外ではありません。

ただし、新しいものでも、普遍性があるものは長く残っていくものです。伝統的価値観が長く続いているのは、普遍性が包含されているからでしょう。

とくに千代田区など都市部は、女性などが働きやすい環境が整っており、地方からの流入が多い地域です。それだけに伝統的価値観が疎かにされがちであるので、私は都市部でこそ伝統的価値観を尊重すべきだと考えます。

そこで質問します。

区は教育において伝統的価値観を尊重する姿勢はありますでしょうか。

教育についてはとかく新しいこと、新しい価値観に力点が置かれがちです。私も多様性をはじめ新しい価値観を尊重することは重要だと考えていますが、同じように我が国の背骨を形作ってきた伝統的価値観も尊重していくべきだと考えます。

 

■若者層の経済状況の現実

次に、先述した若年層の経済状況について考えます。

日本で少子化が先鋭化したのは、1990年代中盤から続くデフレ不況が長期化したことが影響しています。

いわゆるロスジェネ世代といわれる1970年代生まれの男性の、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である「生涯未婚率」は25%を超えています。

1965年生まれの男性が約15%であることを考えると、わずか5から10年で大きく上昇したことがわかります。

ちなみに、2020年の全体の生涯未婚率は、男性が28.3%、女性が17.8%ですので、男性のほうが高いことがわかります。

OECD加盟国の中で日本ほどの長期わたって経済停滞を経験した国は珍しく、少子化が特に先鋭化したのは当然でしょう。

実際、内閣府「結婚と家族をめぐる基礎データ」を見ると、年収が300万円を超えるかどうかで既婚率が大きく変わることが確認できます。

20〜30歳代では、年収300万円未満だと既婚率10%以下であり、年収300万円以上になると25%から40%程度へ急上昇します。

さらに、「独身と既婚男性に年収の差はあるのか?」という調査では、独身男性の平均年収が377万円なのに対して、既婚男性の平均年収は506万円とかなり開きがあります。

少子化を止めるには、国を経済成長させ、若年層の実質賃金を上げることが必須であることは間違いありません。若者が夢を見られない国では少子化が止まるはずもありません。

少子化が進んだ今、若年層を優遇して、できるだけ実収入を増やす政策が必要になっていると感じます。

そのことに関連して、事態が深刻になっている国の例を紹介します。

ポルトガルでは若者の外国流出が大きな問題になっています。『フィナンシャル・タイムズ』によると、2008年から2023年に国外へ移住した人のうち15〜35歳は36万1000人と全体の3分の2を占めているそうです。

そこで、ポルトガル政府は社会人1年目の所得税を免除し、若年層の税負担を10年間軽減するという異例の若年優遇政策を実行しようとしています。

今の千代田区は子育て政策の拡充や福祉政策を深掘りしすぎていないか不安になることがあります。一般に福祉を充実させるのは良いことですが、次の社会を担う若者対策が疎かになれば、ポルトガルの二の舞にならないとは言い切れません。

私からすると、日本も着実にポルトガルと同じ状況に向かっているように感じます。日本は島国なので外国流出はないと思われるでしょうが、それは私たち年配者の発想であって、ボーダレス化が進む中では日本人についても、自分が優遇される国を求めて日本を出て行く若者が増えていく可能性はあると考えます。

そもそもこの世代が結婚したいと思わなければ、少子化は止まりません。減税か再配分かという議論はありますが、いずれにしても若年層支援は必要です。

そこで質問いたします。

区は若年層の支援の重要性について認識がどれくらいありますでしょうか。今後、なんらかの方策をとるつもりがありますでしょうか。

若年層支援は結婚へのインセンティブを高めるので、少子化対策としても有効です。

もちろん、千代田区は日本の1つの自治体に過ぎませんし、財政的に余裕がありますし、そもそも国と比べるのは不適切です。

ただ、千代田区は日本のモデルとなるべき自治体ですので、その自覚を持って対応すべきだと考えます。

次にいきます。

 

■未婚者のためのイベント

2024年の合計特殊出生率が1.15という衝撃的な数字になったのは、コロナ禍の影響が大きかったと考えられます。

この数字は「15年早い未来が来た」とも言われるほどの低さで、従来の少子化の傾向にコロナ禍が拍車をかけたことは間違いありません。

ただし、コロナ禍は世界的な現象であり、すべての国が影響を受けている点には留意が必要です。

他国と比べると、たとえばアメリカではパンデミック初期に出生率が4%減少しましたが、経済支援や在宅勤務の普及により、2021年には予想外の回復が見られました。アメリカは潤沢な現金支給をおこなっています。

ヨーロッパでも出生率は一時的に減少した程度でしたが、ただし、イタリア、スペイン、ギリシャといった経済基盤の弱い南欧諸国の出生率の減少は顕著でした。

やはり経済力が影響しているようです。

日本がここまでコロナの影響を受けた背景には、先述したようにすでにデフレによって晩婚化・非婚化が進行していたこと、そしてコロナそのものを過度に恐れた人が多く、出産に対する不安が増幅されたことが挙げられます。

また、日本人の国民性として対面での出会いを重視している人が多いことも影響しているのでしょう。職場での出会いや合コン、友人からの紹介などが交際・結婚への主なきっかけとして挙げられます。コロナ禍によってそれらの機会が奪われてしまったことが影響したのだと思います。

一方で、アメリカやフランスでは、コロナ以前からマッチングアプリなどが普及しており、対面の制限があっても恋愛関係を築く人が日本よりはるかに多かったようです。

日本においてはオンラインでの出会いでは関係が深まりにくいため、コロナ禍の行動制限が日本人の少子化を悪化させたのは間違いありません。

また、アメリカ人の約4割、フランス人の約6割が「非婚出産」しているのに対し、日本では2%から3%しかいません。このような価値観の違いも、コロナ禍による出生率への影響に差が出た大きな要因だと考えられます。

もちろん非婚出産を奨励しろなどと言うつもりはありません。これは先ほど述べた「伝統的価値観」に反するものです。

ただ、区が主導して若年層の出会いの機会を増やすことが必要だと考えます。マッチングアプリについては東京都が先行して実施していますが、千代田区は昼間人口が多いので、区内在勤者と区民の若年層が出会える機会を増やすことはやるべきではないかと考えます。

そこで質問いたします。

区のイベントとして未婚若年層が集まれるものはこれまで実施しているでしょうか。もしまだ実施していないのであれば、今後、積極的に実施していただけないでしょうか。

 

■住宅事情に即した対策を

最後に、住宅事情について考えます。

東京都の合計特殊出生率は0.96となり、全国最低でかつ1.00未満となった2023年をさらに下回っています。これには、不動産が高く手狭になりがちな東京の住宅事情が関わっているのは明白ですが、私はそれに住宅ローン控除も関わっていると考えています。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ場合に、年末残高の0.7%(2022年改正以降)を最大13年間、所得税・住民税から控除できるという制度です。

1つの問題は、住宅ローン控除を利用するには、年収がある程度、目安として300万円以上の年収と、安定した雇用が必要となることです。

言い換えると、結婚や出産に不安を感じている若年層や非正規雇用者は、制度の恩恵を受けるのが難しいのです。

しかも、控除額は年収が高いほど大きくなり、高所得層ほど得をする構造です。

住宅ローン控除は少子化対策としては機能していないどころか、むしろ拍車をかけている可能性があります。

特に問題なのが、住宅の広さの条件です。

原則として床面積が50平米以上、特例で所得1000万円以下の人には40平米以上でも控除が認められます。

そのため、都市部では資産価値の最大化を狙って、40平米から50平米ぎりぎりの広さのマンションが多くなります。その程度の広さでは、子どもを1人持つのがやっとで、2人以上持とうという気持ちにはなりにくいのは当然でしょう。

都市部での少子化が進んでいる背景に住宅事情の悪さがあると考えれば、この40から50平米以上という条件が、少子化を悪化させている可能性があります。

ちなみに、フランスでは住宅の広さに関する要件はなく、子どもの数に応じた住宅手当が支給されます。アメリカでは、住宅ローンの利子に対する控除があります。

少子化対策に利用するのであれば、郊外の広めの住宅を購入したほうが控除が大きくなるような制度設計にすべきでしょうが、これは国政レベルで考えるべきことですので、捨象します。

重要なのは、千代田区で少子化対策を考える場合は、住宅事情が悪いことを前提に考えなければならない点です。

区ができるとすれば、中高生や大学生などが、自宅以外で勉強できる、あるいは時間が過ごせるスペースを確保することだと思います。

ここで質問いたします。

区は学生のための自習室など時間を過ごせるスペースを確保しようとしていますでしょうか。

現在、区立図書館の学習スペースは、特に土日は取り合いになっているようです。

住宅事情の悪さについて手をつけるのは難しいのですが、子どもが静かに過ごせるスペースが外にあれば、少しは緩和につながるものと思います。区はぜひ区民のご子息が外で学習できるスペースを十分確保していただきたいと考えております。

以上、区長ならびに関係理事者の明快なご答弁をお願いして、自由民主党議員団の代表質問を終わります。

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著者

白川 司

白川 司

選挙 千代田区議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 630.651
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肩書 評論家・翻訳家。国際政治・経済について、雑誌・著作・ニュースサイト・YouTubeなどで精力的に発信。
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