2025/10/16
インフルエンザはRNAウイルスです。複製のたびに抗原が少しずつ変化し、ときに大きく姿を変えます。こうしたウイルスに対して、私たちは「当たり外れ」を前提にしながらも、効果が期待される点ばかりが強調される“ワクチン神話”と付き合ってきました。特に医療・福祉の従事者や施設入所のご高齢の方、さらに子どもたちも、実質的な圧力を受けている場合があるのが事実です。世界の研究・公的評価を確認しつつも、“新しい”製造技術が導入されても本質的な問題は変わらず、無視してはいけないリスクが存在すると考えます。今日は、その理由と課題を共有します。
1. まず、私の立場
株予測に依存する構造が変わらない。
製造法がmRNAや細胞培養、組換え等に変わっても、季節性ワクチンは「その年の流行株の予測と選定」に依存し、外せば有効性は下がります。
— なぜ「当たり外れ」が起きるのか
季節性ワクチンは、世界の監視データをもとに流行前の早い段階で来季の株を先に決め、大量製造に入ります。その間にも流行株の抗原(HA/NA)が少しずつ変化する(抗原ドリフト)ため、予測と実流行のズレが生じます。さらに卵で増やす製造法では**「卵に適応する変異(エッグアダプテーション)」が入ってワクチン株の抗原が当初想定と微妙にズレることがある――この“二重のズレ”が外れ年の主因です。特にH3N2では卵継代による抗原変化が低い有効性(VE)**の説明に繰り返し挙げられてきました([ScienceDirect][1])。
副反応は“まれ”とされていても重大。
アナフィラキシーは**約100万回に1.35件(季節性インフル)**の大規模データ、GBS(ギラン・バレー症候群)は1~数/100万接種程度の過剰リスクを示した研究があります。頻度は小さくとも、本人にとっては100%の出来事です。十分な事前説明と救済は当然に確保されるべきだと考えます([CDC][2]、[PMC][5])。
2. 「検査」の現実
流行が小さい時期や無症状の方にまで迅速検査(RIDT)やPCRを広く用いると、検査前確率が低いため陽性的中率(PPV)が下がり、偽陽性が増えやすいと考えます。CDCも**「流行が低い時期は偽陽性が増えPPVが下がる」**と明記しています。インフルエンザやコロナを過度に特別視し、過剰な検査・過剰な対策・過剰な投薬が常態化していないか――誰が作り、誰が喜ぶのかを考えるべきだと考えます([CDC][3])。
3. 「間接効果」より先に、本人の利益を
日本発の有名な解析(New England Journal of Medicine, 2001)は、学童接種の時代に高齢者の超過死亡が減ったと推計しました。観察研究ゆえ交絡の余地はあります。私は、間接効果を政策の主根拠にする前に、接種を受ける本人(学童)の直接利益が十分にあるのかを確認すべきだと考えます([NEJM][4])。
さらに1987年、前橋市医師会の前橋レポートは、当時80~90%という高率で行われていた学童の集団接種について、流行抑制効果が見られないと結論づけました。これを受けた世論の批判の高まりも背景に、1994年に予防接種法が改正され、学童の集団接種が中止されました。前橋レポートは検査法や研究デザインの限界を指摘される一方で、学校欠席など直接の健康影響を評価した点で重視すべき研究であったと私は考えます。
4. 副反応疑い報告と点鼻の生ワクチン(LAIV)
日本では2024/25シーズンから、小児向けに点鼻の生ワクチン(LAIV:フルミスト)が導入されています。厚労省の集計(2024/10/1~2025/3/31)では、推定接種可能人数(回分)371,660に対し、副反応「疑い」報告は19件(製造販売業者16・医療機関3)、死亡報告0件でした。頻度に直すと、医療機関報告は約0.81/10万回、製造販売業者報告は約4.31/10万回、合算で約5.1/10万回相当です。主な症状としてアナフィラキシー反応、ギラン・バレー症候群、熱性けいれん、顔面麻痺、血小板減少等が挙がり、「脳出血」1件の記載もあります。
※この統計は**「副反応“疑い”報告」**であり、因果関係は個別に未確定、重複や「重篤」区分の運用上の注意も付されています([厚労省 資料2-32][MHLW])。
私の考え:稀でも重い健康被害は、当事者には100%です。一方、公表値は「疑い報告」ゆえ過大にも過小にも見え得ることも率直に共有すべきだと考えます。健康な方への予防接種であるワクチンでは、重篤な副反応は頻度が低くても起こってはならないと私は考えています。利点とリスクを同じ紙面で開示し、本人(保護者)の直接利益を最優先に慎重に判断していただきたいと考えます。
また、2歳未満や喘息・最近の喘鳴既往などは禁忌/慎重投与とされ、発熱や鼻症状などの反応原性は一定生じ得ます。「針を使わない」ことだけを利点と捉えず、大切なお子様にとってリスクに見合う効果があるのかを慎重に検討してください。
5. 最後に(選択のための前提)
インフルエンザワクチンは万能ではありません。一方で、重症化を下げた可能性を示すデータが存在することも事実です。評価は〇か×かの二元論ではありません。 推奨する側こそリスクを丁寧に説明する――どんな医療行為でも同じです。情報を集め、自分の判断で選択することが最も大切だと考えます。
なお、私は現時点で接種推奨は行いません。まずは生活習慣(十分な睡眠・体を冷やさない・バランスのよい食事)、帰宅後の手洗い・鼻うがいなど、受験など大切な時期には多層的な日常対策を丁寧に続けることをお勧めします。何より感染症を過度に恐れず、笑顔で日々の暮らしを大切にしていただければと考えます。
参考リンク
[1] ScienceDirect:卵継代と抗原変化(エッグアダプテーション)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X20307945
[2] CDC:アレルギー関連・安全性の総覧(アナフィラキシー頻度の根拠に整合)
https://www.cdc.gov/flu/vaccines/egg-allergies.html
[3] CDC:RIDTの運用(低流行期のPPV低下)
https://www.cdc.gov/flu/hcp/testing-methods/clinician_guidance_ridt.html
[4] NEJM(2001):学童接種と高齢者超過死亡の関連推計
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM200103223441204
[5] PMC(2021レビュー):インフルエンザワクチン後GBSの過剰リスク
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8502426/
[MHLW] 厚生労働省(2025/7/25 資料2-32):2024/25シーズンLAIVの副反応「疑い」集計
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ナカニシ ユウタ/40歳/男
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