2026/4/3
~「国難」に立ち向かうエネルギー政策の転換と原子力の再評価~
2026年4月、私たちは大きな歴史の分岐点に立っています。原油価格は1バレル102〜103ドル(一時106ドル)まで高騰。これに大幅な円安が加わり、鉱物性燃料の輸入額は年間約25兆円に達し、貿易赤字の主因となっています。
日本にとって、現在の状況はもはや経済課題の域を超え、国家の存立を脅かす「国難」です。先日行われた会議の主要な数字とともに、今後の道筋をお伝えします。
現在、日本の原油輸入の中東依存度は96%(2025年度実績ベース)と、第二次オイルショック後の67%から大幅に逆戻りしています。
ホルムズ海峡の限界: 代替ルートのヤンブー港経由で確保できるのは日量約40万バレルに留まり、日本の必要量を満たすには程遠い状況です。
ナフサの危機: 石油化学原料であるナフサは3/4を中東に依存しています。主要供給元だった韓国が輸出禁止に踏み切る中、サプライチェーンの寸断が懸念されます。
補助金の限界: 現在のガソリン補助金(170円維持)には月3,000億円規模の財源を要しており、財政的持続可能性が限界に近づいています。
AIやデータセンターの急増による「エネルギー・アディション(需要追加)」に対応するため、原子力の活用は避けて通れません。
稼働率向上の処方箋: 定期検査期間を米国並みの「15ヶ月」へ変更するだけで、稼働率は2%向上します。
特重施設の緩和: 建設期限(5年)の解釈を「運転開始から」へ見直すことで、数基の早期稼働が可能となります。
経済格差の是正: 再稼働が進む西日本と進まない東日本では、電気料金に2〜3割の格差が生じており、東日本の再稼働は産業競争力直結の課題です。
エネルギー政策を原子力の活用へと回帰させていく過程において、私たちは「福島第一原発事故」の教訓を片時も忘れてはなりません。「絶対安全」という神話に陥ることなく、常に最悪の事態を想定した安全対策を積み重ねることが大前提です。
しかし、現在最も深刻な懸念は、震災後の空白期間により原子力に携わる技術者や研究者が激減していることです。
「足元を固めるのは、設備ではなく『人』である」
どんなに優れた技術や厳しい規制基準があっても、それを運用し、監視し、次世代へ繋ぐ高度な人材がいなければ、真の安全は成立しません。
20年の計: 原発の新増設には着工から約20年を要します。今、この瞬間に投資判断を下せる専門集団が必要です。
技術の継承: 既存炉の運転期間を60年から80年へと延長する議論においても、経年劣化を科学的に評価できる熟練の技術者が不可欠です。
エネルギー政策は国家の根幹です。私は現在、原子力委員会の与党委員を務めておりますが、維新の理念に基づき、企業献金などは一切受け取っておりません。特定の業界や団体に忖度する必要がないからこそ、安全確保を最優先としつつ、非効率な審査プロセスや人材育成の遅れに対し、本質的な議論を突きつけることができます。しがらみのない立場から、次世代に責任を持てるエネルギー政策の実現に向け、役割を果たして参ります。
※記事は一谷個人の考えに基づき記載しています。
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