2026/2/20
令和8年度の八尾市一般会計予算案が示されました。
市の一年間の家計簿とも言える予算は、私たちの暮らしに直結する行政サービスの設計図です。
子育て、福祉、教育、まちづくり、防災――そのすべての土台になります。
今回は、この令和8年度予算について、数字をもとに整理しながら、どのような特徴があるのかを分かりやすく見ていきます。

まずは全体像から確認していきます。
令和8年度の一般会計は 1,326.1億円。
前の年より約3.7%増え、規模としては拡大しています。
一方で、市は財政調整基金(いわば市の貯金)から39.8億円を取り崩す前提で予算を組んでいます。
前年より4.6億円増えています。
ここで大切なのは、「基金を使う=危険」という単純な話ではないということです。
家計で考えてみましょう。
給料は増えている。
でも物価上昇やローン返済、教育費の増加を見込んで、年度初めの計画では貯金を少し使う想定をしている。
そういう“慎重な見積もり型の家計設計”に近い状態です。
(なお、年度末には国からの地方交付税の追加配分や事業費の精算などがあり、結果として当初に想定した基金の取り崩しが圧縮される場合もあります。つまり、当初予算の基金繰入額=そのまま使い切る額、というわけではありません。)
令和8年度の市税は
419.3億円(+1.5%)
内訳は、
個人・固定が伸びているため基礎税収は堅調です。
一方で法人市民税は▲6.9%の見込みとなっており、ここは景気や業績の影響を受けやすい“ブレ要因”です。
地方交付税は
186.8億円(+13.2%)
と大きく増えています。
短期的には助かる一方で、交付税は国の制度・算定・景気に左右されます。
したがって、「増えたから安心」ではなく、
この増分が将来剥落した場合、どこに影響が出るのか
という耐性チェックが必要になります。
繰入金は
48.3億円(+8.3%)
その中で特に、
財政調整基金繰入:39.8億円
が大きい。
基金は本来、災害・景気後退・制度変更などへの備えとしての“緩衝材”です。
ただし、前述の通り八尾市は当初を保守的に見積もる編成傾向もあるため、重要なのは断定ではなく、
を中期トレンド(3〜5年)で検証することです。
令和8年度の市債発行は
54.5億円(▲7.1%)
と減少しています。
また、臨時財政対策債の新規発行は
R7に続きゼロ
これは明確に評価できるポイントです。
ただし一方で、
借換債:12.48億円
が増えているので、見た目の発行額だけでなく、金利・償還条件も含めた把握が求められます。
人件費は
226.0億円(+7.2%)
特に退職手当が
5.36億円(前年差 +3.76億円)
と急増しています。
退職手当は一定周期で増減する傾向があるため、単年度で煽るのではなく、
のトレンド把握が重要です。
扶助費は
365.4億円(+2.6%)
子育て・福祉系の伸長が見られ、施設型給付費・施設等利用費が+9.6%など増加しています。
扶助費は“戻らない増加”になりやすい。
ここを無理に削るのは現実的ではありません。
だからこそ、行政としては
などで、伸び率を鈍らせる設計が鍵になります。
公債費は
96.9億円(+7.6%)
そして特に、利子:+24.8% が目立ちます。
近年、全国的にも「利子増による利払い増」が財政負担要因として顕在化しつつあります。
本市がどの程度、金利上昇に耐えられるかは重要です。
一方で、大松市長就任以降、
など、将来世代に過度な負担を押し付けない財政規律を堅持してきた点は評価できます。
今後もこの規律を維持するため、金利環境の変化を踏まえた市としての方針が重視されます。
補助費等:271.5億円(+7.7%)
繰出金:131.6億円(+6.4%)
これは特別会計・企業会計への影響が濃い領域です。
一般会計だけ見て「回っている」と判断するのは危険で、
特別会計・企業会計への“見えない輸血”が増えるほど、一般会計の自由度は下がります。
投資的経費は
61.6億円(▲22.1%)
短期的には財源調整に使いやすい項目です。
ただし抑制が続くと、
といった副作用が出ます。
ここは「大型事業が単年度に存在しない反動減」なのか、
それとも「中長期の抑制トレンド」なのか、公共施設更新計画との整合を含めて注視していきたいと考えます。
基金残高は、
R7末見込み:115.5億円
R8:積立 10.85億円・取崩 39.8億円
R8末見込み:86.6億円
と、当初予算ベースでは減る設計です。
さらに注記として、
財調基金R8積立9.94億円は臨財債償還基金費分9.50億円を含む
とされています。これは実務上重要で、積立といっても“自由に使える積立”とは限らない可能性があります。
地方債残高(合計)は
R7末見込み 1,579億円
R8末見込み 1,510億円(▲69億円)
と減少見込みです。
一方で、一般会計の地方債(臨財債除き)は
R6 393億円 → R7 414億円 → R8 415億円
という推移も示されています。
読み方は二層です。
合計(臨財債含む)は減っている=将来負担の方向性は改善
ただし臨財債という“制度由来の巨大残高”が残る限り、制度変更の影響を受けやすい
市税:419.3億円(+1.5%)
地方交付税:186.8億円(+13.2%)
臨財債の新規発行ゼロ継続
地方債総残高:1,579→1,510億円(▲69億円)
財調基金繰入:39.8億円
人件費:226.0億円(+7.2%)(退職手当増が目立つ)
扶助費:365.4億円(+2.6%)(戻りにくい増)
公債費:96.9億円(+7.6%)、利子:+24.8%
投資的経費:61.6億円(▲22.1%)(意味の見極めが必要)
基金繰入39.8億円は保守的見積もりか、構造的依存の兆候か
→ 中期(3〜5年)で同規模が続くのか
利子+24.8%という全国トレンドの中で、本市の耐性は十分か
→ 金利上昇局面での方針(借換・償還条件の考え方)
投資的経費▲22.1%は一時要因か、中長期の抑制か
→ 公共施設更新計画との整合は取れているか
法人市民税▲6.9%見込みの根拠は何か
→ 構造要因か、一過性の反動か
退職ピークの見通しはどうか
→ 人件費の平準化策はあるか
全国的なトレンドと同様、自治体財政は厳しい状況が続いています。
八尾市も決して楽観視できる環境にあるとは言えません。
その中で、この間、私が議会でも継続して議論してきた環境直営部門の人件費抑制など、八尾市は一定の改革に取り組んできました。実際に成果も見え始めています。
この点についても、3月議会で改めて確認していく予定です。
今は、自治体サービスを「あれもこれも」と無制限に拡充できる時代ではありません。
限られた財源の中で、何を優先し、何を効率化するのか。取捨選択と持続可能性の確保が、これまで以上に重要になっています。
そのためには、
という発想が欠かせません。
今後の公共施設のあり方についても、リースバック・公民連携手法などを含めた抜本的な見直しを検討すべき時期に来ています。
テクノロジーや民間の知恵を活かしながら、コストを抑えつつサービスの質を高めていく。その視点が重要です。
従来型・前例踏襲型の行政運営から一歩踏み出す施策を、引き続き市に対して提案していきます。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>稲森 洋樹 (イナモリ ヒロキ)>【令和8年度予算を読む】八尾市の家計簿を“数字で”見える化してみた(財政健全性チェック)